著者 上田健次
発行所 小学館文庫
発行年月日 2024.04.10
価格(税別) 710円
“フィールドノート” は測量野帳のこと。1巻目の “メモパッド” は RHODIA だったが,設定も内容も RHODIA を測量野帳に置き換えたような話。
● 各巻とも読切り短編を5つ収めている。どこから読んでもかまわないようになっているが,前に登場した人物が再びチョイ役で出てくることもあるので,できれば1巻目から順番に読んでいくのがいいようだ。
● 「若い人たちには思いついたことを試す権利がある。それはとりもなおさず失敗をする権利に他ならない。(中略)職人の仕事は現場で失敗することによって進化する。試行錯誤をしなくなったら,それはただの作業であり仕事ではない」(p192)とか,「外見の味わいはそのままに,内部の構造物は最新技術を取り入れたものに交換するのは最近の流行りだったりする。「昔は良かった」というような人でも,そのころの不便さまで歓迎する訳ではないのだから当たり前と言えば当たり前だ」(p267)といった,気の利いた世間話で読者を引きつける工夫も,当然,施されている。
● 各話とも,ほのぼのとした,努力と善意が報われる話になっているから,読み終えたあとは意外に記憶に残らない。それまで読んだ話に溶け込んでしまう。
それでいいのだ。というか,そこが上手いところだ。ライトノベルの王道なのだと思う。

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