2022年5月29日日曜日

2022.05.29 ラミーのボールペンが急に気になってきた

● PCは長年にわたってThinkPadを使っている。理由は2つ。キーボードの秀逸さと,デザインの素晴らしさ。ThinkPadのデザインを決めたのが,ドイツ人のリチャード・サッパーであるらしい。
 彼はボールペンもデザインしており,ラミーから出ている。今となっては入手困難。仮に入手できるとしても,値段はかなりのものになりそうだ。

● 諦めましょ。でも,それじゃサファリで我慢するかってことにはならない。サファリを使うくらいだったら,国産の百円ボールペン(たとえば,三菱鉛筆のユニボールワン)の方がずっといい。
 ローラーボール(キャップ式)が3,300円,ボールペン(ノック式)が2,750円。Amazonだと4割引くらいなのだが,国産百円ボールペンと約20倍の価格差を正当化できるものがラミーサファリにあるか。材質はプラスチックなのだからねぇ。
 デザインの差だと言われても,ユニボールワンのデザインがサファリに引けを取っているかといえば,さほどでもないという結論にしかならないでしょ。

● ところが,「Smith」でも「ANGERS」でも,サファリは一等席に並んでいる。売りたい と 売れる のベクトルが揃ってるんだろうかな。
 サファリって大衆の人気投票で上位に来ている。しかも,3,000円くらいの話なんだから,大衆でも普通に手を出せる価格だ。店にしたって,国産の百円ボールペンより利幅が大きい。売るのにかかる手間は同じだ。

● と意地の悪いことを書いてみた。「ANGERS」が取りあげている以上,そういうシニカルな見方だけじゃダメなんだよね。「ANGERS」のセンスに敬意を払う以上は,シニカル=表面的 だと考えておかないと。
 センスとは金にモノを言わせてブルドーザーのように高額品を揃えていくことではない。いくつもの制限(特に経済的制限)の中で最も心地いいと思えるコーディネートを実現していくことだ。制限があることが大切で,センスとは制限が作るものでもあるだろう。

● 「ANGERS」のバイヤーが取りあげているのだから,サファリにはそれだけの価値(たぶん,インダストリアルデザイン的な)があるのだろう。
 でも,やっぱ,要らないかな。ボールペン,色々と買い込んじゃったから(黄金色のやつを気がついたら6本買っていた。詳細はいずれここに述べられればと思うのだが,使い物になるのは1本もなかったよという結末)。

● ところで。メーカーとすれば,本体は安く売って替え芯(リフィル)で儲ける,という戦略を,当然,描くものだろう。替え芯が売れれば,本体より利益率も大きいのじゃないか。
 が,ラミーに限らず,ペリカンでもモンブランでもパーカーでもクロスでも,日本でそれを実行するのは無理だ。日本のユーザーは芯は日本製に替えるのを前提にするからだ。
 概して言えば,日本語を書くには海外メーカーの純正ではだいたい字幅が太すぎる。しかし,それ以上に品質に格段の差があるからだ。何せ,日本にはジェットストリームという怪物がいるのだ。ゴジラがいるために,海外の怪獣が日本に上陸できないようなものだ。
 他にも,低粘度油性やゲルインクのあれやこれがたくさんある。書き出しでかすれたりダマになりやすい海外製を,どうして使い続けなければならないのか。側(がわ)は舶来でも中身は国産というのが,あたりまえの前提になっている。

● それは海外メーカーもわかっているのだろう。本体で儲ける姿勢を崩さない。つまり,本体価格を下げることはしない。
 それがサファリとユニボールワンの価格差20倍にもつながっているのだろうが,それでもサファリが日本でこれだけ売れているのは大したものだ。

● そのサファリで国産の替え芯を使えるだろうか。キャップ式のローラーボールなら楽勝でできるが,ノック式のボールペンではかなり厳しいというのが,とりあえずの結論であるらしい。
 ローラーボールなら,ジェットストリーム(多機能ではなく一番安い樹脂製単色タイプ)のリフィルが使えるし,シグノのリフィルも使えるようだ。そのままではさすがに無理なので,長さを調整する的な工作は必要になるらしいのだが,さほどに手間のかかる調整ではない。
 ボールペンになると,それが利かない。アダプタがあるにはあって,Amazonでも買えるのだが,そのアダプタが完全ではない。ラミー純正の替え芯を使い続ける覚悟がいるっぽい。純正は1本500円もする。

2022年5月19日木曜日

2022.05.19 家しごとのノート研究会編 『家しごとがもっと楽しくなるノート術』

書名 家しごとがもっと楽しくなるノート術
編者 家しごとのノート研究会
発行所 KADOKAWA
発行年月日 2016.10.31
価格(税別) 1,200円

● 「家事も,家計も,子育ても・・・・・・ みんなのアイデアが満載!」が副題。 
 ノートを書くのにかける時間は? という質問事項がある。「日によって15~30分くらい」「5分くらい」という回答が普通にあって。「メモすること自体に時間をかけることはありません」(p87)って。
 もちろん,何を書く(描く)か,どれくらい書くかによって違ってくるわけだが,この程度ですませているっていうのは,それだけで何だかカッコいい。ノートを道具として使いこなしている証拠(しかも,かなり証明力が高い)の1つだ。

● 毎日が日曜日のぼくなんか,1日,台所のカウンターにノートを広げて,ダラダラとどうでもいいことを書いていたりすることが,しばしばあるんだよね。
 今日やったことは,ノートに数ページ分,どうでもいいことを書いただけです,ってことが。

