2023年12月24日日曜日

2023.12.24 mizutama 『はじめての万年筆とインクの本』

書名 はじめての万年筆とインクの本
著者 mizutama
発行所 エクスナレッジ
発行年月日 2023.08.19
価格(税別) 1,680円

● 現在の文具界を牽引する mizutama さんの新刊。万年筆とインクについての解説もあるけれども,それは本書の一部。メインは,万年筆とインクを使って絵を書くための初歩的な教本であるところ。
 たとえば,線にグラデーションをどうつけるか,といったことが解説されている。

● mizutama さんの本とあれば,そうだと思って買う人がほとんどだろうけど。万年筆とインクについて知識を得ようと思ってこの本を買いました,という人はまさかいないだろうけど。

2023年12月11日月曜日

2023.12. 11 マイスターシュテュックでもできないこと

● 品川に来たので,コクヨの品川キャンパスで測量野帳を広げてみた。観光客の気分作りね。3行ほど書いて帰ってきた。
 言っちゃ何だが,測量野帳に万年筆で文字を書き連ねるのはなかなかに気分がいい。

● 199円の中華製ダミーサファリでも,440円のプラチナPreppyでも,Amazon で2,960円のラミーサファリでも,15万円のモンブラン マイスターシュテュック149でも,気分の良さはあまり違わない。

● 高価な万年筆で書けば次々に文章が溢れてくるなら苦労はないが,文章は書き手の頭脳と体化された経験等に依存するものだから,そういうわけには行かない。
 マイスターシュテュックもバカの補正はできない。

● しかし,ペンを使いたくて,そのために書くという趣味人が,この世にはあまた存在するだろう。
 自分の時間とお金を何に使おうと,その人の勝手だ。“何人の容喙をも許さず” でいいのだ。

● が,自分にピッタリの1本を探す旅は,自分探しと同じで,ないものを求める不毛な作業だ。
 自分とは時間の関数でもあって,一定不変の自分など存在しないからだ。今日はピッタリの1本が明日もそうである保証はない。こちらが変わってしまうんだから。

● いったん始めると死ぬまで続けるほかはない。それが嫌なら,どこかで見切りをつけないといけない。
 その見切りは早ければ早いほどいい,とぼくは思う。その上で “何人の容喙をも許さず” を続けるのは,どうぞご勝手に,という話だ。

2023年12月2日土曜日

2023.12.02 Bun2 12月号

● 今回も東武宇都宮百貨店の5階文具売場でもらってきた。特集は「読者が選んだベスト文具30-2023年 Bun2大賞」。たぶん,年6回刊行(偶数月)の「Bun2」の中で最も読みごたえのあるのが今回の12月号だと思う。
 その30の文具について,高畑文具王,いだてたく,他故壁氏の3氏が鼎談で評価しているのを読めるので。

● といって,その30の文具の中で,ぼくが買ったのは2つだけ。三菱鉛筆の「ユニボールワンP」(第2位)とサンスターの「TANK」(第22位)だけだ。
 それぞれ複数本買っているのだけど,ほとんど使っていないのが実情。

● というのも,ぼくの文具を使うシーンというのがひとつしかないからだ。測量野帳(今は LEVEL BOOK を使用中)に文字を書き連ねるというのが,唯一のぼくの筆記シーンだ。それ以外に文具を使うことはない。
 強いていうと,手帳に何か書き込むくらいのものだが,それはシーンに数えるほどのことでもない。

● ので,必要な文具も限られてくる。野帳と筆記具が1本あれば足りてしまうわけだから。
 したがって,多品種の文具を買う必要はなく,小品種大量(?)購入・消費となる。要は,野帳と鉛筆があればいいよ,って感じなんだな。

● いくつか転載。
 (ユニボールワンPについて)小型の手帳が売れてるじゃないですか。あれにちょうどいいよね。最近,手帳が小っちゃくなってきたから。(高畑 p10)
 三菱の最近のこなれてきた感がすごいじゃない。かたちの作り方が上手なんだろうなって思う。(高畑 p10)
 最近思うんだけどさ,ガストにいる配膳ロボット。あれを猫にした人は天才だなって思う。(高畑 p12)
 Bun2大賞の12位がサンスターのネコゴム。消しゴムなのだが,ぼくは持っていないし,当然使ったこともないのだが,けっこう話題になったようだ。
 しかし,たぶんリピーターはいないのじゃないかと思う。聞くところによると,消えない消しゴムらしのでね。消えない消しゴムではいくらネコの顔が可愛いといっても,使ってみようとは思わなかった。
 あと,文具店で売られているのを見たことがない。それも買わなかった理由のひとつなのだが。
 今,文具業界はericさんとmizutamaさんで回ってんだよ。素敵文房具の2大巨頭だね。(高畑 p12)
 (LIHIT LAB.のmyfaについて)今の若い人らは車も買わないし,海外旅行にも行かない。推しに投資するのが最大のお金の使い方なんだよね。そこを文具メーカーが把握した上で投資対象を盛り上げるツールを生み出したのはなかなか上手いし,面白い流れだと思うな。(きだて p13)
 (トンボZOOMについて)日本の文房具がダサい・カッコ悪いって,僕らよりちょっと上の世代の人たちはみんなそう思ってるんですよ。で,みんなラミーとか言うじゃないですか。全然そこに負けてないよって思うんだよね。(高畑 p14)
 男性は,女性のようにジュエリーで身を飾ることが少ないから,筆記用具がおしゃれの方法になるのかもしれない。なにしろ,万年筆は高級感があり,ステイタス・シンボルとして捉えられているふしがある。(外海君子 p24)
 万年筆がステイタスになったのは昔のことだと思いたいのだが,今でもその気風は残っているんだろうか。そんな社会はそもそもが貧しい社会だと思うんだが。あるいは共同体がしっかりとあった時代の話。
 個化がますます進み,互いに他者には最小限度の関心しか向けないようになるのではないかと思っているのだが,そうなると,万年筆に限らず,ステイタス・シンボルという概念じたいが,なくなるとまでは言わないけれども,かなり薄くなるような気もするのだが。