● 鉛筆は使っていない。万年筆か極細サインペン(ミリペンと総称されるやつ)を使っている。
なのに,けっこうな勢いで在庫が溜まっていく。メルカリで買っているからだ。三菱鉛筆の130周年記念のユニや,トンボ鉛筆100周年記念の復刻版の鉛筆などなど。
その前は東京メトロの文具を漁っていた時期があって,やはり鉛筆が集まってしまったことがあった。死ぬまで毎日使い続けても,とてものこと使い切れない数になっている。
● さらに,ここに来て,コーリン鉛筆をメルカリでポチッてしまった。理由はノスタルジー。自分が児童・生徒だった頃,つまり最も鉛筆を使っていた頃,たくさん使ったのはコーリンだったような記憶があってね。
田舎のよろず屋にはコーリンしかなかったのかもしれない。三角顔のマークを見たら,妙に懐かしくなっちゃって。子供の頃を懐かしむこと自体,老化現象が顕現したものかもしれないんだけどね。
コーリン鉛筆は1997年に倒産したから,今はない。そのこともノスタルジーの刺激要因になっているかもしれない。
もちろん,当時のぼくには無縁のものだった。そんな高いものが小学生に与えられるわけがない。そもそも,存在を知らなかった。
三菱鉛筆が Hi-uni を出したのが1966年だから,コーリンもその後を追ったわけだろう。拙速に追ったという印象になってしまうのだが(軸の色も Hi-uni と同じだし),実際にはどうだったのか。トンボが MONO100 を出したのも1967年なのだが。
● しかし,届いた Hi pierce はさほどに経年を感じさせない。たぶん,2009年に発売された復刻版だと思う。1997年倒産しているのになぜ復刻できたとかというと,次のような事情による。
コーリンはタイに工場を作っていた。本社が倒産したあと,タイ工場は地元資本が承継し,コーリン鉛筆の生産を継続した。商標も受け継いだ。
そのタイ法人(コーリン鉛筆タイランド)が2008年に東京都墨田区に「株式会社コーリン色鉛筆」(社長の井口英明氏についてはこちら)を設立し,日本に再上陸。その「株式会社コーリン色鉛筆」が Hi pierce を復刻発売した。
左向きになってから15年度に倒産したので,今,メルカリなどに出回っているのは右向きのものが多い。「コーリン鉛筆タイランド」では右向きを使っているようだ。
こちらは充分に経年劣化があって,それが逆に有難味を感じさせる。塗装が剥げているところもあるし,波打っているところもある。昭和40年生まれだとすると,同じ時代を呼吸してきたわけだよ,こいつとぼくは。ぼくが使わなければ,こいつはぼくより長く生きるだろう。
色鉛筆なんか120%使いませんよ。なのになぜ買ったか。ぼくの中に眠っていた少女趣味が目覚めた(?)ようなんですよ。
● こうしてメルカリで古い鉛筆の出物を見てると,Hとか2Hがけっこう出てることに気づく。硬度の高いやつ。製図用じゃなくて,普通の鉛筆で。
大昔,硬い鉛筆を使うのが “ナウかった” 時期がありましたっけねぇ。あったような気もするんだけど,往事茫々として思いだせないねぇ。