● 東京駅に来てみた。格別,東京ステーションギャラリーで「“コレクター福富太郎の眼” 展」をやっているので,見に来てみたのだが,事前にローソンでチケットを買っておけということになっていた。
空きがあれば当日券も出るらしかったが,出直すことにした。
● で,時間が空いてしまったので,それを丸善の丸の内本店で埋めることにした。こちらが勝手に埋めることにしたのだが,丸善にしてみれば埋めてもらわなくてもいいよ,おまえは来るなよ,と言いたいかもしれないな。
というのも,まっすぐ文具売場(4階)に向かうわけだけども,欲しいものはないのでね。当然,何も買うつもりはない。そういう構えは店員にも通じてしまうものだろう。
● トラベラーズノートをあらためて眺めてみた。ユニーク度は数あるノートの中でもナンバーワン。“旅するように日々を過ごすために” というコンセプトも秀逸で,訴求度が高い。
ユニークな分,広がるのは難しいかもしれないけれども,刺さる人には深く刺さるだろう。
ユーザーにとっては中目黒のトラベラーズファクトリーは聖地だろう。その聖地に足を踏み込む勇気はさすがにない。ユーザーでもない者が立ち入ってはいけないと自制している。
● 本体の革カバーの他に,リフィル(こちらが本体か),保存用バインダー,ペン,ペンホルダー,ページクリップなど,ありとあらゆる付属品が純正で出ている。
しっかり刺さったユーザーを完全に囲い込んで,しっかり吸いあげるぞという態で,まったく抜かりはない。そのいずれもがいいお値段だ。値段に見合った品質ではあるのだろうが。
● 特に惹かれるのは,万年筆用のカートリッジが使える,ブラス ローラーボールペンだ。ブラス,つまり真鍮ね。黄銅のこと。銅と亜鉛の合金で,亜鉛が20%以上のもの。
無垢の真鍮は黄金色で持ち重りもするでしょ。それが経年変化で味わいを変えていく。
● トラベラーズノートの最大のライバルは,同じデザインフィルのシステム手帳プロッターだと思うのだが,そのプロッターが出しているボールペンを昨年8月に買った。
やはり真鍮製のカッコいいやつだ。まだ一度も使っていないが。
● それとブラスペンシルも魅力的な製品だ。2,000円。ファーバーカステルのパーフェクトペンシル(の伯爵コレクション)などよりずっと品がいいような気がする。
まぁ,ぼくは買わないけどね。カッコいいなぁとは思うよね。
● そうした惹かれる製品はあるんだけれども,かつ,トラベラーズノートの自由な感じというのには憧れもするんだけれども,そうした製品群に囲い込まれるのがちょっとな,と。
“旅するように日々を過ごす” というキャッチコピーには両手をあげて賛成するけれども,そのコンセプトを実行するのに,トラベラーズノートは必須ではない。
● スマホでいうとiPhoneなんだよね。iPhoneは安価版の5Cを使ってみたことがある。アップルに囲われている感がどうにも鬱陶しくて,我慢が効いたのは2ヶ月だった。閉塞感を感じるのだ。
たしかに囲われた世界の中では快適だし,安心だし,アップルの言うとおりにしていればいいんだけども,その外に出ようとすると,とたんにベルリンの壁が出現する。Androidの方が世界が広いように感じる。危険(?)もあるけれども,自由度が高いというか。
アナログのトラベラーズノートにはそこまでの壁はあるはずもない。が,水も漏らさぬ囲い込みの製品群に取り込まれるのは,少ぉし鬱陶しさを感じる。
(追記 2021.06.25)
トラベラーズノートに見事な水彩画。普通はスマホで写真を撮ってすませてしまうところだけど,こうやって絵を描くってのは人柄に奥行きと余裕を感じさせる。
トラベラーズノートに絵を描くのは,文字どおり絵になる。絵を描くという手間をかけると,絵になるものができる。
飯島と落款がある。㈱デザインフィルのトラベラーズ事業部長の飯島淳彦さんその人でしょうね。
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