2026年6月25日木曜日

2026.06.25 好みは変わる,揺れる

● 昨日買った,LYRA の Super FERBY を使ってみた。名前からして学童用の鉛筆かと思う。
 三角太軸だが,日本のそれよりさらに太軸。硬度表記はないが,日本鉛筆のHB程度だ。
 ぶっとい芯。ドイツの学童が思いっきり筆圧をかけてこの鉛筆を使っている様を想像してみる。なかなかいいぞ。

● 買ったはいいが,使うことなく数年が経過した FABER-CASTELL の9000 JUMBO。2Bだが,LYRA とほぼ同じ硬度(気持ち,こちらの方が濃い)。
 ぼくは日本基準のBか2Bを好むものだが,HBも許容範囲に入ってきた。こうしてHBの芯を使っていると,それが自分の守備範囲に入り込んで来るという感じ。自分の守備範囲が広がるのではなくて。

● KOH-I-NOOR JUMBO はHBしか持っていない。日本基準だとHになる。さすがに薄い。が,いずれここまで許容範囲に入って来そうな気がする。
 ちなみに,JUMBO 鉛筆は他に STAEDTLER のものもあるが,ぼくは KOH-I-NOOR のこの黒いシンプルな佇まいを最も好む。

● 人間の感覚に不動点はないっぽい。かなりの幅で揺らぐ。不動点がないのだから,どの方向に揺らいだのか,どのくらい揺らいだのかも計測し難い。そもそも,計測が成り立たない。
 要は慣れの問題と言い換えてもいいが,大事なことは自分の感覚が不動だとは思うなってことだな。

● 感覚に限るまい。政治信条だの異性の好みだのも揺らぐものだろう。
 全く揺らがないとすれば,情報摂取が少なすぎるか,偏りすぎているのじゃないか。あるいは死人に近いくらい活動量が少ないか。
 揺らいでいるのが正常だ。朝令暮改をあまり悪く思わない方がいい。首尾一貫をあまり重んじない方がいい。

● 今までは北星のHBは問題ないが,北星以外のHBはちょっと硬いかな,薄いかなと思っていたのだが,そこからけっこう動いているぞ,ということ。
 とはいえ,ぼくの好みはまだBか2Bにある。HBでもいいけれども,好んで使うのは依然としてBか2Bだ。
 でも,それだって変わるかもしれない。HBがいいけれどもBか2Bも許容範囲だな,と逆転している可能性だってある。

2026.06.24 福島の「ペントノート」

● 福島市の「ペントノート」。今回が二度目の訪店。今年の1月末以来。小さい店だが,こういうセレクトショップが地方都市で成り立っているのが,驚きと言えば言える。
 ただし,1階に汎用店(?)の「文化堂」があるからね。それが2階の「ペントノート」を支えているのかもしれない。

● 鉛筆を6本買った。アメリカの Musgrave が3本。ドイツのLYRA,FABER-CASTELL,STABILO。

① Musgrave CUB 3030T 220円
② Musgrave Choo-Choo 8500 220円
③ Musgrave 5050 FINGER FITTER 242円
④ LYRA Super FERBY 330円
⑤ FABER-CASTELL Grip 2001 143円
⑥ STABILO EASY graph 352円

● ⑤を除いて,Hi-uni を優に越える値段なんだねぇ。現地で買えばもう少し安いんだろうけど,欧米は鉛筆も高いんですな。
 加えて円安ですからね。国産を使っとけって話です。「ペントノート」には国産鉛筆はないんだけども,1階の「文化堂」にはありますからね。

● まぁ,ありていに申して,無駄遣いだね。しめて1,507円のささやかな無駄遣い。
 でも,まぁ,無駄とわかってやってる無駄は,どっちにしたって知れている。無駄と思わないでやってる無駄が膨大にあるはずだよ,諸君。

● ⑥は右利き用と左利き用がある。右利き用は頭が赤で丸められているが,左利き用は黄色。当然,軸に印字されている文字列は逆並びになっている。
 鉛筆でそこまでするのかと思った。社会は行き過ぎることがある。そのコストは消費者が負担する。

