2013年12月22日日曜日

2013.12.22 『文具自慢』

編者 秋葉俊二
発行所 扶桑社
発行年月日 2014.01.01
価格(税別) 790円

● 文具を対象にする雑誌が増えたし,普通の雑誌でも文具特集をしばしば組んでいる印象がある。けれども,ぼく一個に関しては,文具への関心は薄れる一方だった。

● 理由ははっきりしていて,ワープロ,パソコンの普及にある。ペンでノートに何かを書くっていうそれ自体が生活から消えてしまった。
 文章はパソコンで書く。メールとかLINEも使っているけれど,それはスマホで書く。手紙なんかまったく書かなくなっちゃった。

● ところが,今年の6月からノート+ペンを復活させた。パソコンから少し離れてみることにした。こうしてブログなんか書いているんで,まったくアナログに戻ったってことではないんだけど。
 そうすると再び,文具への関心が少し湧いてきたような。

● 若い頃の文具ってのは,恥ずかしながら,ステータスシンボル的なものでしたね。モンブランやクロスの万年筆とかボールペンとか,とにかく飾るために持つ的な。アクセサリーとしての文具っていうか。
 その姿勢って,完全には葬り去れないと思うんだけど,只今現在は実用で選んでいる。

● といっても,ノートとボールペンだけなんですけどね。ノートは無印良品の「開きやすいノート A6・横罫・96枚」。300円。それにコレクトの1,100円のノートカバーを被せて使用。表紙が厚いのと96枚の厚さが気に入っている。つまらぬことをウダウダと書くので,ある程度のボリュームがあった方がいい。
 ボールペンは三菱のジェットストリーム。0.7㎜の黒。100円ちょっとの品ですよね。ペンはいくつか買ってためしてみたんだけど,ジェットストリームに落ち着いた。
 これだけ。あとは本を読むのに付箋を使うんで,百円ショップで購入。

● 高級品の実物をいろいろ見たければ,とりあえず伊東屋に行けばいいですな。文具好きなら豊かな時間が過ごせますよね。夢も見れるしね。
 女性が(たとえば)ティファニーを好む理由が実感できたりもする。

● 以下にいくつか転載。
 思考が残らないほうが良いものはパソコンでって考え方ですね。(中略)悩んだ軌跡が残せるのは手書きの良いところだと思っています。(宇田丸 p17)
 スクラップしても,いらないと思った時点でそのページは破って捨ててしまい,だいたい1~2週間で一冊使い切ります。その間に具体化しないということは,もうその企画は死んでいるということ。そのくらいのスピード感でやらないと,おもしろいものは生まれてこないんです。(テリー植田 p64)
 顔もファッションも完璧な男性がいても,文具がノベルティだったら何にもひっかかりません。別にモンブランのペンを揃えてほしいということじゃないんです。ほんのちょっとのこだわりが,その人の奥行きを感じさせるんです。(菅未里 p71)
 彼女は文具ソムリエと紹介されている人。職業がらそう言いたくなるのはわかるんだけど,ついでにいうとそういうことを言いたがる女の人ってけっこういるんじゃないかと思うんだけど,実用に徹すると,ノベルティを排除する理由はないことになる。
 ぼくの場合も,いくつか試してみて,最終的に残ったジェットストリームの0.7㎜はノベルティだったんですよ。最後に試せたノベルティ製品がとても良かったんですね。自分で買った0.5㎜と芯を入れ替えて使っているけどね。

● 文具が好きすぎてつくっちゃいました,っていう紹介記事もある。
 宮坂弥さんの「伊葉ノート」は面白いと思った。開くと四角ではなく扇形になる。人間工学的には合理的なんだろうね。でも売れないだろうな。保存に不便だから。
 佐川博樹さんの「スライド手帳」も工夫の一品。ページをめくるのが煩わしい,だったらスライドさせればいいじゃないか,と。でも,やはり売れないだろうな。これ,システム手帳なんだけど,スライドさえるためには,その都度リングを開かなくちゃいけない。ページをめくった方が早くないですか。

2013.12.22 別冊宝島2105号-成果を出している人がやっている超手帳術2014

編者 井野良介
発行所 宝島社
発行年月日 2014.01.12
価格(税別) 933円

● 43人の手帳とその使い方をインタビューして掲載。かなりの力作だと思う。

● どんな手帳を使うか。どう使うか。人の数だけ答えがある。
 忙しい人と暇な人(正確にいうと,自分は暇だと思っている人はいないもので,忙しいと思っている暇な人,ということになる),男性と女性,営業職と事務職,学生と社長さん,その他,その他。それぞれ,違って当然だもんね。

● しかし,なんですね,手帳を使いこなすっていうのは,幻想ですかねぇ。ここに登場する人たちも,まだまだ工夫の余地があると思っているんだろうなぁ。
 完成形はないものでしょうね。むしろ完成を目指してはいけないものですか。ほどほどのところで良しとしておかないと,労力が効果に見合わないものになる。完全指向はストレスを産むだけでしょうかね。

● ぼくは,ずっと「Bindex」のウィークリーを使用している。管理を要するほどのスケジュールは抱えていない。いわゆるログを記録している感じ。
 いまどきだと,たいていのところでは,ネット上に自社用のグループウェアを用意しているだろうから,基本,それを使うことになるし。

● 手帳とは別にノートも携帯している。だったら,手帳は要らないかなと思うことはある。スマホも使ってるんだから,デジタル化しちゃってもいいよな。
 ところが,そうはいかない。紙の一覧性,取り回しのしやすさ,機動性は,たぶんデジタルをしのぐだろう(デジタル化したことがないから,比較はできないんだけど)。

● 紙の手帳で唯一心配なのは,生前に処分できるかってことだけだ。手帳,ノート,蔵書。そういうものは遺族に残しても迷惑なだけだと思っているので,生きてるうちに処分しなきゃいけないんだけど,どうもできる自信がない。

2013年11月28日木曜日

2013.11.28 モノ・マガジン 2013年12月2日号-とっておきの来年手帳

編者 中山 基
発行所 ワールド・フォトプレス
発行年月日 2013.11.16
価格(税別) 590円

● 雑誌の性格上,手帳の使い方とか活用法ではなく,モノとしての手帳の紹介に重点が置かれている。「2014年の手帳はデジアナ併用が旬!」と銘打って,デジタル文具の紹介に力を入れている感じ。
 メーカーから資金が入っているんだろうけど,「ねぇねぇ,買って買って」臭をもう少し薄められるといい。
 もっとも,こういう造りを良しとする読者層も存在するんだろう。

● 比較的若い人たちを読者層として想定しているんでしょうね。オジサンたちはすっかり保守化していて,モノグサにもなってて,変化を好まないようになっているだろうから,よほどのことがない限り手帳を変えることはなさそうだ。
 今まで使ったことのないデジタル文具に手を出すとも思いにくい。

● って,他人事のように書いているけど,オジサンの一員であるぼくは典型的にそうだ。
 スマホももう2年半ほど同じのを使い続けている。それで特段困ったことはないからでもあるんだけど,新しいのに替えてしまうと,アプリのインストールをはじめとして,イチから設定をし直さなければならない。これが面倒だし億劫だ。
 せっかく馴染んだのに,それを新しいモノに取り替えることじたいが,とにかく面倒だ。

● 若い人たちは,ここが柔軟なんでしょうね。素晴らしい。
 ただ,手帳を替えたり,デジタル文具を使ってみたところで,仕事ができる男(女)に変身できるわけではないけどさ,あたりまえだけど。

● ぼくは来年も日本能率協会の「Bindex」だ。中身は能率手帳。ウィークリーのみの使用。
 A6サイズの綴じ手帳にも惹かれるんだけど,問題がふたつある。ひとつは,必ずマンスリーも付いていること。これ,ぼくは使わない。マンスリーに予定を書いて,ウィークリーには実績を書くという使い方もあるかもしれないけど,それも面倒。ぼくは予定は付箋に書いてウィークリーに貼っておく派。

● あとひとつは,メモページがうんざりするほどあること。うんざりするほどあるんだけど,1年間書くとすると,これでは足りない。結局,メモの類は別ノートになる。であれば,手帳にメモページは不要。
 A6ノートと「Bindex」で,来年1年を過ごす予定。だから,この雑誌はぼくが読んでも仕方がなかった。

2013年11月26日火曜日

2013.11.26 ファストフード店でパソコンを広げる人たち

● 平日の昼,モスバーガーやロッテリアなんぞに行くと,ノートパソコンを広げている人がいる。ずっと以前から,田舎でも珍しくなくなっている。電車の中も同様。パソコンやタブレットの画面を見つめている人を見る。あたりまえの風景になった。

● でもね,そういう人たちの中に,仕事ができるオーラを発散している人って,ほとんどいないと思いません?
 パソコンで何をしているんだろうか。昼日中からネットでニュースを見て暇つぶし? そんなこともないと思うんですよねぇ。一応,仕事をしてるんでしょ。
 ビジネスマンにはパナソニックのレッツノートが人気だと聞くんだけど,たしかにこうしたところで見かけるパソコンにはレッツノートが多いような。

