2025年11月28日金曜日

2025.11.28 弘前の平山萬年堂

● 弘前に平山萬年堂という,創業100年を超える老舗の文具店があることを,ネットで知った。伊東屋を始め,創業100年を超える文具店はけっこうあるようだけれども,大きくもせず,支店も出さず,現在も街の文具店として存続している極めて稀有な存在。
 いや,稀有ということはないのか。他にもあるようだ。

● そんな老舗に,Campus ノートと鉛筆と消しゴムしか使っていない,ぼくのようなチンピラが行っていいのかと躊躇いながら,でも行ってみた。
 なるほど,小さな文具店だった。100年の歴史を感じさせるたたずまいも同時に併せ持っている。

● ともかく中に入ってみた。萬年堂というくらいだから,万年筆が中心の敷居が高い店かと思っていたのだが,学用品も商っている。
 古い鉛筆もあるのかと思ったが,そういうものはなし。鉛筆は uni と STAEDTLER と Faber-Castell があった。

● 何も買わずに出るわけにはいかないと思ったのでいくつか購入した。鉛筆キャップ,カッター,パイロットのつけペン。
 が,いずれも当面は(あるいは半永久的に)不要なもの。

● 元々,万年筆とインクから出発し,他の文房具も扱うようになったが,ここに来て原点回帰を考えているといった旨の話を聞いた。
 という話を聞いては,その方面のものも買わないわけにはいかない。平山萬年堂オリジナルのインクを買った。弘前煉瓦レッド。50ml。
 せっかく弘前まで来たのだからという気持ちもある。観光土産品としての側面もあるわけで,財布の紐が緩みがちになるのは仕方がない。

● 御当地インクはすべてそうなのだろうが,このインクもセーラーが製造している。御当地と言いながら,製造は中央。
 インクを作るには工場もノウハウも必要だから,そうならざるを得ない。インクメーカーじゃなければ,インクは作れない。そういうことはわかるんだけれども,多少鼻白むとこりがなくもない。

● 来年からモレスキン・ミディアムを使って連用日記を始めることにする。そこでこのインクを使うことにしよう。ラミー・サファリに吸わせることになるだろう。
 この場合の唯一の気がかりは,モレスキンにこのインクを使うと裏抜けが起こらないかということ。何せモレスキンだから。今日買ったつけペンで試してみればいいことだな。

● 太宰治が『津軽』で「弘前は決して凡庸のまちではないと思った」と書いている。そう思った理由のひとつに平山萬年堂の存在もあったろうか。
 文脈からすると,関係はまったくなさそうなんだけども。

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