2026年2月28日土曜日

2026.02.28 日本の50円鉛筆が優秀であること

● 前回から旅先には再び鉛筆を持ち出すようになっている。以前持ち出していた北星9500のHBにその任を命じているのだが,こうして書いていると,家で使っている Hi-uni のBとの差異はほとんど誤差の範囲に収まるのではないかと思えるほどに,違いがない。

● Hi-uni の方が芯の減りが少ないかもしれない。それと何というのか,ひと文字あたりの黒鉛の粒子数が Hi-uni の方が多い感じというか,筆線のクッキリ度がわずかに勝るというか,その程度のものだ。
 それも違いを探そうという視点を強いて持たせた場合の話であって,普通に書いている分には,Hi-uni でも9500でも変わりはない。Hi-uni でなければならない理由は何もない。

● 北星9500を使っていて思うのは,日本の50円鉛筆の優秀さだ。北星のHBは三菱やトンボより濃い。三菱9800やトンボ8900を使うとしたら,Bの方がぼくには向いていると思うが,9800や8900のBを使っても,同じように快適に書いて行けるだろう。
 いや,9800のBは体験済みだ。何の問題もない。快適だった。

● 鉛筆を使うのは小学生しかいないのだから,小学生にこそ Hi-uni を使わせたらどうかと思うことがあった。わずか165円で買えるのだから,小学生にはいい鉛筆を使わせるべきだ。
 それによって鉛筆に好印象を持ってくれたら,長じてから鉛筆に戻ってきてくれる可能性が少しでも高まるんじゃないか。

● が,間違いだった。彼ら彼女らが現に使っている鉛筆も充分にいい鉛筆なのだった。たとえ Hi-uni を使わせたところで,長じた後に鉛筆を思い出して,鉛筆に戻ってくる確率は変わらない。
 一般筆記に限れば,道具にこだわることに意味はない時代にとっくに到達しているわけだろう。

● こだわる必要のないことにこだわって,救いのない自己満足に浸っている暇があるのなら,その道具を使ってする作業に集中せよ,作業する時間を5分でも10分でも長くすることに意を用いよ,と神様は言ってるよ,たぶん。
 弘法筆を選ばずと言えども,紙とペンはよく選べ,などとナントカのひとつ覚えをかましている場合じゃない。作業する時間を増やせ。
 以上,自分に言ってみました。

2026年2月25日水曜日

2026.02.24 手書きの快

● Campus ノートの白紙を鉛筆で埋めていく。そこに快感がたしかにある。手書きの快感。
 大したことは書いちゃいない。書かなくても困ることは何もない。この快感を掠め取りたくて書いているのだろうかな。

● Campus でなくてもいい。鉛筆でなくてもいい。何であっても手書きの快感は掠め取れる。
 つっても,Campus より安いノートは百均ノートくらいだろうし,鉛筆より安い筆記具はどこぞで配っているノベルティのボールペンくらいのものだろうから,Campus と鉛筆を使うのが安上がりですむ所以でしょうけどね。

● 安上がりですむのが大事なところだと思っている。快感を掠め取るためには量を出さなければいけないからだ。
 ノートをたくさん消費することが,掠め取るための前提だ。たくさん消費するのだから高いノートでは困る。

● これは想像で言うのだが,たとえ貴方の年収が2,000万円であったとしても,この事情は変わるまい。
 気安く大量に使えるものでなければならない。Campus は質が良くて安いんだから,使わない手はない。

● 「書く瞑想」なんていうタイトルの書籍も出ているけれども,書くことには心を整える効果があることは間違いないと,ぼくも思っている。書いて吐き出すことの効果だ。
 しかし,吐き出し切るためには,もうこれ以上書くことはないというところがスタート地点になる。そこからどれだけ吐き出せるか。

● 意識下に沈んでいるものまで吐き出せないといけない。意識に上っているものは,意識下に沈んでいるものを引きずり出すための呼び水に過ぎない。
 そのためには,まず,意識にあるものをすべて吐き出すことが予備作業になる。その予備作業の過程で意識下にどれだけフックをかけられるか。それは神のみぞ知る。

