2026年2月18日水曜日

2026.02.18 上田健次 『銀座「四宝堂」文房具店Ⅳ』

書名 銀座「四宝堂」文房具店Ⅳ
著者 上田健次
発行所 小学館文庫
発行年月日 2024.10.09
価格(税別) 730円

● Ⅳの小道具は “リボン” “スクラップブック” “ボールペン” “クリップ” “奉書紙”。4巻目にもなれば,これらを咬ませたストーリーを作るのも手慣れたものだなという印象になる。

● 「糊やペンなどはコンビニでもお求めいただけます。さすがにスクラップブックは置いてないでしょうが・・・・・・。けれど,ネットショップなどであれば当店を遥かに超える品揃えをしておりますし,翌日にはご自宅にお届けするなど配送サービスも充実しております。当店のような小さな文房具店などは,せいぜい丁寧な応接に務めるぐらいしか差別化できる要素がないのが実情です」(p82)と主人公の宝田硯に言わせているのだが,丁寧な応接というのはリアルの文具店ではなかなかないな。
 店員はレジにしかいないもん。こちらに近づいてきて,何かお探しですかと訊いてくる店員はいない。

● そんなことをしたらお客は逃げそうだしね。丁寧な応接を差別化要因にするのは,実際には難しそうだ。
 ただ,店内の空気感がいいなと思うことはある。空気感を作るものは何なのか,ぼくにはよくわからないのだけれども,店主の性格とか人間性が空気に滲みだすってのはたぶんあるのだと思う。とすると,これは技術の問題ではないことになる。

● 銀座について「とても不思議なところよね。モダンなのに日本らしさもあって,気品にあふれているのに親しみやすい,高級なのにお買い得な気持ちにさせて,懐かしい雰囲気なのに新しさを感じさせる」(p246)と登場人物に言わせている。
 ぼくに銀座について語る資格があるとは思えないが,この指摘に概ね賛成だ。ぼく自身,池袋でも新宿でも渋谷でも六本木でもなく,銀座に出ることが多い。銀座が一番カンファタブルだ。
 ただし,ぼくが入れるのは文具店だけ。銀座で飲んだり食べたりしたのは,トータルでも片手で数えられるくらいしかない。飲食は新橋ってことになっちゃうんだわ。

● 「新入りの一番の仕事は元気な挨拶と返事をすることだ」(p148)などとも言わせている。誰からも異論がでないであろう教訓も所々に散りばめて,ストーリーを流していく。
 この教訓が登場するのは今回が初めてではない。これが語られやすい場面設定が何度かあった。

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