● それにしては,緊迫感が伝わってこない。出先でも仕事をしなければならないほどに忙しければ,いやでもそれが伝わってくるはずだと思うんだけど。
 彼ら彼女らから感じるのは,ボーッとしてるとか,のんびりしてるとか,そんな雰囲気なんですよねぇ。今やらなくてもいいことをやってるような感じ。遊んでますよオーラを出しているっていうか。遊んでてもべつにいいんだけど。

● 森博嗣さんは,そういう人はそういうスタイルが好きなのだろう,と書いておられる。
 スタイル以前に,メリハリとか集中とかを知った方がいいんじゃないかと感じたりもしますな。大きなお世話だね。っていうか,何様のつもりだ,オレ。


(追記 2014.02.01)

● でも,モスバーガーとかでノートとペンを出して,いろいろと落書きするのは,ぼくも好きなんですよ。何か楽しいんですよねぇ。つまらないことをシコシコ書いてるだけですけど。
 比べちゃいけないけど,プロのライターでもわざわざファミレスに出かけていって,そこで原稿を書く人がいるっていいますよね。わかる感じ。
 ギューギューに混んでちゃ困るんだけど,ほどよくお客さんが入っているところだと,頭が刺激されるんですかねぇ。

● ちなみに,ぼくは宇都宮駅構内のモスがお気に入り。モスって,紙コップじゃなくて陶器のカップにコーヒーを入れてくれるんで,そこがいいなぁ,と。

2013年11月12日火曜日

2013.11.12 奥野宣之 『人生は1冊のノートにまとめなさい』

書名 人生は1冊のノートにまとめなさい
著者 奥野宣之
発行所 ダイヤモンド社
発行年月日 2010.11.26
価格(税別) 1,300円

● 副題は「体験を自分化する「100円ノート」ライフログ」。「自分の身の回りに起こったことや見聞きしたことを,できるだけそのまま記録しておくこと」(p10)を説く。

● ライフログを残すとして,そのやり方は色々ある。ツイッターのつぶやきがそのままログになるかもしれないし,Facebookを使うってのもありでしょ。
 手帳を使う人が多いですかね。0.3ミリの極細ボールペンを使って細かい字で書けば,相当量を書きこめる。

● 本書はノートを推奨。もちろん,それもOK。ただし,それを金科玉条にしないことだよね(する人はいないと思うけど)。

● もうだいぶ前になるけれども,著者の『情報は1冊のノートにまとめなさい』がベストセラーになったことがありましたね。何だったんだろうね,あれ。「1冊のノートに」っていうのに新味があったんですかねぇ。

2013年10月21日月曜日

2013.10.21 Associe 2013年11月号-手帳大全2014

編者 坂巻正伸
発行所 日経BP社
発行年月日 2013.10.10
価格(税別) 657円

● 「Associe」恒例の手帳特集。この類いの特集記事を眺めるのが,いわゆるひとつのエンタテインメントになってしまったなぁ。
 雑誌の性格からして,手帳を使って大量の仕事をどう捌いていくかというのが中心テーマ。スケジュール管理,時間管理,TODO管理,といったあたり。

● 先日,「日経WOMAN」の手帳特集を取りあげて,「使い方のバリエーションはとっくの昔に出尽くしているのかもしれないね。あとは,手を変え品を変えて,雑誌に仕立てるということなんだろうな」などと言ってしまったんだけど,申しわけない,撤回します,これ。
 恐れいった使い方が紹介されている。47ページの山村沙莉さんの使い方。ウィークリーに予定を書き,マンスリーに日記を書く,という。0.3㎜のペンを使って,とんでもなく小さい文字でびっしりと日記を書く。奇想天外の発想。

● ハンパない超多忙氏が二人登場。32ページの三輪麻衣さんと,50ページの吉田穂波さん。女性にこうまで忙しい思いをさせていいのかと考えるのは,本人たちにとって大きなお世話だろうね。
 手帳の使い方も独特だけれども,これは彼女たちの能力と,特に置かれた環境が作りだしたもの。まさか真似しようとする人もいないだろうけど,これを外形的に真似るのは愚かの極み。

●  「人生は一度きり。勉強も仕事も育児も生活もやりたいことは全部同時並行でやる」「途切れ途切れでも中途半端でもOK,とにかく始めさえしたら時間は生まれる,と発想を切り替えたら,あら不思議。やるべきこと,やりたいことが全部できるようになりました」というレベルだからね。
 ぼくがこれを真似したら,文字どおりの鵜の真似をする烏になってしまうだろう。

● ワーキングマザーというのは,それだけで超人だね。家庭運営や育児っていう滅多にはないビッグプロジェクトの責任者を務めながら,仕事までするんだからね。
 「やりたいことは全部同時並行でやる」っていう,とんでもなく強欲(もちろん,いい意味でね)なところも,女性の強みだなぁ。

● 面白かったのは,渡邉英彦さんの手帳(p15)。なるほどこういうふうにも使えるのがシステム手帳のいいところだな,と思わせる。
 これまた,渡邉さんの力量と仕事が編みだしたもので,うっかり真似をすると痛い目に遭うだろうけど。
 しかし,アメリカやイギリスでは,デジタルツールが席巻しつつあり,紙の手帳はあまり使われなくなっているらしい。すごいなとも思うし,馬鹿なやつらだなとも思う。
 っていうか,英語とデジタルの相性は日本語と比べて段違いにいいんだろうか。

● ぼくはこの本に登場する人たちに比べたら,ぜんぜん忙しくない。正確にいうと,出なければならない会議や,行かなければならない訪問先がそんなにない。
 正直,スケジュール管理をするのに手帳なんぞ要らない。卓上カレンダーにでも書いておけば充分だ。ゆえに,本書に登場するような手帳の使い方をする必要がない。それらを真似たのでは壮大なムダが産まれることになりそうだ。
 そういう人って,けっこう多いんじゃないかと思う。っていうか,メジャーはこちらの方だろう(でもないのか)。
 であるからして,この種の情報を切実に欲する,目を皿のようにしてヒントを探す,という状況にはない。

● でも,手帳は使っている。のみならず,手帳とノートの2つを携帯している。手帳はバイブルサイズのシステム手帳「Bindex」(中身は能率手帳)。ノートはA6サイズに「ほぼ日手帳」のカバーを付けて使用。
 今年の2月まではパソコンで日記を書いていた。が,それをやめて,代わりにノートを持つようになった(6月半ばから)。ダイソーの「ペン差しカバー付A6ノート」。これで実用的には何の不満もなかったんだけど,「ほぼ日」が岡本太郎の油絵「建設」をあしらったカバーを出してくれた。これが欲しくてね。一度は手帳を替えることも考えたんだけど,結局,カバーだけを買うことにした。ノートは無印良品のA6(96枚のやつ 300円)。

● 手帳とノートで何をしているのかといえば,日々の記録を残す,流行の言葉でいえばライフログを残す,っていうことになりますかねぇ。
 外形的なことは手帳に書く。会議があった,誰と会った,何を食べた,とかは手帳に書いておく。読んだ本や聴いた音楽のタイトルも記しておく。
 見たテレビ番組も。新聞の番組欄から該当箇所を切り抜いて,縮小コピーして貼っておく。

● お菓子の包み紙とか,飲食店の割り箸の袋なんかも貼っている。マックのチキンナゲットを買うと付いてくるバーベキューソースの蓋紙までも貼ったりしてる。
 映画の半券(映画はめったに見ないけど)も貼るし,コンサートのチケットはパンチで穴をあけて綴じておく。
 気になった新聞記事も綴じている。以前に比べれば,新聞記事を残すことは少なくなってるけどね。
 スケジュール管理的なことでいうと,忘れてはいけない予定はポストイットの付箋に書いて,該当日に貼っておくだけだ。

● ペンはパイロットのハイテックCコレト。黒,緑,赤,青の4色を使用。
 大きく仕事関係は黒,プライベートは緑を使用(その日に食べたものは黒で書いてる)。読んだ本のタイトルは赤。青を使うことはあまりない。リフィルの補充頻度は,黒→赤→緑→青の順。

● バインダーはポール・スミスのもの。リング径は12ミリくらい。薄いので,1年分のリフィルは入らない。過ぎたものははずして保存用のバインダーに移し,現時点から3ヶ月先までのを入れておくようにしている。
 じつのところ,システム手帳をバイブルサイズにしているのは,保存用のバインダーが安く手に入るからといったあたりにあるんですなぁ。Seriaで売っている100円のやつを使ってますよ。

● それ以外のことはすべてノートに書く。家族の出来事,支出メモ,嬉しかったこと,頭にきたこと,何を思ったか,何を考えたか(考えなかったか),などなど,思いついたことはすべて書くようにしている。同じことを何度書いてもかまわない。
 ちなみに,うまく書くコツは,たくさん書くことだと思う。打率を気にしないで,とにかくガシガシ書いていくこと。で,これは,意外に簡単に習慣化できるものだと知った。
 書くに際して,工夫は特にしていない。次のトピックに移るときに,1行か2行あけるようにはしているけれども,あとはひたすら追い書き(ただし,変化の兆しあり)。