● したがって,上手く行かないこともしばしばある。いや,上手く行かないことが常態だと思っていればいいのではないか。
 たまにズルズルと意識下を引きずり出せたと感じることがあるわけで,そのときは,これが書くことの醍醐味かと思うことになる。

● 巷の「モーニングノート」も pen-info さんの「瞬記」も,そこまで行かないと書く意味の過半はないことになるのではないかと思っている。
 ので,「モーニングノート」を毎朝やっていますという人がもしいたとしても,それは相当に凄いことだと思うのだけれども,意識下に到達できていないのであれば,週に1回か2回にして,1回あたりの排出量を増やしてみるのがいいのではないかと思う。

● そして,その作業を忙しい出勤前の朝にやるのは不可能に近いのではないかと,ぼくは思っている。それをできている人がいたら,それこそ神に近いのではあるまいか。凡人には到底叶わない技だ。
 だから,気張らず焦らず,気長にやるのがいい。短兵急にならないこと。

2026年2月22日日曜日

2026.02.22 三越文具祭り

● こんなのもあるんですねぇ。16日から23日まで。日本橋三越の5階と7階。
 22日に上野に出る予定があるんだけどもね。たぶん行かないな。

● ほぼすべて,ぼくの筆記スタイルには関係のないもの。ガラスペンとかスタンプとか木軸ペンとかね。
 というか,Campusノートと鉛筆しか使わない人間に来られたって,先様のご迷惑でしょうよ。

● ところが。せっかく上野に来たんでね,寄ってみることにしました。
 上野から山手線で神田。神田駅から歩きましたよ。

● 5階はインクとガラスペン。依然として人気なんですな,ガラスペン。
 こういうところは秋葉原と同じオタクオーラを出してる人が多いのかと思ってたんですが,そんなことはないんでした。普通の人たちでした。

● 7階はスタンプ・はんこ と 木軸ペンがメイン。スタンプ・はんこ は女子御用達かと思ったら,これがそうでもない。
 奥さんや彼女に付いてきたのではなく,自分の意思で来たと思える男子がけっこういるんでした。

● 木軸ペンは少年たちに人気と聞いたんだけども,ぼくが行ったときには少年たちは見かけなかった。
 木軸なんて鉛筆だけで充分だろうよ。万年筆やボールペンを木軸にして何が楽しいのだ? と思う時点で時代に添えていないんでしょうな。仕方がない。
 滞在時間は30分程度。やっぱり,ぼくには無縁のものでした。すみませんでした。

● 日本橋三越は建物自体が国の重要文化財に指定されている。建築や近代遺産に興味のある人はもちろん,そんなのどうでもいいと思ってる人でもけっこう遊べるところなんだよね。
 日本橋にある老舗のデパートなんだから,集客力はある。しかも,富裕層を呼べているように見える。西武やそごうとは違う。
 催事も多彩だ。もちろん,律儀に付き合ったんじゃお金がもたない。チャッカリ付き合わないといけない。

● ここの屋上もぼくはわりと好きだ。立派な神社があり,日本庭園がある。天気が良ければ,ここでぼんやりするのも悪くない。平日ならぼんやりできる程度には空いていると思う。
 都市ならではの楽しみ方ができるんじゃなかろうか。というか,東京ならではの楽しみ方ね。

2026.02.22 横罫の測量野帳が出た

● 自治医大駅前の「うさぎや自治医大店」を覗いてみた。入口のほど近くに “コクヨ,春の Campus 祭り” のコーナーがありまして。
 そこに「ポケットノート」というのがありました。“スキマ時間で勉強できるポケットノート” とあります。

● 判型は測量野帳と同じ。表紙の硬さも測量野帳。8枚折丁を5つ重ねて製本するのも測量野帳と同じ。
 しかし,罫線は Campus 罫。B罫であります。23行。

● 要するに,横罫の測量野帳が出たって感じです。大昔にはありましたけどね,横罫の測量野帳。製品系列は「セ」ではなく「ノ」でしたけどね。
 お値段は418円。測量野帳よりチトお高い。

