● ぼくが始めて買ったパソコンは富士通のFM-TOWNSⅡfresh だった。『Oh! FM TOWNS』というTOWNS用の雑誌をソフトバンクが発行していた。あの頃は富士通も気を吐いていたのだ。
次に買ったのがNECの98NOTE Aileの初代機,PC-9821Laだった。その頃は,パソコンは30万円を超えるものだった。
すでにNECに往年の勢いはなかった。98はMS-DOSの終焉とともに,その役目を終えたのだ。
● その98NOTE Aileにインストールして使いだしたのがSidekick95だった。このソフトを買うために,秋葉原のラオックスに行った。なぜこのソフトを知ったのかは憶えていないが,よほど使ってみたかったのだろう。
どういうソフトなのかといえば,当時の言葉でPIM(Personal Information Manager)と呼ばれるもの。スケジューラーのほかに,カード型データベースと“メモ帳”が一体になったものだった。
● パソコンに自分なりのログを残すことになるキッカケを作ってくれたのが,このSidekick95だった。
MSがOutlookを出して,Sidekickはまもなく消えてしまった。今ではOutlookを使う人も減っているだろう。スケジュールはGoogleカレンダー,メールはGmail。ほとんどの人はそうしているだろう。
● ぼくは実質的にSidekick95から出発している。幸運なことだったと思っている。使いやすいソフトだった。
Windowsの付録の“メモ帳”はテキストエディタだが,Sidekick95の“メモ帳”はカード型データベースソフトでは扱いづらい不定形のテキストをベータベース化するものだと思っていた。
で,カード型データベースソフトとこの“メモ帳”があれば(つまり,Sidekick95があれば),自分から出るデータのほとんどすべてを整理できると思っていた。
● カード型データベースはデータをCSVでエキスポートできたから(これができないんじゃどうしようもないわけだが),CSV経由でExcelに移行できたし,“メモ帳”はテキストファイルで吐きだして,現在まですべて残っている。
遠い昔の話だ。往時茫々の感がある。
● 自動車は身体能力を拡張してくれる機械で,パソコンは頭脳を拡張するものだと言われていた。パソコンは“第2頭脳”だ,みたいな。
それで言うなら,今のパソコンは当時の数百倍(数千倍か)の性能を備えるものになっているし,スマートフォンなどという夢のようなデバイスまでできている。
インターネットも身近になった。クラウドやらSNSやらブログやら,ネットがなくては夜も日も明けない時代になった。
● これだけ頭脳を拡張してくれるデバイスや環境に囲まれながら,自分がやっていることはSidekick95の頃とほとんど変わらない。
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