が,今回は上野文具本店にあるのを確認しましたよ。入口を入ってすぐのところ,下の床に近いところに置いてあった。
これではわからないはずだ。入口を入ってここに視線を落とすことはまずないぞ。
● 今回の特集は「2024年のトレンド文具を探る!」。“若年層をターゲットにした個性派ボールペンや色にこだわった文具シリーズなど” ということ。
人口の少ない若年層を狙うより,ボリュームゾーンの中高年をターゲットにした方がいいんじゃないかと思いがちなのだが,それではダメなんだろうな。
● 老人サイドから発生して全体に広がっていく商品や流行などはないのだろう。若者の間で流行ったものが上の世代に浸潤していくのが自然の道理なのだろうな。
老人を狙ったものとあからさまにわかるものは,老人が受入れないのかもしれない。自分は老人だと認めたくない老人が大半だろうから。
● さらに。文具となると,大方の老人には関係のないものなのかもね。ヘビーユーザーは若年層なのだろう。
年寄りにはモンブランのマイスターシュテュックあたりを静々と使っていてもらえばいい。こっち側には来ない人たちでしょ,相手にするだけムダ,ってなことかもね。
● ともあれ。トレンド文具として紹介されているのは,パイロット「フリクションWaai」,ぺんてる「マットホップ」,サンスター「トプル」。いずれもボールペン。
新製品が最も多く出るのはボールペンの分野。話題を切らさないことがメーカーの至上命題になっているかのごとし。10年前のボールペンでも(書けるのであれば)実用的には1㎜も問題はないんだけれども。
● 「地球や環境に優しい文房具が続々登場!」というタイトルの記事もある。ここに紹介されている文具をいちいち紹介するのはやめておく。
環境対応というのに,ぼくは疑いを抱いている。そんなことをすると,生産に必要なエネルギー消費量はかえって増えるんじゃないかと思う。材料を搬送するのにもガソリンや軽油を使っているはずだ。
SDGsの欺瞞性もそろそろ大衆の目にも見えるようになってきていないか。
● そんなわけで,今回は記事として読むべきものはあまりない。カタログを楽しむ的な感じで目をとおすことになる。
そんな中で唯一,ヨシムラマリのエッセイが1ページ分掲載されており(p15),これだけが読める記事になっている。目新しいことが書いてあるわけではないけれども,文具好きの背中を押してくれる文章だ。
以下にいくつか転載しておく。
紙は情報の外部記録装置として,人間の脳がより多くの情報を扱うことを可能にし,その思考能力を飛躍的に向上させてきた。
紙と情報が不可分でほぼイコールだった頃,文房具は間違いなく思考のための道具だった。しかし,30年ほど前からパソコンが普及し始めたことをきむかけに,情報は紙から分離し始めた。その頃から,文房具は思考の道具としての役割をゆるやかに失ってきたといえる。
脳が肉体という器から離れなれない限り,思考というとらえどころのないものをつかもうとする最初の部分,0から1を生み出す部分には,まだ紙に手で書くという行為に一日の長があると思う。
もうひとつは,A4コピー用紙サイズの筆記用紙だ。特に横長の状態に置いて広々と使えるものは,モヤモヤとした思考をひたすらに書き出して整理することに向いている。
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