● 「ハーフサイズだから要点を一目で見返せる」と謳っておりますが,中高生には A6 Campus を使えばいいんじゃないですかと申しあげたい。Campus なら百円ショップでも買える。デキる受験生は安いノートを使うものでしょう。
 え? そんなことはないんですか。418円くらい気にしないんですか。そうなんですか。

● が,このノートは中高生よりも野帳好きの大人が買うかもね。ぼくも売場にあった全色を買いました。
 横罫の測量野帳? ダッセー,となりますかね。ぼくもこのノートをリピートすることはないと思いますわ。LEVEL BOOK を,左ページの縦線を無視して,横罫ノートとして使ってましたんでね。418円も出して,このノートを使う理由はないッス。

2026年2月21日土曜日

2026.02.21 アートに親しむ

● 今月11日に丸善本店でPENONのウッドポストカードを1枚買った。ゴッホの「夜のカフェテラス」。
 その「夜のカフェテラス」は雑に立て掛けている。毎日眺めてますよ。アートに親しんでる。

● 「鬼滅の刃」と同居しているんだけどね。ぼくの筆記空間は整理とか整頓とは無縁のとっ散らかりで満ちている。
 これでいいと思っているわけではないが,これじゃダメだと思っているわけでもない。

● A6 Campus の透明カバーに絵ハガキを挿し込む。アートに親しむってのは,この程度でいいと思うんだな。
 現在使用中の Campus の表紙も立派なアートだわ。してみると,女性の多くは普段からアートに親しんでそうだよ。

● こうした絵ハガキは,無料の展示即売会に出かけていくと何枚か手に入る。そういうものを捨てないで,有効(?)活用すればいいんだよね。
 作者も喜んでくれるだろう。展示している絵を買ってくれればもっと喜ぶだろうけどさ。

● アートに親しむのにお金は要らない。美術館にわざわざ出かけていくこともなければ,分厚い画集を買って部屋を狭くする必要もない。
 あんまりシャカリキにならないで,ゆるーくいい加減にやってけばいいんじゃないですかね。

● ぼくの場合だと,必要なのはA6ノートの透明カバーだけ。ここで調子こいて,革製のカバーなんか買ってカッコつけちゃったりすると,アートに親しむことは難しくなる。
 アートにはチープが似合うんでさぁ。力まないことですよ。

● でもって,アートに親しむと何が変わるかといえば,そんなもの,何も変わらない。アートに親しめば何かが変わるなんて考えるのは,人生を舐めてるでしょうよ。
 コンマ何秒か,かすかにホッとする。それだけです。本物の作品を見て深い啓示を得たなんてのは,偉大な芸術家の伝記にしか出てきませんよ。オレらには間違っても起きませんよ。

● たとえば,これだってアートだよなぁ。弘前の平山萬年堂のカレンダーのに印刷されていた。そこだけ切り取ってクリアケースに入れて,時々眺めている。
 アートに親しんでいるわけね。

● ちなみに,そのときに買った「弘前煉瓦レッド」のインク。サファリに吸わせて使ってみようと思ってるんだけども,なかなかその機会がない。

2026年2月20日金曜日

2026.02.20 上田健次 『銀座「四宝堂」文房具店Ⅴ』

書名 銀座「四宝堂」文房具店Ⅴ
著者 上田健次
発行所 小学館文庫
発行年月日 2025.04.09
価格(税別) 710円

● 『Ⅴ』の小道具は “ものさし” “カード” “ナイフ” “サインペン” “絵具”。
 “ものさし” では中学生コンビの瑛太と晴菜が再登場する。

● 「定番品というのは,その豊富な販売量もあって,価格を抑えながら高品質なものが多いのです」(p203)と主人公に言わせている。ぺんてるのサインペンとボールぺんてるについて主人公が語る場面。
 定番品の代表が Campus ノートだと思うのだが,Campus に限らず,素直に定番品を使った方がいいとぼくも思う。マイナーにこだわるのも別に悪くはないんだけれども。

