バッテリィ駆動に切り替わるだけだろってことなんですけど,そのバッテリィはとっくに機能不全になってた。パソコンを外に持ち出すなんて一切しないから,それで特に困ることもなくて。
● でも,そんなことじゃ壊れませんよね,普通。だが,しかし。再起動しなくなった。セーフモードでは立ちあがったんで,システム復旧ってのはやったんだけど,やはりダメ。そのうち,セーフモードでも立ちあがらなくなった。
ハードディスクがおかしくなったんでしょうなぁ。電源ケーブルを引き抜く前から弱ってきてたんでしょ。兆しは特に感じてなかったんだけど。ジタバタしないで買い換えるしかないでしょ。
● と気楽に考えられるのは,ひとつには,自分謹製のデータの毀損がなかったこと(まったくなかったわけではないが,ま,たいしたことはない)。
何度か痛い目に遭ってきたから,いかなぼくでもそれなりに学習はしている。バックアップは当然として,自分が作ったデータはパソコン本体のハードディスクには保存しないようにしていた。いまどきは32Gとか64GのSDカードがあるんだもんね。それを装着して,データはそちらに保存。
本体のハードディスクにあったのはCDをリッピングした楽曲データが200Gほど。二重にバックアップをとってある。
● もうひとつは,ぼくが使ってるパソコンはあまり痛手を感じないような値段で購入したものだってことですね。
ここ10年ほどはThink Padを使ってるんだけど,今回壊れたのは3年前に3万円で購入したもの。ヤフオクで買った中古品。
X61っていう型落ちもいいところの製品ですな。CPUはCore2。OSはXP。ハードディスクは500Gに換装してあった。メモリは1Gだったかな。
なので,壊れても経済的なダメージが少ない。で,今度もまた同じX61をヤフオクでゲット。今回は,3万円どころか,1万円台(17,099円)ですんだ。OSはWin7。メモリは2G。ハードディスクは120G。
● これで充分なんですよね。ぼくがパソコンでやりたいこと,現にやっていることって,この1万円台のパソコンですべてできてしまう。
最もパソコンに負荷をかける作業はDVDの再生ですかね。そんなもんですよ。あとは,CDをリッピングする,音楽を聴く,テキストを入力する,書類をスキャンする,写真を見る,ネットに接続する。そんなことは1万円台のパソコンでやれる。自分に15万円ものパソコンを買い与えるのは,豚に真珠を贈るのに等しい。
ちなみに,Office(WordとExcelのみ)は2000を今でも使っている。セキュリティの問題があるなんて言われるけれども,本当なのかね。個人使用のOfficeでセキュリティが具体的に問題になる局面があるのかね。機能的には2000でまったく問題はないんだけどね。
● これについては,森博嗣さんが,『森博嗣のTOOLBOX』(日経BP社)で次のようにお書きになっている。
僕は,人がテクノロジィに憧れる気持ちこそが,テクノロジィの最終的な目標だと考えている。だから,もし,みんなが合理的に考えるようになって,冷静に自分の使用範囲のものだけを選ぶようになったら,技術はもう終盤だと思えるのだ。(p60)
ポルシェに乗っていたからできた,カローラではできなかった,という事態に出会う確率は大変低い。それなのに,10倍ものお金と交換しても,この商品に需要が成立するのは何故だろうか? デジタル製品が,乗り越えなければならない壁がそこにある。とっくに技術者は気づいているだろう。ユーザがまだ気づいていないだけだ。(p61)この本の出版は2005年だ。それから8年経ったけれども,パソコンのポルシェはまだ登場していないように思える。
● ソフトについては,森さんも次のように語っている。
ユーザはあるところで満足し,自分のツールを決めてしまった方が有益なのである。どんどんバージョンアップする必要なんてない。使い慣れたものの方が安定しているし,失敗がない。パソコンのアプリだって同じ。余程の不便を感じないかぎり,僕はバージョンアップをしない。不安定さと無駄な消費時間を買っているようなものだからだ。(p104)多くの方がそうしてらっしゃるでしょうね。いまどき,律儀にバージョンアップにつきあってる人はいないのじゃないか。Officeも2000のままって人,ぼく以外にもたくさんいるでしょうし。
もっとも,ぼくの場合はケチ根性が前面に出ているわけだけど。
● ともあれ,10日間ほどパソコンなしの生活を余儀なくされた。1万円台だろうと何だろうと,パソコンが使えないのはとんでもなく不便。不便なんてもんじゃなくて,理由がないのにイライラしてくるような感じがありましたね。
パソコンとネットはあってあたりまえになってて,あたりまえだからその有難さを普段は忘れてますな。