● システム手帳にメモ用のリフィルをセットして,これに書こうとしたこともあったんだけど,これはぜんぜんダメだった。
 リングが邪魔だ。システム手帳は閲覧にはいいけれど,入力には向かない。ガシガシ書くには不向き。
 パンチで穴をあけていろんなモノを綴じておけるというメリットが捨てがたいので,これからも使い続けるつもりだけど,メモ帳なりノートを別に持つのは必須かなぁと思っている。

● 筆記具は0.9ミリのシャープペン。芯は2B。これは,「ほぼ日」が開催した「手で書く手帳展」の初日に行われたトークショーで,松浦弥太郎さんが推奨していたもので,素直にそれに従うことにした結果。
 墨芯だと,中紙が擦れあって字も汚れることがある。万年筆を使うことはないと思うけど,ボールペンに戻すことはあるかも。

● ひたすら書くだけで,後で読み返すときにわかりやすくということは考えない。なぜかというと,読み返すことはないからだ。
 お笑い芸人のネタ帳的なメモ(これは読み返すことが前提)もときにはあるけれど,メインは上に書いたような日記的なものだ。そんなものは読み返さないでしょ,普通。
 身も蓋もないんだけど,これが現実。パソコン日記をやめたのも同じ理由。バカバカしくなった。
 ノートはバカバカしくないのかよというと,これが不思議なことにそんなにバカバカしくないんですよ。読み返さないんだけど,頁を繰ることはある。そのときに自分が書いた文字がパラパラと目に入ってくる。それだけでも,けっこう違うのかもしれない。

● 基本は書いたあとの活用ではなくて,書くことじたいにある。
 頭に来たことをノートに吐きだすとスッキリするという類の効用はたしかにある。その場合,キーボードでは吐きだしきれない。手書きの方がきっちり吐きだせるような気がする。
 ただし,憤怒の渦中にいるときは,吐きだす気にもなれないものだ。吐きだすのは多少落ち着いてからってことになりますね。
 書くと安心するという効用もバカにできないようだ。まず読み返さないし,したがって検索なんぞ考える必要もない。だから,もし,書いたことを読み返したくなったときは,探すのにけっこう時間がかかるかもしれない。でも,どこかにあるのはたしかだ。その安心感。

● 手書きの楽しさのようなものがあることを,ノートを携帯するようになって初めて知った。ワープロ専用機以来,キーボード派に転向して,仕事以外でペンを持つことはなくなっていたんだけど(ちょこっと手帳に書くのが唯一の例外),ひょっとするとバカなことを長年続けてしまったかもしれないと思ったりする。
 紙にペンで字を書くってのは,それ自体が楽しいんですよ。これ,なんか新鮮な発見。

● こうして半年近くノートを使ってくると,手帳はマンスリーの薄いのにしちゃって,スケジュール以外の一切をノートに集めてもいいかなと思ったりもする。手帳に任せているスクラップ機能をノートに持ってくるとか。ま,このあたりは,成り行きにしたがってみようと思ってるけど。
 あと,追い書き方式から,1日で見開き2ページを使う方式に替えようと思っている。少なくとも,日が替われば次のページに移ることにした。細かいことだけど。

● 手帳よりノートの方が可愛くなった。物理的に使っている時間がかなり違うから。自分の分身である度合いが手帳よりも強いんですね。ダイソーの百円ノートであっても愛着がわく。
 自己愛の延長だろうね。だから,あんまりあからさまにするのは恥ずかしいことでもある。

2013年10月15日火曜日

2013.10.15 日経WOMAN 2013年11月号-本当に使える!手帳&文具

編者 佐藤珠希
発行所 日経BP社
発行年月日 2013.10.07
価格(税別) 524円

● この時期の手帳特集の雑誌は,何だかんだ言いながら,買ってしまいがち。女性誌であっても買う。
 でも,ま,さほどにびっくりするような使い方は出てこない。使い方のバリエーションはとっくの昔に出尽くしているのかもしれないね。あとは,手を変え品を変えて,雑誌に仕立てるということなんだろうな。

● 女性誌だからっていうわけでもないのかもしれないけど,手帳で夢を叶える的な記事もある。でさ,言っちゃ何なんだけど,ここで紹介されている夢って,夢なのかな。しごく現実的な願望のような気がするんですけど。
 でも,ま,何が夢かは人による。傍からガタガタ言うことじゃないんだけどね。

● ここにも糸井重里さんが登場。この人抜きの手帳特集はないような感じになってますな。「ほぼ日手帳」の存在感。
 モンブランのシャープペン(2B)を最近使い始めたそうだ。
 「本や映画は,感想ではなく,刺激を受けて自分の頭に別の何かが浮かんだときだけ,それを書き留めています」とのこと。達人の技。普通は感想を書いてしまう。その方がたくさん書けるしね。
 しかし,ま,感想を書くところから始めればいいのだとも思う。だんだん上手になっていくんだろうから。ぜんぜん上手にならなければ,書くことじたいを止めることになるんだろうけど,それはそれで良しとしないとね。

2013年10月14日月曜日

2013.10.14 宇田川一美 『イラストとクラフトで手づくりライフログノート』

書名 イラストとクラフトで手づくりライフログノート
著者 宇田川一美
発行所 技術評論社
発行年月日 2011.04.10
価格(税別) 1,380円

● 副題は「日々のあれこれを記録する “わたしだけ” の採集帖」。こうした遊びは女性ならでは。男は文章主体の堅苦しいノートになりがちでしょうね。それはそれでいいんだと思うけど。

● イラストも絵心皆無なぼくのような者にはなかなかハードルが高い。ひょっとしたら心理的なものにすぎないのかもしれないんだけど,その心理的な部分が大きいわけでね。
 ちょっとした小物入れをノートに作ってみたり,愉快な発想が披露されている。のだけど,やっぱり自分はやらないだろうなっていう。

● こういうのって,ノートを書くと(いうか作る)その時間がエンタテインメント。かなり高度な楽しみ方で,そういうことができる人って,すごいなと思いますね。
 編み物とか料理とかに通じるものでしょ。そして,繰り返しになるけれども,この高度な楽しみは女性に親しいものでしょうねぇ。

2013年10月1日火曜日

2013.10.01 『結果を出す人の手帳術 仕事の教科書VOL.03』

書名 結果を出す人の手帳術 仕事の教科書VOL.03
発行所 学研パブリッシング
発行年月日 2013.10.12
価格(税別) 848円

● 来年の手帳が書店や文具店の店頭に並び始めた。壮観ですね。こんなにもたくさんの手帳が売れるのかと思うと,なんだか妙な気分になってくる。たくさんの人が世の中にはいるんだなぁ,と気づかされるっていうかさ。
 この時期に合わせて,多くの手帳本が刊行されるし,雑誌の手帳特集が増える。毎年のことだ。鉄板なんでしょうね,これ。

● っていうか,ぼくなんか,ついついそういうのを買ってしまう方でさ。変わりばえしないのはわかってるんですよ。それでも,つい手が伸びてしまうんですな。

● 本書の前半は「輝いている人の手帳一挙公開」といわけで,ユーザーと彼(彼女)の手帳を紹介。スケジュール管理編,タスク管理編,ライフログ編,目標設定編の4つに分けているのはご愛敬。
 当然だけど,それぞれが個性的で,そっくり真似すれば失敗必定。フランクリン・プランナーなんかを使っている人もいるんだけど,フランクリン側が提唱している使い方からは逸脱している。それでいいというより,そうでなければならないものでしょうね。
 「ほぼ日」のスタッフも自身の「HobonichiPlanner」をご紹介。

● 後半は「1週間からはじめるタイマネ術」と称して,識者?によるアドバイスを掲載。ここは読む価値なしと判断。

● 冒頭に糸井重里さんのインタビューが載っている。これもこの種の雑誌においては定番になった感あり。
 もちろん,読めば大いに頷きたくなるっていうか,言われてみればそうだよなぁと思いたくなる内容だ。

● ともあれ,人さまの手帳を覗き見るのは面白い。
 ぼくはといえば,来年も能率手帳(のシステム手帳版:Bindex NO.011)とA6の百円ノートを使用。今年の途中から使い始めたA6ノートで,手書きで文字を書きつける面白さ?に目覚めてしまって,興が乗ると2ページも3ページも書いている。
 「ほぼ日手帳」やディスカバー21が出している1日1頁タイプの手帳にも惹かれるものがあるんだけど,この手の手帳を買うと,すべてをそれ1冊に集約したくなるだろう。が,そこからはみ出してしまう日もあるかもしれないな,と。
 NOLTYのA6サイズ能率手帳もいいなと思ってるんだけど,同じ理由で却下(ノートを挟みこめばいいんだけどね)。

2013年9月26日木曜日

2013.09.26 岩崎かおる 『頭のいい人がしている アイディア実行手帳術』

書名 頭のいい人がしている アイディア実行手帳術
著者 岩崎かおる
発行所 ぱる出版
発行年月日 2010.10.26
価格(税別) 1,400円

● 手帳術というタイトルだけれども,本書が提言するところは,スケジュール管理はケータイ(スマホ)で行い,メモは手書きでというもの。手帳はいらないよ,と。
 したがって,持ち物はケータイ(スマホ)とメモ帳にしなさいってこと。

