● 丸善丸の内本店の4階の文具売場に行くと,最初に目に入るのが丸善限定の「若檸檬」という明るい緑色の万年筆。黄色く熟する前の若い檸檬。
製作はセーラーが担当。発売は今年の9月7日。取扱いは本店のみ。
● ちなみに,この万年筆を紹介しているサイトでは,“限定数 150本” とあるんだけど,1,500本の間違いだよね。いくら何でも150本しか作らないってことはないよね。
発売後,1ヶ月しか経っていないのに,EFとBは完売らしいから,ひょっとすると150本?
● 丸善では “若” のつかない檸檬万年筆も作っている。軸がレモンイエローのやつ。丸善の創業130周年に当たる1999年に初めて出して,以後10年おきに出している。現在までに3回。
1,000本とか1,400本とかの限定生産だったらしいのだが,いずれも完売。念のために,ヤフオクやメルカリをチェックしてみたのだが,檸檬万年筆の出物は現時点ではない。
● が,こういうのはある。雑誌「サライ」の今年の6月号の付録。その名も万年筆「ミニ檸檬」だ。丸善の檸檬万年筆を80%程度に縮小して再現したらしい。もちろん,軸やキャップは樹脂だし,ペン先も鉄ペンになっている。
この雑誌は6月号だから発売は5月だったろう。が,その雑誌も丸善本店には残っている。
● 「サライ」という雑誌は万年筆を付録に付けるのが好きなようで,北斎ブルー太軸万年筆とか,雪舟ブラック太軸万年筆とか若冲レッド太軸万年筆とかアクアスキュータム万年筆とか,過去に何度も万年筆を付録にしている。
「サライ」ではないけれど,たまたま買った雑誌に万年筆が付録に付いてくるのがあった。そういうときにどうするか。もらってくれる人がいればもらってもらう。いなければ捨てる。
雑誌の付録を使うほど貧乏しちゃいねーや,というわけね。そりゃそうでしょ。だって雑誌の付録ですよ。300円の Preppy は使っても,雑誌の付録は使いませんよ。
● ところが,この檸檬万年筆,何だか気になりだしちゃってね。黄色に惹かれちゃう。若檸檬の緑もいいんだけど。
丸善が出したのは3万円とか4万円とかする。つまり,ぼくが使うものじゃない。
経済的にはどうにかこうにか買えなくはないけれども,そんな立派なものを使うほど,大層なことを書いてるわけじゃない。ぼくが書いているのは,所詮は落書きだ。
そもそも,中古であってもメルカリにもヤフオクにも出ていないんだから,入手は難しい。
● では,雑誌の付録はどうか。節を曲げて雑誌の付録を使ってみるか。よし,使ってみよう,そうしよう。
というわけで,雑誌の本体は要らないので,ヤフオクで付録だけ600円(送料込み)で出ていたのをゲット。届くのは数日あとになる。
インクは欧州共通規格。雑誌の付録はだいたいそうじゃないかね。ダイソー万年筆もそうだよね(昔はプラチナ製の万年筆もあったけど)。そういうものを専門に扱っているメーカーが中国かどこかにあるんですかねぇ。
字幅はMであるようだ。これも雑誌の付録とダイソー万年筆のお約束になっているんでしょうかね。
欧州共通規格ならコンバータは使えないのか。欧州共通規格のコンバータはもちろんある。が,ミニ檸檬の短い軸には収まらないらしい。
● では,短いコンバータはないのか。ある。Kaweco がショートタイプのコンバータを市場に出している。Kaweco は欧州共通規格を採用しているメーカーだ。
なら,Kaweco のショートタイプのコンバータをミニ檸檬で使えるはずではないか。それが使えないんだよね。このあたりが,要するに欧州共通規格は規格であって規格ではないという,良くいえば規格の柔軟性のなせるところなんだよね。
● オートのカートリッジだって本当に使えるかどうかは,試してみないとわからない。たぶん大丈夫だろうと思うものの,大丈夫じゃないかもしれない。
もし使えなかったらどうするか。そのときは,無印の丸軸アルミ万年筆を買ってしまおうと思う。あれはオートのOEMだろうから,間違いなく使えるはずだから。
(追記 2022.10.25)
しかし,これほど頼りなく見える万年筆でもレッキとした万年筆だ。万年筆なんてこの程度でもいいのだ。
いや,高価な万年筆があってもいいし,それらを使う人がいてももちろんいいのだけども,実用性を満たすだけならすこぶる安価に製造できるんだよってことね。
● 万年筆を特別な筆記具と見做すことはないんですよね。これまた見做す人がいてもいいんだけど,万年筆も大量生産が可能な工業製品なのでね。人の目や手を要する工程はほぼなくなったんだろうと思ってるんですけどね。
だからこそ,今の万年筆は問題なく使えるようになったんじゃないかと。人の手が加わっているとか,職人芸とか,そういうものの価値をあまり重く見ない方がいいと思ってますけどね。
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