● 以下にいくつか転載。
 もうひとつの心がけが “はりきって暮らすこと”。「いやだな,と思うことも,はりきったほうが楽しくなると思うんです」(p21)
 普通だとやらないようなことを「とっておきの家事」にして,その日のイベントとして,ゲーム感覚でやっているのだそう。(p25)
 モレスキンのノートに使われている紙が好みで,愛用している。(p33)
 いるんだ,こういう人が。モレスキンの何がダメって,紙が全然ダメだと思っていたんだけど。そうなのか。うぅぅん,世の中は広いんだなぁ。
 「理想の過ごし方」を緑色のペンを使って完了形で書く。「あらかじめ書いておくことで,理想の暮らしを意識できて,それが行動できるようになった気がします」(p47)
 “成功哲学” によく出てくる手法なんだけど,あらかじめ頭が考えた理想なんてものにあまり縛られない方がいいんじゃないか,という気もする。
 ちょっと予定を盛る,これが村井さんの家しごと術。「そこまでできるとかなり気持ちよくて,120%やったわ! と喜びがわく。その気持ちよさのためだけにやっています」(p59)
 以前はお料理のときに調味料などはすべて目分量で量っていたのですが,味が定まらず,せっかくおいしくつくれても次につくったときに同じように再現できないことなどもありました。それがきっかけで材料と分量はこまめにメモを取るようになりました(p85)
 1週間の献立を先に決めるメリットはお金の節約だけでなく,時間の節約にも。(p96)

2022年5月6日金曜日

2022.05.06 コクヨ文具歴史館

● 宇都宮から東武線を乗り継いで,船橋にやって来た。なぜかというと,船橋の東武百貨店6階に入っている旭屋書店で,「コクヨ文具歴史館」なる展示会が開催されていることを,Twitterで知ったから。
 これは見ておきたいかな,と。それを見るためだけに,船橋に来たわけなんでした。

● 紙製品に関しては,コクヨへのリスペクトは揺るぎないですからね。子供の頃からお世話になってるし。ぼくが子供の頃は,田舎のよろず屋にある文具(紙製品)はコクヨだけだったから。
 たまにコクヨじゃないのを持ってくるヤツがいると,羨ましがられたものだ。おい,それ,どこで買ったんだよ,って。たぶん,質はコクヨの方が良かったと思うのだが。

● さて,見ていこう。コクヨの年表が掲げられている。製品のすべてではないが,いくつか年代順に実物が並んでいる。自分が使ったことのある(今も使っている)製品では,書翰箋,測量野帳,フラットファイル,スクラップブックが古くからある製品だ。
 無線綴じのノートは1959年からあったものの,それがCampusになるのは1975年。ぼくが中高生のときにはまだなかった。
 あの頃,大学ノートという言葉があったのだが(今も死語にはなっていないと思うが),具体的にはどんな製品だったか。Campus以前のコクヨのノートも大学ノートと呼ばれていたんだろうか。
 コクヨ製品が守備範囲を拡大し,華やぎをまとうようになるのは,かなり最近のことなのだった。そういうこともわかる。

● その華やかさをまとっている商品群のうち,KOKUYO ME シリーズと PERPANEP はほぼすべての製品が販売されている。
 KOKUYO ME はパステルカラー文具の流行のハシリになった。女性にアピールしているのだが,女性に受けるものは男性も一定数は追随する(その逆はない)。ちなみに,ぼくは追随していない。
 このシリーズ,長く続いている。正直,ぼくはもっと早く収束してしまうだろうと思っていた。

● PERPANEP は,「紙(PAPER)とペン(PEN)のコンビネーションを考えデザインした」ノートとペンの組み合わせを提案する。ただし,主力はノートにある。
 A5サイズの60枚。罫線は5種。3mm方眼,4mm方眼,5mm方眼,4mmドット方眼,6mmステノ罫。ぼくはノートといえば横罫ノートのことだと思って疑わない昭和原人なので,ステノ罫に興味がある。というか,PERPANEP でステノ罫という言葉を知った。
 ページの真ん中に縦線を1本いれただけのものなのだが,A5以上のサイズはこうして使う方が,何かと便利が良くなるようだ。もともとは速記者が速く書くために思いついた工夫らしいのだが,速く書く以外の効用も色々作れるのではないか。

● A5サイズ以上のノートを使うときには,ぼくもセンター罫を入れて使おうと思うのだけど,目下のところA6フリークなので,しかも最近はもっぱら測量野帳を使っているので,センター罫の出番はない。
 PERPANEP のペンの方は,SARASAとPreppyを何本かずつ買っている。真っ白のSARASAとPreppyの佇まいに惹かれて。ところが,SARASAはRは白軸だし,同じゲルインクのユニボールワンから真っ白のが出た。無印良品から出ているポリガーボネート万年筆が真っ白なPreppyそのものだ。何がなし,面白くない。

● 測量野帳はレギュラー製品の値上げによって,ビジネス野帳との価格差がなくなっている。こうなると,ビジネス野帳の売れますかね。ぼくはレギュラー製品の緑にこだわるんだけど。
 ただし,測量野帳はレギュラー製品も各種限定品も,一生分をすでに購入してしまっているので,値上げは痛くも痒くもないっす。

● ところで,このコクヨ文具歴史館。北関東の中でも北の方からわざわざ船橋まで行くほどのものかというと,答えは消極。今どきだからコクヨの歩みはすべてネットでわかるし,ここでしか買えないコクヨ製品があるわけでもない。
 北関東からでも行く価値がありますよ,とはやや申しあげかねるところがある。