● これ,理に適っているかもしれない。メモだけはデジタルにできない。これはどうあっても紙に手書きでなければならない。
 のだが,スケジュールはGoogleカレンダーに移した方が世話なしかも。パソコンで入れて,見るのはパソコンでもスマホでも。
 これなら,著者のいうとおり,手帳が汚くなることもないしね。

● だが,しかし。理に適っているかもしれないけれども,ぼくがその方式を採用することはない。
 理由はしごく単純で,手帳の役割はスケジュール管理だけではないからだ。っていうか,ぼくの場合は,スケジュール管理なんて手帳の主たる役割になっていない。そんなに予定なんてないから。管理しなければならないほどのスケジュールは抱えていないから。

● では手帳で何をしているのか。流行の言葉でいえばライフログを残すということ。ま,ログというと大げさに過ぎる。生活のどうでもいいような部分を切り取っておくことだ。
 たとえば,会社の女子社員にお菓子をもらう。その包装紙を手帳に貼っておく。面白かったテレビ番組を記録しておく。どうやって記録するかというと,新聞のテレビ欄から該当箇所を切って手帳に貼る。こうしたことはデジタルではできない。

● ぼくは手帳とメモ帳の2冊持ち。つい最近までは手帳のみだった。これには理由があって,2月まで日記を書いていた。パソコンで。3月からそれをやめてみた。読み返すことがほとんどないのでね。
 その代わりにメモ帳を持ち歩いて,チョコチョコと書きこむことにした。ちなみに,そのメモ帳はダイソーで買ったA6版の百円ノート。筆記具はタダでもらったボールペン。街で何かの販促に配っていたもの。

● メモを上手に取るコツは,とにかくたくさん書くこと。選別しないで書く。片面のみ使用だの,あとで書き加えることを考えてページの右半分は空けておくだの,つまらないことは考えない。
 ガシガシ書けばいい。で,そうするためには,本書でも述べられていることだけれども,安いノートがいい。惜しみなくかつラフに扱える。

● それとペンホルダーは必須でしょうね。この点でも,ダイソーで現在販売中の「ペン差しカバー付A6ノート」は相当以上の優れものだと思う。
 すでに生産中止になってしまったけれど,ダイスキンを使うのであれば,やはりダイソーで売っている「クリップペンホルダー」を買って取り付けることを推奨。ボールペンはノック式に限ることは言うまでもない。

● ノートに手書きでメモするようにしたら,読み返す機会が結果的に増えた。実際のところ,読み返すほどの価値あるメモなどほとんどないんだけどさ。
 あと,備忘的なメモは用済みになったら,バーッと斜線を引いておく。この備忘的メモは別にメモ用紙を用意して,そちらに書いておこうなどとも考えない方がいいと思う。1冊に集約。それで何の問題もない。
 手帳とノートの役割分担は最初から問題なかった。長年の間に手帳に何を残すかは定まっているので,それ以外をノートに回せばいいだけだったから。

● 時間の使い方を説いた本の多くは,頭が冴えている午前中に重要な仕事をやるのがいいと説いている。あるいは,80:20の法則を持ちだして,2割の重要なことを終えれば全体の8割を終えたことになる,などという。
 けれども,本書の著者は「簡単な用件を先にツブしていくのです。時間がかかりそうな作業やじっくりと考えをまとめなければならないことは午後にまわして,簡単で単純なことをはじめに終わらせてしまいます。(中略)まずは簡単な用件を先にこなして,TODOリストを一気に減らす。リストをツブしていく快感を信じましょう」(p70)と提言する。
 著者の説が的を得ていると思う。自分の体感に合致する。
 ひょっとすると,ビジネス書の多くはけっこういい加減。実際に働いたことのない人が,頭のなかで捏ねくりまして書いているのかと思ってしまいますな。

● 転載を2つ。

 実務は,目の前にある「次にやること」をしっかり処理していくだけです。(p147)

 そうなんだよね。ここまでピシッと言ってもらえると,ストンと腑に落ちますね。この人,プロなんだなって思う。

 ことの成否は周りの人や仲間,ひいては世間に甘えられるかどうかにかかっています。甘えていいんです。もっと気楽に考えていけばいいんです。(p195)

 これもそうなんでしょうね。ここは女性にアドバンテージがあるんでしょうね。甘えるという才能がない人って,男のなかには相当いるもんな。わかっていても甘えられない,っていう。
 ここは,たぶん,教育とか文化背景とかでは説明しきれないところがあって,男性はもともと甘え下手に作られているんだろうねぇ。最後にどうにもならなくなって,周囲にとんでもない迷惑をかけてしまう。そうなるまで甘えられない。
 逆に,それができる男は,けっこうモテるんじゃないだろうか。うん? となると,いずれはすべての男性が甘え上手になるか。じつは,甘え下手には作られていなかった,ってのが判明することになるのかなぁ。

2013年9月19日木曜日

2013.09.19 YUZUKO 『暮らし便利ノートの作りかた』

書名 暮らし便利ノートの作りかた
著者 YUZUKO
発行所 メディアファクトリー
発行年月日 2010.12.03
価格(税別) 1,200円

● これは要するにスクラップ帳。文字による書きこみも,ノートにじかに書くのではなくて,メモ用紙に書いてから,ノートに貼る。
 そのメモも,文字よりはイラストが多い。ポップであとで見直すのが楽しくなる。

● こういうのはどうしたって男より女の方が得意でしょ。男は女に学ぶべし。
 なんだけど,こういうことをやっている男子を,女子はどう思うのかなぁ。

● 「雑誌の切り抜きは中学生からの習慣」だという。学生の頃からやっていることで,いうなら年季が入っている。三つ子の魂百まで的なことって,こういうところにもでるんですかねぇ。

2013年9月1日日曜日

2013.09.01 ほぼ日手帳2014-手で書く手帳展。

渋谷ロフト6階

● 今日(9月1日)から10日まで,渋谷ロフトで標記の展覧会が開催されている。主催者は「ほぼ日刊イトイ新聞」。
 「松浦弥太郎さん(『暮しの手帖』編集長),西田善太さん(『BRUTUS』編集長)をお招きし,糸井重里と「手で書くこと」について語ります」というトークショーもあって,それが今日の14時からだった。
 で,行ってきた。松浦さんは,著書もいくつか読ませてもらってて,どんな人なのか直接見たいっていう,デバガメ的な興味もあって。

● 小さな展示だけれども,吉本隆明さんや横尾忠則さんをはじめ,まずよそでは見られないと思われる人のメモや手帳の実物が展示されている。
 まず,ほとんどのメモが鉛筆(かシャープペンシル)で書かれたものだったことが印象的。万年筆やボールペンで書かれたものももちろんあるんだけど。
 
● 梅棹忠夫さんのメモの中に,小鳥の鳴き声を五線譜に写しとったものがあった。文化人類学者って,こういうことまでできなきゃいけないのかと思った。
 っていうか,できない人も普通にいるに違いないけれども,梅棹さんの関心の広さっていうか,貪欲さというか,気のつき方加減っていうか,唖然とさせられる。
 浅葉克己さんの日記にも一驚。しかも,1年分をきちんと製本してある。阿久悠さんの日記もこういうものだったんだろうかなぁ。

● おめあてのトークショー。相当な人出。立ち見客がぎっしり。ぼくもその中のひとり。
 ひょっとすると,ぼくが最年長だったかもしれない。最近,そういうことが多くなった。あれ,この中でオレ,最年長じゃないか,っていうのが。
 3人とも生(?)を見るのは初めて。生でしか伝わってこないものって,当然だけど,ありますね。

● 最後に松浦さんがおっしゃっていたことが印象的。
 「ほぼ日手帳」はこれをどう使うか考えさせてくれる。考える時間を与えてくれる。普通の手帳は,こう使えと手帳自身が指示してくるから,どう使うかは考えなくていい。
 買ってはみたものの使わないで終わってしまったとしても,その考える時間を与えてもらっただけでモトは取れている。こういう商品って少ないし,作ろうと思っても作れないものだ,というような話。

● ご自身が持ち歩いているというペンとメモ用紙を出して見せてくれた。短いシャープペン。芯は0.9ミリでB以上の濃さ。
 そうでないと,思考の速さでメモを取ることができない云々ということを西田さんが言ってたけれども,お三方にしても思考の速さでメモれるのは,よほど体調がいいときに限られるんじゃないかなぁ。

● トークの内容は後日「ほぼ日」で再現掲載されるんだから,それこそメモなんか取る必要はないと思うんだけど,何人かメモを取っている人がいた。大半は女性で,メモの媒体は当然ながら「ほぼ日手帳」。
 ライヴにメモは似合わないよなぁ。と思うものの,大きなお世話だろうな。それぞれの流儀があるもんな。手書きメモの重要性について,トークをしているわけだしな。