● ぼくはDVDプレーヤーもCDプレーヤーも持ってなくて,すべてパソコン頼みだし,手書きで長めの文章を書くなんて拷問に近いと感じるようになってるし(そもそも,ノートとか持ってないし),パソコンがないと手も足も出なくなるってところがあった。
であれば,安いパソコンしか買わないことだし,1台だけじゃなくて予備にもう1台持っとけよ,って言われますな。いや,ほんとそうで,スマートフォンがなかったらヤフオクで次のパソコンを手当てすることもできなかったわけですからね。
なので,同時にもう1台,ヤフオクで入手しておいた。こちらは,さらに古いX40という機種。CPUはじつにPentiumMプロセッサ。OSはXP。メモリは1.5G。60GのSSD(換装)。13,000円で落札。
● パソコンのない間,ネットはスマホでつながるしかなかったんだけど,あたりまえながら,スマホではパソコンの代わりにはなりません。効率が悪くてどうにもならない。
どうしてもってときにしかネットに行かなくなる。銀行振込もスマホじゃやりたくないでしょ。ブログの更新なんかあり得ない。
● 第一,スマホで文章は作れない。
REUDOのBluetooth接続の外付けキーボードも試してみたんだけど,使いものにならなかった。しばしば断線する。その後は接続しなくなることも頻出。忘れた頃にまたつながったりするんだけど,これではどうにもならない。
もっとも,ぼくが持っているキーボードはRBK‐2100BTという古めのやつだから,今どきの新しいのを使えば,そんな目には遭わないように改善されているのかもしれない(断線の原因がスマホ側にあるのか,キーボード側にあるのかもわからない)。
● スマホでネットにつながって,行った先のサイトからテキストをコピー&ペーストするのは,できればやりたくない作業だった。なかなか上手くいかないでしょ,これ。
でも,今回,この作業を繰り返すことになって,けっこう慣れてきた感じ。
● 結局,スマホは閲覧は何とかできても,入力は何ともならないことを,体験で痛感。ツィッターにスマホを使っている人は多いんだと思うけど,ぼくはダメ。ごく短い文章もスマホで打つ気にはなれない(だからというんじゃないけど,ツィッターはやってない)。
スマホでノマド・ワークなんてタイトルの本がいくつか出てるようだけど,あり得ないね。スマホでできる仕事ってどんな仕事だ? 結局,業界の宣伝なんだろうな,ああいうものは。
● テキスト入力は,やはりヤフオクで落とした,NECのモバイルギアを引っぱりだして行うことになった。それなりに役に立ってくれたけれども,やはりパソコンに比べればキーピッチが狭くて打ちずらいし,ATOKも大昔のものだからあまり賢くない。
入力速度はガクンと落ちるし,タイプミスは格段に増える。ワープロとしてもパソコンの代わりにはならない。緊急避難的に使うもの以上ではない。これも当然だけど。
● ただ,モバイルギアってハードディスクがない分,壊れないねぇ。ワープロ専用機として危急の備えにはなった。
じつはぼく,モバイルギアは4台持ってるんですよ(バカか)。うち,2台は乾電池で駆動するやつ。今となってはポメラの方にアドバンテージがあるにしても,製品寿命の長さは驚異的だな(テキスト打ち以外には使えませんよ,もちろん)。
● タブレットはどうか。ぼくは持っていないので試しようがない。あれを自分が使っているシーンをイメージできないでいる。
のだが,某演奏会でぼくの隣に座った女性(オバサンだった)が休憩時間にタブレットを取りだして,画面の下半分に表示されるソフトキーボードを巧みに打って,パパッと文章を作っているところを目撃した。
彼女にできてぼくにできないことはないかなと思ったんだけど,2分や3分ならいざ知らず,10分以上あれをやれるか。
● ともかく,パソコンのない暮らしを余儀なくされて,パソコンがないとQOLが明らかに低カすることを発見。っていうか,わかりきっていたことなんだけど,実際に味わってみると痛いほどに実感できた。
CDのリッピングもできなければ,それをスマホに転送することもできない。毎日溜まる書類をスキャンすることもできない(したがって,書類を捨てられない)。銀行振込は(スマホで)できなくはないけどイライラする。DVDも見られない。ブログの更新も滞る。ごく少数ながら読んでくださる方もいるわけで,更新すべきはさっさと更新したいんだけどね。
なんだか,生活そのものが便秘状態になったような感じ。どんどん入ってくるのに,処理して出すことができないんだから。
● 大げさにいうと,黄金週間の後半がスカスカになってしまった。パソコンがないために,予定していたことのいくつかができなくなった。やらずにすんだはずのことをやらなければならなくなった。
