書名 考える鉛筆
著者 小日向 京
発行所 アスペクト
発行年月日 2012.04.06
価格(税別) 1,500円
● のっけに次のような文章が出てくる。
なによりも,削ったあとに削りかすができるから鉛筆は楽しい。鉛筆は短くなる代わりに,削りかすという世にも美しいものに姿を変えるのだ。(p14)
● オタクだぁ。著者は女性なんだけど,女性にもオタクはいる,と。ま,いますよね,そりゃぁね。
で,鉛筆削りによってどんな紋様の削りかすができるかとか,鉛筆の削り方とか,マニアックというかオタッキーというか,そんな話が続く。こちらとしては,どうでもいいんじゃないですかとツッコミを入れたくなりながらも,ついつい最後まで付き合わされてしまう。
● ただし,最終章「思考の流れを邪魔しない鉛筆」は,「知的生産の技術」論としても読み応え充分。ひとつだけ引用しておく。
何度でもしつこく書くが,あなたの筆圧には限定値などない。筆記具に合わせてあなたは筆圧を調整すべきなのだから,筆圧が高いので○○○は使えない,のではなく,○○○は筆圧をかけずに使うものなのだからそう用いる,としよう。 (中略)主軸としたいのは筆圧に幅を持たせることで,そのことによって手にかかる負担は軽減され,もっと楽に多くの文字を書くことができる。楽に文字を書く方法が自分のものになれば,考えることもおっくうにならない。(p181)
だったらパソコンを使えばもっと楽ですよ,とも思うんだけどね。これはまた別の話でしょうね。とっさの時のメモとりってパソコンじゃできないからね。