● 終了後はロフト地階の文具・手帳売場を覗く。
 腑に落ちないことがあった。文具雑誌が増えたし,普通の雑誌でも文具特集を組むことが頻繁になったと思うんだけど,ぼくの廻りに文具に凝っているらしき人はいない。田舎にいると,状況はかくのごとし。
 が,渋谷ロフトで納得。手帳にしても,田舎ではあまり見かけないモレスキンとかクオヴァディスとか,高級そうなのがあって,そういうところにも人が群がっているのだった。
 若い女性が目立つんだけど,男性も年配者もいる。なるほどこういうことかと思った。
 ビジネス書の9割は大都市圏で売れるって聞いたことがあるんだけど,文具や雑誌も同じことなのか。
 時々は東京に出て,東京の文具売場を覗いた方がいいのかもなぁ。

● 「ほぼ日手帳」は13年前に初めてお目見えしたときに,買うかどうかけっこう迷った末に見送った。以後,縁がないまま今日に至る。ことここに至っては,これからも買うことはないと思う。
 ちなみに,自分が使っているのは能率手帳をシステム手帳にした「Bindex」。能率手帳を含めると,かれこれ四半世紀は使い続けている。オヤジ手帳ですな。それとA6サイズの百円ノートの組合せ(ノートを使い始めたのは数ヶ月前から)。
 格別不満もないので,たぶんずっとこのスタイルで行くことになると思う。

● さきほどの松浦さんの話に異を唱えるわけではないけれど,能率手帳にだって遊びはある。それなりに遊べるもので,どう遊ぶかは使い手次第。
 システム手帳だとリングが邪魔ってことはありますけどね。逆に,このリングが重宝することもあってさ。

● ときどき,デジタルへの完全移行に惹かれることがある。Googleが提供してくれているサービスを使えば,たぶん可能だろう。スマートフォンがあたりまえになっているのも大きい。
 デジタル化に惹かれる理由の第一は,紙の手帳やノートを自分が死ぬ前に処分できればいいけれども,そっくり残してしまったら,ヨメが困るだろうってこと。捨てるに捨てられないし,とっておくには邪魔だし。
 彼女がぼくの手帳やノートをぼくを偲ぶよすがにするとは思えないので,遺族に余計な戸惑いを与えないよう,生前に処分しておくことは,かなり優先度の高い義務だと思っている。
 梅棹さんや浅葉さんのメモや手帳だったら,保存する価値があるだろうけど,ぼくのそれは要するにゴミに過ぎない。

● でも,そうはしないことも自分でわかっている。最低限,手帳は紙。
 デジタルにすると,結局,ブラックボックスに入れたようなもので,見直すことがない。それはつまり,捨てたのと同じこと。いずれは捨てなきゃいけないものだとしても,書くそばから捨てるわけにはいかないからね。

● 『ほぼ日手帳公式ガイドブック』は毎年買ってて,すべて持っている。読んでて楽しいからね,これ。この日も帰りに大宮で途中下車して,大宮にあるジュンク堂書店で2014年版を購入した。
 なんで東京で買ってしまわないんだよ,途中下車なんて余計なことをするんだよ,っていうツッコミはなしでお願いしたい。


(追記 2013.09.03)

 「ほぼ日手帳」は「ことここに至っては,これからも買うことはないと思う」と書いたんだけど,『ほぼ日手帳公式ガイドブック2014』を見てたら,岡本太郎の油絵「建設」をあしらったカバーがラインナップに加わっているではないか。
 これ,欲しい,かなり。価格は6,500円。

 「ほぼ日手帳」って,他の手帳に比べると高価っていうイメージがなくもないような気がするんだけど,本体価格は2,000円。1日1ページの手帳が2,000円というのは,むしろ安いといっていいだろう。

 ともあれ。「建設」カバー,欲しいぞ。どうする? オレ。
 長年連れ添った古女房を捨てられるのか。超保守主義者のオレ,どうするよ。

2013年8月13日火曜日

2013.08.13 杉浦さやか 『スクラップ帖のつくりかた』

書名 スクラップ帖のつくりかた
著者 杉浦さやか
発行所 KKベストセラーズ
発行年月日 2005.11.09
価格(税別) 1,300円

● 日記,あるいは流行の言葉でいうとライフログ,としてのスクラップ帖。旅行などのイベントを記録したスクラップ帖。

 こういうのを作るって楽しいんだよね。著者も子供の頃から,ノートに何かを書いたり描いたりするのが好きだったようだ。

● ぼくが小中学生の頃は,女の子の間で少女マンガのヒロインチックな目の大きな子の絵を描くのが,流行っていたことがある。
 落書き的に絵を描くのって,理屈抜きに楽しいわけでしょう。でも,ぼくはそういう経験がない。なぜなら,絵を描くのが下手だから。

● そういう人にお勧めなのが「貼る」こと。お店のマッチ(今は絶滅危惧種。っていうか,絶滅したか)の空き箱,割り箸の袋,ショップカード,お菓子の包装紙,チケットの半券,手元に残った切符(1日乗車券とかは残るからね),キャバクラのオネーチャンの名刺(これはちょっとどうか),などなど。
 こういうものをペタペタと貼って,ちょこちょこと備忘の文章を入れておけば,立派な日記だ。

● こういうことは,ぼくもやっていた。ただ,アルバムを使ってましたね。だから,旅行にでたときに,撮った写真と一緒に貼っておくという程度で,ライフログを残すっていうところまではとてもとても。
 デジカメになると,そもそもプリントしなくなった。デジタルのままパソコンに保存。となると,マッチの空き箱なんぞは保存もしなくなる。

● でも,一応,手帳(週間見開きの右ページ=メモ欄)にそんなものを貼っておくってのは,今に至るも続いている。スペースが限られるんで,ほんの少しだけですけどね。
 それでも,それをやると手帳がカラフルになっていいですな。こういうことを普通のノートでやるといいんでしょうね。

● こうしたことを長く続けていると,著者のようにその一部を書籍化することもできるかもしれない。できないかもしれないけれども,楽しく作って遊べればそれで良し。

● ただね,ぼくの年齢になると,こういうのを残しておくこと自体に少しばかり抵抗が出てくる。つまり,ぼくが死んだあとに,残された奥さんが処分に困るだろうなって。遺族が処置に困るようなものを残してはいけないなって。
 紙に書いた日記なんかもそうだよなぁ。適当なところで処分しちゃった方がいいんじゃないかなぁ。ってなことを思ったりもする。

2013年7月31日水曜日

2013.07.31 卯野たまご 『夢を叶える! 引き寄せノート術』

書名 夢を叶える! 引き寄せノート術
著者 卯野たまご
発行所 メディアファクトリー
発行年月日 2012.04.06
価格(税別) 980円

● ヤフオクで購入。自分でも買っておきながら,こういうことを言っちゃいけないんだけど,こういうのに惹かれる人って,ぼくもそうだけど,ダメダメちゃんが多いんじゃないかと思う。
 現実逃避大好きっていうかさ。あなたは今のままで完璧なんだからと言われて,額面どおりに受け取っちゃうっていうかさ。

● 何もしなくても,夢が叶ったシーンをリアルに思い浮かべていれば,神だか創造主だか宇宙霊だかハイヤーセルフだかが,そのシーンのとおりに現実を変えてくれる。それを半ば以上信じちゃってる人,マジでいるんだと思うんだよねぇ。
 そういう人が決して少なくないことが,書き手と版元に仕事をもたらしてくれるんだろう。こうした本って次から次へと出版されてるからね。
 次から次へと出版されるということは,御利益がないってことなんだけどね。

● 本書を読んで自分もやってみようと思う人も,少なくない数,いるはずだ。っていうか,そう思ってるからこういう本を買うわけでね。やってみれば,ってことですけどね。

● ただし,本書をそれだけで片づけてしまってはいけない。本書は類書の中では真面目指向。良い習慣をつけるための具体的な方法論を説いたものでもある。
 実際,早起きとか,思いたったら即実行とか,そうしたクセを身につけようとすれば,著者が示しているようなやり方は,かなり有力な方法だと思う。

● 問題は,それをやったからといって,狙った習慣を獲得できるとは限らないこと。というより,本書で説かれている方法をやりきれるほどの人なら,たいていはうまくいくのかもしれない。
 本来,本書の方法論は楽しい作業なんだろうけど,それでもなかなか続かないんじゃなかろうか。

● ぼくに関していうと,それ以前の問題がある。最初に「食べたいモノを書こう」「行きたいところを書こう」「プチプライスの欲しい物を書こう」とあるんだけど,食べたいモノも行きたいところも欲しい物もないんだよねぇ。
 足るを知っちゃったのかなぁ。歳を取っちゃったのか。まず,ここを何とかしないと。

2013年7月4日木曜日

2013.07.04 奥野宣之 『旅ノート・散歩ノートのつくりかた』

書名 旅ノート・散歩ノートのつくりかた
著者 奥野宣之
発行所 ダイヤモンド社
発行年月日 2013.03.22
価格(税別) 1,600円

● 中山庸子さんの「夢ノート」の旅・散歩バージョンのようなものか。本書で説かれているのと同じか,かなり近いことをしている人は,けっこう多いのではないかと思う。
 『ほぼ日手帳公式ガイドブック』を見ると,「ほぼ日手帳」で同じようなことをしている人もいるっぽい。