そこから玉突き現象が起こる。頭の中で考えていたスケジュールはボロボロ。
● 結論。(今のところ)パソコンは唯一無二のもの。代替品はない。
ネットは生活必需品。ついこの間までネットなんかなかったのにね。もうそこには戻れない。否も応もない。
テレビは見なけりゃ見ないでいられる。たぶんに習慣のものだ。けれども,ネットはよく言われることだけれども,生活のインフラになってて,使わなけりゃ使わないでいられるというわけにはいかないんでした。
● そのパソコンが中古でよければ1万円台で手に入る。それで実用になる。とんでもなくコストパフォーマンスの良い器具になった。
昔を知る者にとっては隔世の感どころか,これまでパソコンと周辺機器に投じてきた金額を計算して,どんより暗い気持ちになったりしますな。今から見れば玩具のような機械と数十万円を引き換えてたんだもんなぁ。
あの膨大な金額。夢を見れた(実現はできなかったけど)代償と割り切るしかないものでしょうね。
* 5月6日に,宇都宮のインターネットカフェに行って,このブログの更新だけはしてきた。こういうとき,ヨメのパソコンを借りるっていうのは,ぼくの発想にはない。パソコンの使用貸借ってのは,夫婦間でもありえないでしょ。
で,それがネットカフェ初体験だったんです。ネットカフェって,寝ぐらを持たない人の居場所っていうイメージができちゃってるかもね。実際,時間帯によってはそのイメージどおりの実態があるのかもしれないけど,楽しいとこでしたねぇ,ネットカフェ。
3時間で1,000円。それでパソコンは使えるし,コーヒーもコーラも好きなだけ飲めるし,ふかふかの椅子で昼寝もできるし,大量のマンガ本も選び放題。「ワンピース」の全巻読みなんてのもできちゃうかも。
お腹がすけば,別料金で食事もとれる。食べものを持ちこんでも,たぶん,咎められることはないだろう。
スタッフの接客もいい。もちろんマニュアル以上のものではないんだけど,3時間もいて1,000円しか払わないんだから,マニュアル以上を求めちゃいけないよねぇ。
夏場の避暑地としてネットカフェはありかも。ぼく,ここで丸一日,過ごすことができそうだ。いや,マジで。
ひと頃(だいぶ前だ),自宅と会社のほかに,一人になれる場所を確保しようって記事が,ビジネス誌を賑わせたことがあったっけ。わざわざ部屋を借りなくても,ネットカフェが代用になりそうな気がする。冷暖房完備で諸手続き無用。
知らない人には,「カフェ」という言葉が誤解を与えそうだ。簡易個室が使えるのだから,どう使うかは使う側の創意工夫を発揮できる余地が大きいと感じた。
* 11日に新しい(中古だけど)パソコンが届き,ネットに接続できた。とりあえず,Google ChromeとiTunesとGOM Playerをインストール。これでとりあえず便秘症状の7割は解消できる。
音楽再生やDVD再生には,もっといいソフトがあるんだろうけど,慣れているし,いろんなソフトを比べてみようっていう向上心もないし。
あとはいくつかのソフトをCD-ROMからインストールしなければならないんだけど(けっこう面倒なんだよなぁ,これ),それはおいおい。
Macintoshは別として,Think Padは昔から憧れだった。「560」の印象は鮮烈だったな。薄型ノートですな。その前に,DEC(のちに,Compaqが吸収合併)の「Digital HiNote Ultra」があったけど。どうも薄型に惹かれていたらしい。
けど,ちょっと手がでなかった。ショップでカタログをもらってきて,ながめてはため息をついていた。そのカタログ,今でも持っている。
弁当箱と呼ばれてた「535」も惹かれる形だった。いかにも道具って感じの無骨なデザインで。堅牢さをデザインで表現すればこうなります,って感じで。Think Padってデザイン的には,あの頃がピークだったかなぁ。それとも,今,現物を見たら古くさいと感じるのか。
XやTシリーズはそのデザインをとどめているところが魅力。もちろん,黒一色に赤のトラックポイントもいいし,キーボードの秀逸さは言うまでもないんだけど。
昔は型落ちしたパソコンなんてタダでも要らないって感じだったんだけど,今はスペックの向上にほとんど関心がなくなっている。
今回落札したX40は2004年,X61は2007年に発売されたもの。そのあたりで,スペック向上の限界効用がほとんどゼロに近い水準に達したと見ていいんでしょう。
パソコンの新たな用途(自分にとっての,ってことですけど)が開発されるのでなければ,現在のパソコンは過剰スペック。「過剰」に対してお金を払う気にはなれないでいる。