日本製がドイツに追いついたのは1966年の Hi-uni によってか,1958年の uni によってか,1952年の HOMO No.4612 によってか,そのあたりは知らないけれども,少なくとも Hi-uni の後の60年間は,日本の鉛筆界に画期となる製品は出ていない。現在でも Hi-uni が国産鉛筆の最高峰と言っていいだろう。
● ということは,1966年には追いついたのではなくて,世界を抜き去ったのだ。この60年間,鉛筆界に画期がなかったのは日本だけではなくて,世界がそうだったのだ。
であるのなら,ぼくらは黙って Hi-uni を使っていればよろしいのだ。せっかく日本に生まれたのだから,そうするのが正しいのだ。
● が,鉛筆バカはそうはいかない。いろんな鉛筆を使ってみたいのだ。ちょっと使ってみれば気がすむのだけど。
というわけで,今回はアメリカの黄色い消しゴム付きの鉛筆を使ってみることにする。黄色のゴム付き鉛筆というのは,まさにアメリカ鉛筆を象徴するものだ。アメリカンな鉛筆といえば黄色の鉛筆,しかもゴム付き。
● それが事実に基づいているのか,こっちが勝手に作ったイメージなのか。おそらく前者だと思うのだが,なにゆえ黄色のゴム付きなのか。キャロライン・ウィーヴァー(片桐晶訳)『ザ・ペンシル・パーフェクト』にも詳しい記述はなかったと記憶している。
しかし,それが各国に影響を与えていることは間違いない。日本でもトンボ2558や三菱9852を始め,今は消え去ったメーカーの多くが黄色のゴム付き鉛筆を手がけている。中華の世界でも結構な種類が出ている。
ひとつは MUSGRVE の 909 CERES の六角軸。ANGERS の丸の内店で買ったもの。
● この鉛筆の特徴は軸が太いこと。国内鉛筆用のキャップは入らない。BLACKWING の “ポイントガード” もダメ。BLACKWING は日本のメーカーが製造しているもの
で,軸の太さも国産鉛筆と同じだから。
鉛筆削りは問題なく使える。ハンドル式も携帯用の手回し式も。補助軸はクツワのノック式とポイント補助軸は使えたが,クツワの締め込み式と STAEDTLER の補助軸には入らなかった。
日本でも昔の鉛筆はそうだ。塗装が薄いから角のエッジが立っている。ぼくはその感じが嫌いではないのだが,アメリカ鉛筆を使えば現行品でもそれを味わうことができる。
軸木の表面がめくれてしまってる箇所がある。消しゴムを取り付けるときにできてしまったものだろう。ご愛嬌と言うべきでありましょう。
● 硬度は表記されていない。いや,「2」というのがアメリカ規格の表示であるらしく,“日本のJIS規格におけるHBに相当” するようなのだが,体感だとBだ。
充分に濃く,大変滑らかだ。北星の9606に近いというか。いや,三菱の Hi-uni に近いか。芯は日本産のものを使っているのかと思うほどだ。ただし,価格は120円くらいだったかな。
メルカリでポチったものだが,出品者様によれば '90年代のUSA製とのこと。
● MUSGRVE の 909 CERES とは真逆で角が丸い。軸も細め。ドイツ製とほぼ同じ。
クツワノック式補助軸ではホールドできない。それ以外はOK。
硬度は「HB」「2」。しかし,国産鉛筆で言うとHか2Hになる。アメリカ鉛筆の硬度もドイツ基準と同じと考えていいんだろうか。が,ザラつきは感じない。いい芯を使っていると思う。
● 鉛筆に付いている消しゴムは,3つとも使いものにならない。Ticonderoga だけは使って使えなくはないが,使わない方がよいと思う。
製造後だいぶ経っていてゴムが硬化してしまっているから,というのではない。最初から使いものにならない。
消しゴムは実用のために付けたのではなくて,オブジェのようなものなのだろう。そう割り切って,アメリカンとつきあうべし。
● これを使っていたヤンキー少年も今はジジイかオヤジになっていることだろう(そんなに古くはないのか)。
いやさ,アメリカのご同輩,時間の経過は容赦のないものだねぇ。
● アメリカンな鉛筆を使っても,アメリカの風を感じるなんてことはない。だいたい,ぼくはアメリカ本土に行ったことがないので,アメリカの風なんて知らない。
1本の鉛筆という物体以上にはならない。その物体がアメリカで製造されたものというだけのことだ。
そこからいかに想像を飛ばせるか。その人の知識や体験によるのだろうが(特に知識を侮ってはいけないと思う),ぼくがアメリカについて知るところはあまりに少ない。





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