● ぼくのことでいうと,デジカメが登場する前は,アルバムでこれをやっていた。これといっても全部じゃないけどね,当然。
 「旅の途中」で集めたチケットや切符,菓子の包装紙,お店の割り箸の袋などを,写真と一緒にアルバムに貼っていくのが,「旅の後」のぼくの楽しみでもあり,家族から託された仕事でもあった。
 なので,アルバムの消費量はけっこうなもので,このまま増えていったらどうなるんだろうと思ってた。

● ところがデジカメになると,プリントそのものをしなくなる。せっかくデジタルになってるものを,わざわざ手間ひまかけてアナログに変えることはないからね。
 チケットや包装紙だけをアルバムに貼るのも間が抜けている。スキャンしてまとめてパソコンで整理するのはありだと思うんだけど,それも面倒だ。結局,整理をしなくなった。

● ぼく一個のことについては,システム手帳(バイブルサイズ)をスクラップ帳にもしてて,基本,それでまにあってる。
 あと,最近,100円ショップでA6ノートを買って,持ち歩いている。使い勝手がよくて,落書き帳的にいろいろ書くようになった。「旅の前」の情報収集などにはまだ使ったことはないけど。

2013年6月14日金曜日

2013.06.14 Associe 2013年7月号-ノートの極意

編者 坂巻正伸
発行所 日経BP社
発行年月日 2012.06.10
価格(税別) 600円

● 手帳の次はノート。
 といっても,ノートに何かを書いていたのは学生だった間だけ。社会人になってから1冊のノートを使い切ったという経験はない。必要なことは会議で渡された資料に書きこむ。それですんできた。っていうか,すませてきた。ひょっとすると(ひょっとしなくても),社会人失格かもしれない。
 メモを取る習慣もあまりないんだけど,連絡メモや備忘メモは,A4反故紙を4つに切って,その裏側を使ってきた。ノートが要るなと思ったことはない。

● ノートっていうと,あらためて何かを勉強するために使うものっていうイメージがある。そうではなくて,落書き帳的に気軽に使えばいいんでしょうね。
 ぼくはもう手遅れだけど,あまり方法論を考えないで,まず使ってみればいいのだと思う。

● とはいっても,プライベートではぼくはわりと文字を書く方だと思う。こんな埒のないブログまで書いているくらいだから。
 ただ,どうしたってパソコンで書くわけで,ノートとペンを使うことはない。手書きの方が,図でもイラストでも自由に書けるから,発想段階ではパソコンは不向きという意見も聞くことがあるんだけど,ぼくは図やイラストなんか書くことはない。最初から文字。エディタで思いつく単語を入れていって,どうにかこうにか文章にしていく。

● でも,まぁ,本号を見ると,できる人はノートを使ってますな。いや,ノートを使っている人の中から,絵になるできる人を選んでるんだろうけど,いろんな使い方があって,見てると楽しい。
 1日の行動を分単位でノートに記録して,就寝前にiPhone(「My Stats」)に入れるという人もいる。究極のライフログ。
 これを何日間が続けてみると,自分がいかに時間を捨てているかがわかるんだろうな。しかし,これをやれること自体がすごい。

2013年6月13日木曜日

2013.06.13 Associe 2012年11月号-手帳術2013

編者 坂巻正伸
発行所 日経BP社
発行年月日 2012.10.10
価格(税別) 657円

● 『Associe』の手帳特集。これも昨年のうちに買って,そのまま放っておいたもの。

● 人の手帳を覗く楽しみ。その楽しさも逓減してきた。老化現象のひとつだと思っている。たかが手帳だろって考えちゃう。
 その下には,もはや自分が何者でもないことが明瞭になって,今さら何をしたってな,ってのがある。老化現象だよねぇ。

● もうひとつ,自分の手帳の使い方が固定していること。そして,それを変えるつもりがないこと。また,変えなければならないような外的条件の変化がないこと。
 それも老化現象なんじゃないのって言われると,たしかにそうかもしれない。いい意味でも悪い意味でも,手帳に関しては安定している。

● それと,ぼくにメモを取る習慣がないってのもあるかもしれない。メモを取らないってことは,手帳に求める用途の主要なひとつを欠くってことだから,手帳への思い入れもその分低いかもしれない。
 でも,メモを取る人ってすごいなぁと思う。ぼくの考えるメモは思いつきを書きつけるってものなんだけど,思いつきがあるってことがまずすごいし,それを手帳なりメモ帳に書くってのがすごい。
 芸人って,ネタ帳を持ってるだけで,大したものだと思っている。

● 電車の中でノートパソコンを開いて仕事(だと思う)をしている人を見ても,何も感じなくなった。田舎でも珍しい光景ではなくなっている。
 けれども,そういう人たちを見て,できそうな人だと感じたためしはない。効率の悪い仕事をしてるんじゃないかと見えてしまうんですね。根拠は何もないんですけどね。
 手帳にびっしりと何かを書いてる人を見かけると,たぶん同じ印象を持つんじゃないかと思う。

● 糸井重里さんのインタビュー記事があって,それが本特集の白眉といっていいだろう。そこから引用。
 当時,社員が他者の手帳を調べようとしたので,「それはやめよう。横をみてはいけない」と言いました。普通の発想だとマーケティング調査をしたくなる。でも,横を見ると,それだけで仕事をした気になっちゃうんですよね。そこから生まれてくるものはほとんどなくて,まず自分の頭で考えることが大切なんです。 ユーザーの声は本当に聞きます。でもそれを反映するかどうかは,検証していくほど道筋は限られてくる。ユーザーの声と僕らの声って大体同じなんです。改良してほしい,利便性を高めてほしいという要望は,僕らも既に試作をして,やっぱり違うとボツになったものが少なくない。

2013年6月7日金曜日

2013.06.07 DIME 2012年10月16日号-365日右肩上がりの手帳術

● 「365日右肩上がりの手帳術」という手帳特集。
 次の年の手帳が文具店や書店に並ぶ時期って,どんどん早くなってる。9月にはもう出てきてない? せっかちだねぇ。悪いことじゃないけど。

● その時期に,雑誌が手帳の特集を組むのも,例年の約束事。売れるんでしょうね。
 でも,毎年毎年,次から次へとこうした雑誌特集とか手帳本が刊行されるのは,要するに決定版はないってことの証明でもある。

● どうなんだろ? こういうものを実用記事として読んでる人と,この種の記事を読むこと自体が好きっていう人と,どちらが多いんだろう。
 ぼくはどちらかというと,後者に属すると思う。どの手帳を買うかは決まっている。毎年同じものを使っていて,変える気はサラサラない。進取の気性に乏しい。

● でも,こうした記事を読むのは好きだ。ま,昨年10月に買ったのを,今まで放っておいたくらいだから,好きといっても度合いはしれているんだけどさ。
 人さまがどんな手帳をどんなふうに使っているのかって,興味がありますよね。かなり下世話な覗き趣味ではありますけどね。

● この気分をさらに掘りさげると,手帳が人生を変えるって,どこかで思っているのかもしれない。手帳の使い方にもデキる人の共通点があって,それを知れば,そしてそれを真似れば,自分もデキる人になれるかもしれないと思っている,と。
 んなこたぁ,ないわけですけどね。

● こうした雑誌特集って,どうしたって宣伝臭が入りこむことは避けられない。メーカーからお金が出ているんだろうからね。
 それでもちゃんと読ませる誌面作りのノウハウは,各社とも蓄えているんでしょうねぇ。

2013年5月11日土曜日

2013.05.11 10日間ほどパソコンなしの生活をしてみて

● 黄金週間の後半が始まる前夜の5月2日。ちょっとした悲劇がやってきた。パソコンが逝ってしまったのだ。誤って電源ケーブルを引き抜いてしまったことが原因。
 バッテリィ駆動に切り替わるだけだろってことなんですけど,そのバッテリィはとっくに機能不全になってた。パソコンを外に持ち出すなんて一切しないから,それで特に困ることもなくて。

● でも,そんなことじゃ壊れませんよね,普通。だが,しかし。再起動しなくなった。セーフモードでは立ちあがったんで,システム復旧ってのはやったんだけど,やはりダメ。そのうち,セーフモードでも立ちあがらなくなった。
 ハードディスクがおかしくなったんでしょうなぁ。電源ケーブルを引き抜く前から弱ってきてたんでしょ。兆しは特に感じてなかったんだけど。ジタバタしないで買い換えるしかないでしょ。

● と気楽に考えられるのは,ひとつには,自分謹製のデータの毀損がなかったこと(まったくなかったわけではないが,ま,たいしたことはない)。
 何度か痛い目に遭ってきたから,いかなぼくでもそれなりに学習はしている。バックアップは当然として,自分が作ったデータはパソコン本体のハードディスクには保存しないようにしていた。いまどきは32Gとか64GのSDカードがあるんだもんね。それを装着して,データはそちらに保存。
 本体のハードディスクにあったのはCDをリッピングした楽曲データが200Gほど。二重にバックアップをとってある。

