書名 仕事が速い人の手帳・メモのキホン
著者 伊庭正康
発行所 すばる舎
発行年月日 2016.11.29
価格(税別) 1,400円
● ぼくはもうビジネス書を読んでも仕方がない年齢になった。が,手帳だのメモだのノートだのというタイトルの本があると,つい手に取ってしまう。
● 本書もタイトルに惹かれて読んだんだけど,手帳術やメモ術を説くのが主眼ではなくて,仕事の心得を説いている本だ。
日中の効率を最大限にあげて残業はするな,という。スキマ時間も1秒たりともムダにするな,と恐ろしいことを言う。
● 本書に書かれていることが間違っているかといえば,まったくそんなことはない。説得力もある。しかし,このとおりにできる人はそんなにいないだろう。
基本,人間は怠惰に流れるものだ。何かというと,勤勉が日本人の代名詞のように言われるけれど,その日本人にしても怠惰が好きな人たちが大半だ。大衆とはそうしたものだろう。
● 大衆の一人でいることを潔しとしない人は,本書が説くところをひとつでもふたつでも実践してみるといいと思う。
● 以下にいくつか転載。
多くの人の手帳は(中略)次の週あたりまでは埋まっているけれど,その先は空白だらけ,ということも少なくないのです。やってくる業務を「速くこなすこと」こそが,仕事を速くする方法だと考えているので,直近の予定しか埋まっていないのです。 やってくる業務をいくら速くこなしたところで,残業はなくなりませんし,ましてや生産性を上げることは無理です。(p4)
私が変わったきっかけは,上司のひと言でした。「スケジューリングの基本は逆算だ。考え方を変えないと,いくら工夫しても仕事は速くならないぞ」と。(p5)
記憶に頼るということは,脳のなかで何度も「繰り返し思い出す」作業をせざるを得ないわけです。こうなると,休日も頭がスッキリしないのは当然です。 だから,常に頭をスッキリさせたいなら,ちょっとした予定であっても,「記憶」に頼るのではなく,「記憶」に頼るべきなのです。(p24)
この議論(デジタルかアナログか)にはすでに答えが出ています。共有する必要がないならアナログを,共有する必要があるならデジタルが正解だと。(p31)
1日の予定が3件以上あるなら,毎週の予定を俯瞰できるウィークリータイプの手帳を使ってほしいのです。(中略)私はキチキチの手帳を使っていると,せっかくのチャンスを逃すことになる,と考えます。「もうこれ以上はムリ」と無意識に思い込んでしまうため,新しいことに挑戦しようと思わなくなるからです。(p35)
もし,あなたがズルズルと仕事をしてしまうタイプなら,あえて申します。何をやるかを考える前に,何よりも「退社時間」を先に決めてみてください。短時間で成果を出す人は,常に「終わり」から逆算しています。(p49)
やってみてわかったことがあります。一度退社時間を決めると,思った以上にその時間内に終えられる,ということです。(p52)
それでも,その時間には帰りにくい,ということがあるかもしれません。あえてこう考えてみてはいかがでしょう。「帰りにくいから残るというのは,プロの発想ではない」と。(p53)
労働時間を延ばすことはナンセンス。残業なんてしても30%の生産性アップはできません。夜は「財」を生みません。オンタイムの時間効率を徹底的に高めていくようにしましょう。(p93)
締め切りを前倒しにし,負荷をかけることで,何よりもあなた自身も気づいていなかった自分のポテンシャルを引き出すことができるでしょう。(p93)
仕事は必ず相手ありきで進むものです。(中略)最初に見せるのは70点の完成度でもかまいません。そこから相手とすり合わせて,100点に近づけていけばいいのです。一番良くないのが,相手にこちらの進捗が見えないままに,自分ひとりで黙々と100点を目指してしまうことです。(p104)
体感速度を速くするいい方法があります。スケジュールの所要時間の単位を30分で考えるようにしてみてください。(中略)実は,多くの人は無意識に1時間を単位に予定を決めています。(p118)
よく質問をいただきます。「あらあじめ,スキマ時間でやるべきことをリストアップすべきか?」と。答はノー。(中略)わざわざリストアップしなくても,その空いたスキマの数分で何が出来るかを考える癖を持っておけば十分。(p126)
私が二次会に出るかどうかを決めるポイントは,「その場に私が必要なのかどうか」です。(p152)
この一歩を踏み出すいわゆる“踏み出し力の強い人”が,生活のステージをアップさせ,「希望」を確実に実現させているのです。(p160)
仕事ができる人に多いのが,切手を手帳に挟むことです。メールの時代なのに,なぜだと思いますか? メールを送ることがかえって失礼になることがあるからです。これをわかっている人は案外少ない。(p163)
ビジネスの基本は,相手を思う気持ちです。あまりに自分の効率を追求しすぎて,相手の事情を忘れてはなりません。(p164)
我々は手帳を使うことで田中角栄氏並の記憶を身につけることができます、「来月の中頃にメールしますね」と言えば,その場で翌月の中旬の予定に組み込む。「息子さんの誕生日が7月25日」と相手から聞けば,手帳にそのことを書きとめ,次に会った際に「明日は息子さんのお誕生日ですよね」などとひと声かける。相手以上にささいなことを覚えている。これが大人の信用を勝ち取る第一歩なのです。(p172)
私もPCやタブレットにメモしながら打ち合わせをしていたこともあったのですが,ひとつのことに気づきました。切れ味のいい質問ができないのです。その理由はシンプル。意識が分散されてしまうからです。(中略)何割かは文字を打ち込むことに意識を奪われます。(p175)
「アレ,いいじゃん」と思ったことは日常的に手帳に書き込む習慣をつけましょう。そして,アイデアがほしいときは「掛け合わせると何ができるか」という視点で,良さそうなものを検討する。(p185)
「しんどいな」と思ったら,こうしてみてください。自分の感情を思いつくままに,手帳のフリーページに「今の気持ち」として書きまくる,と。(中略)愚痴を言う相手がいればいいのですが,実際はその瞬間にそんな相手が目の前にいない場合がほとんどです。だからと言って,無防備にSNSやブログで書くなんて愚の骨頂。必ず後悔することになります。(p191)
よく,「紙に願いを書けば叶う」と聞きますが,本当なのでしょうか。(中略)私はスピリチュアルやおまじない,迷信などを敬遠するタイプなのですが,こればかりは,私の経験からしてもそうだと感じています。(p195)
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