● ⑥は学童に向けたものだろう。軸を削ってあるのは持ちやすくするためだ。というか,正しく持てるようにするためだろうか。欧州に鉛筆の正しい持ち方などという概念があるのかどうか知らないが。
 しかし,学童向けにしては値段がなぁ。STAEDTLER の学童向け鉛筆にもとんでもなく高価なのがあった気がする。学童にこそ質のいい鉛筆を使わせるべきだと言うなら賛成だが,本当にそれだけなのかね,と勘ぐってしまいたくなるのは,ぼくが下賤な人間だからか。

● 硬度表記があるのは⑤と⑥だけ。製品名で硬度もわかるのか。同じ製品で複数硬度を出すことはないんだろうかね。
 この製品はHB,こちらは2B,と憶えているわけかね。そんな芸当がよくできるものだな。製品自体が日本に比べて少ないってことはないと思うんだが。

● ⑥以外にも,①〜④も学童向けかと思われる。⑤以外の5本は学童に向けたものではないか。
 が,「ペントノート」ではこれらを学童用として販売しているわけではあるまい。もしそうなら,そもそも扱っていないはずだ。デザイン鉛筆(?)として置いている。あんまり見かけないお洒落な鉛筆でしょ,と。

● 鉛筆に学童用とか大人用とかの区別を強調しても仕方がないが,アメリカやドイツでは学童用として売られているものが,日本ではお洒落鉛筆として売られている。
 そういうことがあるのは知っておいた方がいいんでしょう。いろんな場面であるんじゃないだろうか,そういうことが。

● 「ペントノート」はセレクトショップゆえ,普通の文具店にあるようなものは置かれていない。よそにはないようなちょっと澄ました文具が多い。そういうのを “デザイン文具” というのか。
 薄い小さなノートで1,600円を越える値段のがあったりする。たしかに表紙はカッコいいんだけど,こういうのを誰が使うんだろうと思ってしまう。あまりノートを使わない人が使うんじゃないだろうか。

2026年6月23日火曜日

2026.06.23 仙台の「文具の杜」

● 仙台に来た。アエル4Fの「文具の杜」。今回が二度目。
 トータルでは新宿の世界堂,浅草橋のシモジマ,銀座の伊東屋に及ばないとしてもワンフロアの広さは相当なもの。回遊しやすい。

● 大変な品揃え。世の中にはこんなものもあったのかと教えてくれる。ホームセンターの趣さえあるかと思えば,Namiki の蒔絵万年筆も置いてある。何でもある。
 ただし,欲しいものだけがない。自分が必要とするものはごく少数で,その欲しいものは手元に過剰に抱えているのが,そう感じる原因。

● では,具体的に見ていこう。
 Campus-Rollbahn コラボの製品群がこちらではまだ相当残っている。始まってから半年になるのに,測量野帳も一番人気の “屋上” こそないものの,“黒板” と “飛行場” はたんと残っている。
 Rollbahn 用紙の Campus など,他のものも相当ある。

● A5のコピー用紙もる。A4やB5なら置いてある文具店は珍しくないけれども,A5は少ない。
 ぼくはA5をシステム手帳に挟んでる。わりと多用している。“貼る” をするからだ。
 以前はダイソーにあったので,5束か6束買ってある。ダイソーで見かけなくなったので,補充は家電量販店だなと思ってたんだけども,仙台市民は文具店で補充できる。だから何? という話ではあるかもだけど。

● デザイン文具のコーナーもある。RHODIA とか,penco(HIGHTIDE)のボールペンとか,MOLESKINE とか。そうか,こういうのをデザイン文具と言うのか。 
 RHODIA もそうなのか。RHODIA は典型的な実用品だと思っていたのだが。

● 三菱鉛筆の uniball ZENTO の緑色のがあった。グラッシーというのが,メーカーが付けた名前らしい。
 ボールペンも売るほどある(安物ばかりだが)。もう買うつもりはないのだけれども,この色にはちょっと惹かれた。
 シグニチャーモデルは入荷待ちの状態。いくら何でも欲しい人には行き渡ったろうと思っていたのだが,まだまだなのか。

