2026年7月7日火曜日

2026.07.06 ソビエト連邦(USSR)の鉛筆

● ソビエト連邦(USSR)の鉛筆セット。メルカリで1,500円で購入。
 セットというのは硬度が2Tから2Mまで揃っているからで,「製図用鉛筆のセットです」とは出品者様のご説明。現在のウクライナで製造された由。
 軸にはシベリアの白樺を使ってたりするんだろうか。白樺は鉛筆の木軸には向かないか。

● キリル文字の “ЧЕРТЕЖНИК” が製品名なのだろうが,ЧЕРТЕЖНИК は製図技師,ドラフトマンのこと。ソ連亡き後もブランドとして残っているらしい。
 非ロシア語圏では,TがH,MがBになる。2Tが最も硬く,2Mが最も柔らかい。

● 1920年代にアメリカの実業家 Armand Hammer が,ウクライナのオデッサに巨大な鉛筆工場を設立し,ソ連全土鉛筆を供給したとは,AI先生の教示による(その後,Hammer の流れを汲む サコ・ヴァンゼッティ:Сакко и Ванцетти,クラスィン記念工場:Фабрика им. Красина,トムスク鉛筆工場:Томская карандашная фабрика,スラヴャンスク鉛筆工場:Славянский карандашный комбинат の4つに整えられていく)。
 今のロシアも一所集中が好きで,ウクライナに何度痛い目に遭わされても反省する気配がないけどねぇ。

● 軸に印字されている92は1992年製であることを意味するらしいのだが,ソ連邦は1991年12月25日のゴルバチョフ大統領の辞任,翌26日のソ連最高会議による「ソ連消滅宣言」をもって崩壊したわけだから,92年製はソ連崩壊の直前か直後に,ウクライナのドネツク州にあったスラヴャンスク鉛筆工場で生産されたものということになる。

● 以上,AI先生に教えてもらったことなのだが,AI先生は息をするように自然に嘘をつくことがしばしばあるから,本当かどうかはわからない。

● HBにあたるTMを使ってみたんですけどね。まず,軸が細い。FABER-CASTELL 9000番より細い。手のデカいやつほど細い鉛筆を使うのか。
 日本で市販されてる鉛筆キャップはどれも使えないと思う。補助軸もクツワやポイントではホールドできない。伊東屋とトーキンのクリップ付きで何とかなった。

● 肝心の書き味だが,やっぱり競争のない国はダメだねぇ,とまでは思わなかった。と言いたいのだが,残念ながらこれはダメだ。
 1992年でこれだとすると,戦後ずっとソ連の時間は止まっていたことになる。日本でこの書き味を求めようとすれば,戦前か戦後のドサクサ期に製造されたものの中にあるだろう。
 ソ連の時間は止まっていたと感じるのは,ぼくらが変化の激しい国の変化の激しい時代を生きてきたからで,ぼくらの方が世界の例外かもしれないと思ってもみるのだけれども,そんなことを思ってみたところで認識に1㎜の変化も与えるものではない。

● BにあたるMならどうか。ダメだ。話にならない。
 芯が芯として立てるギリギリの品質。けっこう偏芯もきつかったりする。1992年にこんなものを市場に出すメーカーは,日本やドイツにはなかったろう。

● 今のロシアの鉛筆がどんな状況なのかは知らないが,ソ連時代には1億4千万人のロシア人(ウクライナも入れると1億8千万)はずっとこんな鉛筆を使っていたのか。これが普通だと思って使っていたのか。
 鉛筆の品質とその国の成果物にはあまり相関関係はないだろうけれども,こんな鉛筆を使って図面を引いたり,計算をしていたソ連邦の人々に,心からなる尊崇の念を表明したい。

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