● 他に以下のような金言も出てくる。こういうのも尖り過ぎてはいけないし,あたりまえ過ぎてもインパクトに欠ける。基本,ある程度に流布しているものである必要があるだろう。
 お客さんの代わりはいくらでもいるけれど,一緒に働いてくれる人の代わりを見つけるのは大変だもの。(p88)
 研ぐのはお前じゃなくて砥石の仕事だ。強く押しつけたからって,うまく研げる訳じゃない。(p160)
 そう,残酷なまでに努力だけでは,どうしようもないものが芸術にはあって,持たざる者が持つ者を超えることはない。(p271)
 好きなことで食べていける生活を羨む人がいるけれど,俺に言わせれば何も分かっちゃいない。好きなことは好きなことにしておくべきだ。日々の糧を得る手段となった瞬間に,そこにはある種の計算が生まれてしまうし,そうあって然るべきだ。(p291)
● ライトノベルだろうと純文学だろうと,小説を読むなんて何十年ぶりだろう。だんだん読み方を思い出してきたというか,早く読めるようになってきた(早く読めても仕方がないのだが)。ストーリーの展開に慣れてきたせいもある。
 本というのは移動中の電車の中でしか読まない(読めない)ものになっていたが,今回は家でもチョコチョコ読めた。

2026年2月18日水曜日

2026.02.18 上田健次 『銀座「四宝堂」文房具店Ⅳ』

書名 銀座「四宝堂」文房具店Ⅳ
著者 上田健次
発行所 小学館文庫
発行年月日 2024.10.09
価格(税別) 730円

● Ⅳの小道具は “リボン” “スクラップブック” “ボールペン” “クリップ” “奉書紙”。4巻目にもなれば,これらを咬ませたストーリーを作るのも手慣れたものだなという印象になる。

● 「糊やペンなどはコンビニでもお求めいただけます。さすがにスクラップブックは置いてないでしょうが・・・・・・。けれど,ネットショップなどであれば当店を遥かに超える品揃えをしておりますし,翌日にはご自宅にお届けするなど配送サービスも充実しております。当店のような小さな文房具店などは,せいぜい丁寧な応接に務めるぐらいしか差別化できる要素がないのが実情です」(p82)と主人公の宝田硯に言わせているのだが,丁寧な応接というのはリアルの文具店ではなかなかないな。
 店員はレジにしかいないもん。こちらに近づいてきて,何かお探しですかと訊いてくる店員はいない。

● そんなことをしたらお客は逃げそうだしね。丁寧な応接を差別化要因にするのは,実際には難しそうだ。
 ただ,店内の空気感がいいなと思うことはある。空気感を作るものは何なのか,ぼくにはよくわからないのだけれども,店主の性格とか人間性が空気に滲みだすってのはたぶんあるのだと思う。とすると,これは技術の問題ではないことになる。

● 銀座について「とても不思議なところよね。モダンなのに日本らしさもあって,気品にあふれているのに親しみやすい,高級なのにお買い得な気持ちにさせて,懐かしい雰囲気なのに新しさを感じさせる」(p246)と登場人物に言わせている。
 ぼくに銀座について語る資格があるとは思えないが,この指摘に概ね賛成だ。ぼく自身,池袋でも新宿でも渋谷でも六本木でもなく,銀座に出ることが多い。銀座が一番カンファタブルだ。
 ただし,ぼくが入れるのは文具店だけ。銀座で飲んだり食べたりしたのは,トータルでも片手で数えられるくらいしかない。飲食は新橋ってことになっちゃうんだわ。

● 「新入りの一番の仕事は元気な挨拶と返事をすることだ」(p148)などとも言わせている。誰からも異論がでないであろう教訓も所々に散りばめて,ストーリーを流していく。
 この教訓が登場するのは今回が初めてではない。これが語られやすい場面設定が何度かあった。