● といったところなのだが,いかんせん欲しいものがない。せっかく来たのだから,記念に何か買って帰りたい。と言って,コピー用紙を持ち帰るのは重すぎる。
 他に何かないか。候補に残ったのは2つ。ひとつはパイロットのデスクペン細字。プラチナの極細は手元にあるのだが,極のつかない細字があってもいいかな。でも,たぶん使わないな。万年筆はサファリでいいや。
 もうひとつは,三菱鉛筆9800VB。これ,どういうわけか,ANGERS 丸の内店でバラ売りしてるんですよ。でも,これも自宅の鉛筆タンスを探せばあると思う。

● というわけで,何も買わないで,店を後にした。誠にもって申しわけない。

2026年6月22日月曜日

2026.06.22 ANGERS 丸の内店で

● ANGERS 丸の内店で Musgrave の鉛筆を買いました。1本だけね。140円。これが5種めの Musgrave
 Musgrave は「TEST SCORING 100」の滑らかさが出色だと思うが,ANGERS が扱っているのだから,悪い鉛筆ではあるまいと考える程度のリスペクトは ANGERS に対して抱いている。

● 串田孫一の文庫本。白日社の『文房具』は大昔に買って読んでいる。この文庫本はその新装版なんですかね。ま,ゆるりと読んでみることにしますわ。
 ちなみに,この鉛筆で文庫本を叩くと,ポコポコといい音がします。

● カランダッシュのエクリドールのボールペンがシルバーの光を放って,おいらも買ってくれよと訴えてるような気がしたが,バカ野郎,お前を買ってやるほど暇じゃねーんだよ,と一蹴した。
 わかるでしょう。買えませんよ,エクリドールなんて。そんなお金がどこにあるんだよ。ボールペンなんて使うシーンがなくなっちまったしよ。

● 「TENTと文具」フェアをやっていた。「TENT」とはキャンプに使うテントではなくて,“最高のアイディアは1枚のコピー用紙から” を標榜する「東京と岐阜を拠点に活動するクリエイティブチーム」らしい。
 クリエイティビティーに溢れ,バリバリ活躍中の人には関係ない話だろうけど,クリエイティブに憧れる人には刺さる展示かもしれない。小さなスペーズだけれども。
 展示のセンスもいい。むしろ,見るべきはそこかもしれない。

● ANGERS のレジ袋。このデザイン,良くないですか。
 life and design はぼくには遠い境地ではありますけどね。

2026年6月20日土曜日

2026.06.20 鉛筆のプラケースが筆箱になった時代があった

● 右の写真はリボンの絵柄鉛筆,503番。
 この鉛筆がいつのものかは知らないが,プラケースの右側に何か入っているわけではない。uni や MONO には消しゴムが入っているが,このケースには何もない。
 けれども,わざわざ空きスペースを作っているのは,このケースを筆箱として使えるようにするためだろう。

● Hi-uni や uni のケースを筆箱にするのが流行った,それに憧れた時代があった。Hi-uni や uni の,中身は無理でも,ケースを欲しがる子供は普通にいただろう。
 昭和50年代の前半までは,そうしている人が大人の中にもいたと思う。

● それから幾星霜。鉛筆は安くなり,そうした誘引力を失った。それ以前に鉛筆を使う人が減った。
 プラケースが高級鉛筆の印であった時代も過ぎた。プラスチックの値打ちが下がったどころか,環境汚染の代名詞になった。今は紙ケースの Hi-uni もある。

● 社会のすみっコの変化ではあるけれど,「久しくとゞまりたるためしなし」の一例。

2026年6月19日金曜日

2026.06.19 鉛筆は時空を越えない

● 万年筆やボールペンに比べて,鉛筆はとにかく耐用年数が長い。戦前に生産された鉛筆が普通に使える。
 戦前の鉛筆を使うと,その時代の空気を感じるか。アメリカインドの鉛筆を使うとアメリカの風やインドの灼熱が伝わって来るか。
 そんなことはない。使っている場が令和8年の北関東の田んぼの村にある陋屋なのだ。場の粘着力は強烈だ。