● もうひとつは,ぼくが使ってるパソコンはあまり痛手を感じないような値段で購入したものだってことですね。
 ここ10年ほどはThink Padを使ってるんだけど,今回壊れたのは3年前に3万円で購入したもの。ヤフオクで買った中古品。
 X61っていう型落ちもいいところの製品ですな。CPUはCore2。OSはXP。ハードディスクは500Gに換装してあった。メモリは1Gだったかな。
 なので,壊れても経済的なダメージが少ない。で,今度もまた同じX61をヤフオクでゲット。今回は,3万円どころか,1万円台(17,099円)ですんだ。OSはWin7。メモリは2G。ハードディスクは120G。

● これで充分なんですよね。ぼくがパソコンでやりたいこと,現にやっていることって,この1万円台のパソコンですべてできてしまう。
 最もパソコンに負荷をかける作業はDVDの再生ですかね。そんなもんですよ。あとは,CDをリッピングする,音楽を聴く,テキストを入力する,書類をスキャンする,写真を見る,ネットに接続する。そんなことは1万円台のパソコンでやれる。自分に15万円ものパソコンを買い与えるのは,豚に真珠を贈るのに等しい。
 ちなみに,Office(WordとExcelのみ)は2000を今でも使っている。セキュリティの問題があるなんて言われるけれども,本当なのかね。個人使用のOfficeでセキュリティが具体的に問題になる局面があるのかね。機能的には2000でまったく問題はないんだけどね。

● これについては,森博嗣さんが,『森博嗣のTOOLBOX』(日経BP社)で次のようにお書きになっている。
 僕は,人がテクノロジィに憧れる気持ちこそが,テクノロジィの最終的な目標だと考えている。だから,もし,みんなが合理的に考えるようになって,冷静に自分の使用範囲のものだけを選ぶようになったら,技術はもう終盤だと思えるのだ。(p60)
 ポルシェに乗っていたからできた,カローラではできなかった,という事態に出会う確率は大変低い。それなのに,10倍ものお金と交換しても,この商品に需要が成立するのは何故だろうか? デジタル製品が,乗り越えなければならない壁がそこにある。とっくに技術者は気づいているだろう。ユーザがまだ気づいていないだけだ。(p61)
 この本の出版は2005年だ。それから8年経ったけれども,パソコンのポルシェはまだ登場していないように思える。

● ソフトについては,森さんも次のように語っている。
 ユーザはあるところで満足し,自分のツールを決めてしまった方が有益なのである。どんどんバージョンアップする必要なんてない。使い慣れたものの方が安定しているし,失敗がない。パソコンのアプリだって同じ。余程の不便を感じないかぎり,僕はバージョンアップをしない。不安定さと無駄な消費時間を買っているようなものだからだ。(p104)
 多くの方がそうしてらっしゃるでしょうね。いまどき,律儀にバージョンアップにつきあってる人はいないのじゃないか。Officeも2000のままって人,ぼく以外にもたくさんいるでしょうし。
 もっとも,ぼくの場合はケチ根性が前面に出ているわけだけど。

● ともあれ,10日間ほどパソコンなしの生活を余儀なくされた。1万円台だろうと何だろうと,パソコンが使えないのはとんでもなく不便。不便なんてもんじゃなくて,理由がないのにイライラしてくるような感じがありましたね。
 パソコンとネットはあってあたりまえになってて,あたりまえだからその有難さを普段は忘れてますな。

● ぼくはDVDプレーヤーもCDプレーヤーも持ってなくて,すべてパソコン頼みだし,手書きで長めの文章を書くなんて拷問に近いと感じるようになってるし(そもそも,ノートとか持ってないし),パソコンがないと手も足も出なくなるってところがあった。
 であれば,安いパソコンしか買わないことだし,1台だけじゃなくて予備にもう1台持っとけよ,って言われますな。いや,ほんとそうで,スマートフォンがなかったらヤフオクで次のパソコンを手当てすることもできなかったわけですからね。
 なので,同時にもう1台,ヤフオクで入手しておいた。こちらは,さらに古いX40という機種。CPUはじつにPentiumMプロセッサ。OSはXP。メモリは1.5G。60GのSSD(換装)。13,000円で落札。

● パソコンのない間,ネットはスマホでつながるしかなかったんだけど,あたりまえながら,スマホではパソコンの代わりにはなりません。効率が悪くてどうにもならない。
 どうしてもってときにしかネットに行かなくなる。銀行振込もスマホじゃやりたくないでしょ。ブログの更新なんかあり得ない。

● 第一,スマホで文章は作れない。
 REUDOのBluetooth接続の外付けキーボードも試してみたんだけど,使いものにならなかった。しばしば断線する。その後は接続しなくなることも頻出。忘れた頃にまたつながったりするんだけど,これではどうにもならない。
 もっとも,ぼくが持っているキーボードはRBK‐2100BTという古めのやつだから,今どきの新しいのを使えば,そんな目には遭わないように改善されているのかもしれない(断線の原因がスマホ側にあるのか,キーボード側にあるのかもわからない)。

● スマホでネットにつながって,行った先のサイトからテキストをコピー&ペーストするのは,できればやりたくない作業だった。なかなか上手くいかないでしょ,これ。
 でも,今回,この作業を繰り返すことになって,けっこう慣れてきた感じ。

● 結局,スマホは閲覧は何とかできても,入力は何ともならないことを,体験で痛感。ツィッターにスマホを使っている人は多いんだと思うけど,ぼくはダメ。ごく短い文章もスマホで打つ気にはなれない(だからというんじゃないけど,ツィッターはやってない)。
 スマホでノマド・ワークなんてタイトルの本がいくつか出てるようだけど,あり得ないね。スマホでできる仕事ってどんな仕事だ? 結局,業界の宣伝なんだろうな,ああいうものは。

● テキスト入力は,やはりヤフオクで落とした,NECのモバイルギアを引っぱりだして行うことになった。それなりに役に立ってくれたけれども,やはりパソコンに比べればキーピッチが狭くて打ちずらいし,ATOKも大昔のものだからあまり賢くない。
 入力速度はガクンと落ちるし,タイプミスは格段に増える。ワープロとしてもパソコンの代わりにはならない。緊急避難的に使うもの以上ではない。これも当然だけど。

● ただ,モバイルギアってハードディスクがない分,壊れないねぇ。ワープロ専用機として危急の備えにはなった。
 じつはぼく,モバイルギアは4台持ってるんですよ(バカか)。うち,2台は乾電池で駆動するやつ。今となってはポメラの方にアドバンテージがあるにしても,製品寿命の長さは驚異的だな(テキスト打ち以外には使えませんよ,もちろん)。

● タブレットはどうか。ぼくは持っていないので試しようがない。あれを自分が使っているシーンをイメージできないでいる。
 のだが,某演奏会でぼくの隣に座った女性(オバサンだった)が休憩時間にタブレットを取りだして,画面の下半分に表示されるソフトキーボードを巧みに打って,パパッと文章を作っているところを目撃した。
 彼女にできてぼくにできないことはないかなと思ったんだけど,2分や3分ならいざ知らず,10分以上あれをやれるか。

● ともかく,パソコンのない暮らしを余儀なくされて,パソコンがないとQOLが明らかに低カすることを発見。っていうか,わかりきっていたことなんだけど,実際に味わってみると痛いほどに実感できた。
 CDのリッピングもできなければ,それをスマホに転送することもできない。毎日溜まる書類をスキャンすることもできない(したがって,書類を捨てられない)。銀行振込は(スマホで)できなくはないけどイライラする。DVDも見られない。ブログの更新も滞る。ごく少数ながら読んでくださる方もいるわけで,更新すべきはさっさと更新したいんだけどね。
 なんだか,生活そのものが便秘状態になったような感じ。どんどん入ってくるのに,処理して出すことができないんだから。

● 大げさにいうと,黄金週間の後半がスカスカになってしまった。パソコンがないために,予定していたことのいくつかができなくなった。やらずにすんだはずのことをやらなければならなくなった。
 そこから玉突き現象が起こる。頭の中で考えていたスケジュールはボロボロ。

● 結論。(今のところ)パソコンは唯一無二のもの。代替品はない。
 ネットは生活必需品。ついこの間までネットなんかなかったのにね。もうそこには戻れない。否も応もない。
 テレビは見なけりゃ見ないでいられる。たぶんに習慣のものだ。けれども,ネットはよく言われることだけれども,生活のインフラになってて,使わなけりゃ使わないでいられるというわけにはいかないんでした。

● そのパソコンが中古でよければ1万円台で手に入る。それで実用になる。とんでもなくコストパフォーマンスの良い器具になった。
 昔を知る者にとっては隔世の感どころか,これまでパソコンと周辺機器に投じてきた金額を計算して,どんより暗い気持ちになったりしますな。今から見れば玩具のような機械と数十万円を引き換えてたんだもんなぁ。
 あの膨大な金額。夢を見れた(実現はできなかったけど)代償と割り切るしかないものでしょうね。


* 5月6日に,宇都宮のインターネットカフェに行って,このブログの更新だけはしてきた。こういうとき,ヨメのパソコンを借りるっていうのは,ぼくの発想にはない。パソコンの使用貸借ってのは,夫婦間でもありえないでしょ。