● それを破れるものがあるとすれば想像力だけなのだろうが,場を破るほどの想像力をどうしたら獲得できるのか,ぼくにはそれこそ想像しかねる。
 旅行記や歴史書,文芸作品をどれほど読んだらリアリティに充ちた想像が可能になるのか。

● いつの時代に,どこで生産されようとも,今ここにある鉛筆はあくまで1本の鉛筆という物体であるに過ぎない。その物体からそれが製造された時代や場所の何かを感じられることはない。
 感じられると思ってもいけない。おそらく,それは脳が勝手に作り出したイリュージョンでしかないからだ。この鉛筆は前世紀のもの,この鉛筆はインドで生産されたもの,ということを予め知っているから,それに応じて脳が勝手に作動した結果に過ぎない。

● ヴィンテージという言葉があるが,そのヴィンテージが時代を偲ぶよすがとなるのは,形状が現在のものと違っているからだろう。経年変化も含めて,時代がかっているからだ。
 しかし,そのヴィンテージでその時代の何がわかるか。見る人が見れば何がしかはわかるんだろうけど,ぼくら素人は今とは違った形状を形状として認識して終わる。それだけのことだ。

● それを鉛筆に求めるとすると,軸に印字されている文字の書体や色,塗装の具合いといったところになるだろうが,残念ながら,そこは鉛筆の中で最も劣化しやすい部分で,比較的早く消滅する。
 黒鉛芯は百年経ってもビクともしないかもしれないが,芯を取り囲んでいる部分は劣化する。表面に近いところほど劣化が早い。

● もうひとつ。どこの国の鉛筆も似てきているのではないか。
 吟醸や大吟醸があたりまえになると,日本酒の味や風味はメーカーを越えて一点に収斂する。同じように,鉛筆の芯も各国で良質化が進行すると,どれも似たものになる。そうした方向に向かっているのだと思える。

● というわけなので,鉛筆は時空を越えない。
 鉛筆で書(描)かれたものは,幸運に恵まれれば,時空を越えて存在するが。

2026.06.19 横罫の測量野帳と中華コクヨの測量野帳

● 横罫の測量野帳がかつてあった。60周年限定商品の「NOTE BOOK」ではなく,最近出た Campus の「ポケットノート」でもない。
 判型も厚手の表紙も製本の仕方も測量野帳そのものだが(中紙は48枚だった),型番はノ-432。

● 測量野帳と同じラインで生産はしていても,“セ” で始まるんじゃないからね,“ノ” だからね,測量野帳とは別系統だからね,というやつね。
 もちろん,とうの昔に廃番になっているわけだが,5年前に2冊350円でメルカリに出たことがあって,もちろん買って使った。
 普通に文字列を書き連ねるには横罫がいい。ぼくはそれしかしないので,流行りかに見える方眼は罫線過剰というか,横書きするには縦線がジャマなんだな。

● 今度はノ-421がメルカリに出てきた。4冊で800円。もちろん,ポチって入手。
 ノ-432よりスタイリッシュ。中紙は野帳と同じ40枚。

● ぼくは立って書くということがまずない。歩いているときに,ふと思いついたことを立ち止まって書くなんて,カッコいいこともしたことがない。これからもしないと思う。
 が,デスクやテーブルで書くんでも,表紙が厚いノートは使いやすい。

● 中華コクヨ(国誉商业(上海)有限公司)の測量野帳。判型,製本方法,中紙の枚数とも,日本コクヨと同じ。
 唯一,方眼が4㎜なのが違う。なにゆえに4㎜にしたのか。中華と日本の筆記スタイルや嗜好の違いがあるなら知りたいものだ。
 中国では “頁” の意味が日本とは違うようだ。1頁は1枚の意味なんだな。