 で,それがネットカフェ初体験だったんです。ネットカフェって,寝ぐらを持たない人の居場所っていうイメージができちゃってるかもね。実際,時間帯によってはそのイメージどおりの実態があるのかもしれないけど,楽しいとこでしたねぇ,ネットカフェ。
 3時間で1,000円。それでパソコンは使えるし,コーヒーもコーラも好きなだけ飲めるし,ふかふかの椅子で昼寝もできるし,大量のマンガ本も選び放題。「ワンピース」の全巻読みなんてのもできちゃうかも。
 お腹がすけば,別料金で食事もとれる。食べものを持ちこんでも,たぶん,咎められることはないだろう。

 スタッフの接客もいい。もちろんマニュアル以上のものではないんだけど,3時間もいて1,000円しか払わないんだから,マニュアル以上を求めちゃいけないよねぇ。
 夏場の避暑地としてネットカフェはありかも。ぼく,ここで丸一日,過ごすことができそうだ。いや,マジで。

 ひと頃(だいぶ前だ),自宅と会社のほかに,一人になれる場所を確保しようって記事が,ビジネス誌を賑わせたことがあったっけ。わざわざ部屋を借りなくても,ネットカフェが代用になりそうな気がする。冷暖房完備で諸手続き無用。
 知らない人には,「カフェ」という言葉が誤解を与えそうだ。簡易個室が使えるのだから,どう使うかは使う側の創意工夫を発揮できる余地が大きいと感じた。

* 11日に新しい(中古だけど)パソコンが届き,ネットに接続できた。とりあえず,Google ChromeとiTunesとGOM Playerをインストール。これでとりあえず便秘症状の7割は解消できる。
 音楽再生やDVD再生には,もっといいソフトがあるんだろうけど,慣れているし,いろんなソフトを比べてみようっていう向上心もないし。
 あとはいくつかのソフトをCD-ROMからインストールしなければならないんだけど(けっこう面倒なんだよなぁ,これ),それはおいおい。

 Macintoshは別として,Think Padは昔から憧れだった。「560」の印象は鮮烈だったな。薄型ノートですな。その前に,DEC(のちに,Compaqが吸収合併)の「Digital HiNote Ultra」があったけど。どうも薄型に惹かれていたらしい。
 けど,ちょっと手がでなかった。ショップでカタログをもらってきて,ながめてはため息をついていた。そのカタログ,今でも持っている。

 弁当箱と呼ばれてた「535」も惹かれる形だった。いかにも道具って感じの無骨なデザインで。堅牢さをデザインで表現すればこうなります,って感じで。Think Padってデザイン的には,あの頃がピークだったかなぁ。それとも,今,現物を見たら古くさいと感じるのか。
 XやTシリーズはそのデザインをとどめているところが魅力。もちろん,黒一色に赤のトラックポイントもいいし,キーボードの秀逸さは言うまでもないんだけど。

 昔は型落ちしたパソコンなんてタダでも要らないって感じだったんだけど,今はスペックの向上にほとんど関心がなくなっている。
 今回落札したX40は2004年,X61は2007年に発売されたもの。そのあたりで,スペック向上の限界効用がほとんどゼロに近い水準に達したと見ていいんでしょう。
 パソコンの新たな用途(自分にとっての,ってことですけど)が開発されるのでなければ,現在のパソコンは過剰スペック。「過剰」に対してお金を払う気にはなれないでいる。

2013年3月1日金曜日

2013.03.01 JMAM手帳研究会編 『手帳活用パーフェクトBOOK』

書名 手帳活用パーフェクトBOOK
編者 JMAM手帳研究会
発行所 日本能率協会マネジメントセンター
発行年月日 2012.09.30
価格(税別) 1,300円

● 本書でも紹介されているが,手帳を使っている人の9割はスケジュール管理のためと答えているそうだ。

 自慢ではないが,ぼくの場合は,スケジュールを管理するのに手帳なんか要らない。小さめのカレンダーにチョコチョコと書いておけば足りる。さすがに寄る年波のせいで,頭の中だけですまそうとすると忘れてしまうことがありそうだけども,スケジュールを管理するのに手帳を使うのはいくらなんでも大仰に過ぎる。ぼくの場合は,ですけどね。

● でも,手帳はずっと使っている。はるかな昔は,当時は市販されていた新潮社手帳(ごく薄いやつ)とか,集英社の「PLAY BOY手帳」なんてのを使っていたこともある。けど,その後はずっと能率手帳。
 紙質もいい,目も疲れない,造本もしっかりしていて,安心して1年間使い続けることができる。おそらく,部外者にはうかがい知れないノウハウがぎっしり詰めこまれているに違いない。

● 途中からシステム手帳に替えてみた。といっても,「Bindex」ひと筋。A5サイズを使ったこともあるけども,ここ数年はバイブルサイズを愛用。リフィルはNO.011。要するに,中身は能率手帳だ。
 最近注目のバーチカルタイプなんてのは,ぼくには無用の長物。何せ,スケジュール管理に手帳を使っているわけじゃないから。

● スケジュール管理をしない? じゃ,手帳なんて要らないじゃん,と突っこまれそうだ。何に使っているかというと,はやりの言葉でいえば,ライフログを残すためってことでしょうか。日記がわりというか,その日のことをチョコチョコと書いておくわけです。
 仕事についても会議の名前程度は書いているけど,それよりも昼や夜に食べたもの,読んだ本のタイトル,CDで聴いた音楽の曲名,そういうものを記録している。それについての感想などは書かない。あくまで,外面的な事実だけを記録しておく。
 貼ることもよくする。食べたお菓子の包み紙を貼る。その日見たテレビ番組を新聞のテレビ欄から切り抜いて貼る。映画の半券を貼る。貼るのは好きだな。
 コンサートの半券は貼るには大きすぎるので,パンチで穴をあけて綴じこんでいる。システム手帳にこだわっているほとんど唯一の理由がこれで,コンサートの半券を残さないのなら,システム手帳などかさばるだけの邪魔ものに過ぎなくなる。

● 仕事関係は黒,プライベートは緑,読んだ本のタイトルは赤で書く。ページが黒っぽいとイヤな気分になる。仕事,嫌いだもん。緑が多いのが嬉しい。
 こうしておくと,記憶喚起力のある手帳ができあがる。数年前の手帳を取りだしてページをめくると,そのときの自分にすっと戻れる。
 当然,過去の手帳は捨てない。百円ショップで売っている保存用のバインダーに綴じて本棚(カラーボックスだけど)に並べておく。

● のだが。では過去の手帳を手に取ることがあるのかというと,これが笑っちゃうほどないわけですよ。だったら保存する必要ないでしょ。われながらそう思う。
 結局,何なんでしょうね。手帳に書いておくと安心する,その安心感を得るために手帳を使っているってことになりますか。馬鹿っちゃ馬鹿だよなぁ。

● というわけだ。ぼくの手帳の使い方はほぼ固定しているので,いまさら他人様のノウハウを知りたいとはあんまり思わないんですよ。
 でも,本書のような手帳本を読むのは大好きだ。手帳というモノがモノとして好きなんでしょうね。

● デジタルに対するアナログ手帳の優位性を強調するのは,本書の性格上,当然のこと。ただ,それを割り引いても,手帳の代わりをスマホにさせるというのは,ぼく的にはあり得ない。
 デジタルではコンサートチケットの半券を挟んでおくことはできないからね。スキャンすればいいじゃないかと言われるか。そこまでやれるか。

● こういうガイドブックには,でも,大きなお世話というか,それができりゃ苦労しないよっていうか,そんなことしないだろ普通っていうか,要は些末なことがらも書かれている。わかりきったことも書かれている。総花的ですよね。
 ゆえに,本書は読み流すべきものだと思う。雑誌のようにパラパラとページを繰って,目に入ってきたところだけを摘まみ読みすればいい。

2013年2月1日金曜日

2013.02.01 宇田川一美 『ちょいワザ文具術』

著者 宇田川一美
書名 ちょいワザ文具術
発行所 ポプラ社
発行年月日 2012.10.23
価格(税別) 1,000円

● 「毎日のシゴトがはかどるときめき★アイデア」が副題。百円ショップにある文具や台所用品を使った整理術の紹介,といった感じですかね。

● これはいいなと思ったのは,「手作りページストッパー」(p46)。リボンの両端に目玉クリップを結んで,開いた本のページをクリップで挟むという単純なもの。
 問題はふたつ。ページストッパーなんてそんなに使うものじゃないから,使わないときは机のひきだしにでも放り込んでおくことになるんだけど,けっこう邪魔だろな,これ。もうひとつは,やはり使わないときの姿がちょっと見苦しいだろうってことかなぁ。

● というわけで,実用書としてじゃなくて,ものの10分間で目を通せるから,気分転換を兼ねて発想の妙(あるいは,発想だおれの妙)を楽しめばよいと思う。


(追記 2013.02.10)

 ページストッパー,実際に試してみたんだけど,どうもうまくいかなかった。普通に事務用の丸文鎮(?)を2個買って,両方のページを押さえた方がいいみたい。