● 鉛筆は軸の細さが最大の弱点。鉛筆を裸で使って,筆記具としての鉛筆を好きになるなんてあり得ん,と思うほどだ。
2Bや3Bなどの柔らかい鉛筆を使えば筆圧をかけずとも書ける,というのは理屈としてはそのとおりだけれども,あれだけ細いと自ずと筆圧がかかってしまう。線を引いたりスケッチしたりならともかく,漢字を含む日本語を書くとどうしてもそうなる。鉛筆を持った腕の肘から先が疲れてしまう。
ゆえに,鉛筆を使って長時間の作業をするのはけっこうな重労働になる。
● これだけ細くては,手の小さい小学生でも鉛筆をもて余すだろう。使わないですむようになれば使わなくなるのは当たり前だ。
世の中には,鉛筆より使い勝手のいい筆記具が海の水ほどもあるのだから。
● 幼児や児童に対して鉛筆の正しい持ち方を教えなければいけないという声を聞くことがあるが,正しい持ち方を云々する前に,この細さを何とかしろと言いたい。
子供が勉強嫌いになる理由のひとつは,使いづらい鉛筆を使わせているからではないかと思ったりもする。
● ウィキペディアによれば「1851年,後継者ローター・フォン・ファーバーが鉛筆の長さ・太さ・硬度の基準を作成。(いわゆる六角形デザインの鉛筆)この基準は150年以上経った今でも世界中で使われている」とある。ファーバーカステルが決めた規格が現在に至るもそのまま活きているというわけだろう。
日本ではJIS規格になっているわけだが,規格が統一されているからと文字どおりに百年一日のごとく,同じものを作り続けてきたわけだ。こんな筆記具は鉛筆だけだろう。
● ボールペンやシャープペンや万年筆は,消費者に受け容れられるよう研究開発を重ねて,多様な製品群が生まれた。軸の太さも様々で,典型的にはパイロットのドクターグリップのような疲れにくい太さを追求したものもある。
しかるに鉛筆だけは著しく多様性に欠ける。つまり,製品としての熟度が低いまま虚しく年月を重ねた。
● しかるに,言うにことかいて,正しい持ち方を指導する必要があるなどと,製品の熟度の低さを消費者に転嫁しようとはもってのほかではないか。そんな筆記具を使わされる小学生が気の毒だ。
それでなくても忙しい今どきの小学生に,鉛筆の正しい持ち方の習得などという課業を強いれば,鉛筆嫌いの度が増すだけだ。それはすなわち,勉強嫌いの子供を量産することでもある。彼らには鉛筆しか与えられていないのだから。
● 持ち方を超越するまともな鉛筆を作るのがメーカーの仕事であるはずだが,既存のメーカーにその動きを窺うことはできない。
くもん が太軸の三角鉛筆を出しているが,こうした新しい試みは くもん のようなところからしか出て来ない。既存の鉛筆メーカーは何をしているのか。
● 実際のところ,(少なくとも国内では)鉛筆の消費量が大きく減少しているので,三菱もトンボも鉛筆の生産など止めてしまいたいというのが本音かもしれない。
が,JIS規格を言い訳にしないで,もう少し何とかできないものか。当のファーバーカステルはジャンボ鉛筆も出荷しているではないか(あまり売れてはいなさそうだけど)。
で,右の写真のようになる。右側のぷにゅグリップ(クツワ)よりも左側の硬い方(ソニックのキュポットグリップ)が,使いやすい。
グリップを付けると筆箱に入れたときの収まりが悪くなるのが難。が,ここは筆記時の快適さを重視する一択で,収まりの悪さには目をつむるしかないなぁ。
● しかし,以上は大人の自由度があってこそ対応できるものだ。子供たちはそうも行かないだろう。
鉛筆の規格を変えられないと言うなら,このあたりのブリッジを考えるのもメーカーの仕事のうちだと思うのだが。
(追記)
● 鉛筆の太さがマチマチになると,たとえば鉛筆削りはどうするのかといった問題も出る。
が,複数の太さに対応できるハンドル式の鉛筆削りの開発がそんなに難しいことだろうか。
● あるいは,今の形を変えるなと言う消費者が大半だったりするんだろうか。
たしかに,高齢者には多いかもしれないけどねぇ。
● 鉛筆の現状が何に由来するのかがどうもわからんのだよねぇ。売行きを考えると,どうにかする必要もないじゃん,今のままでいいじゃん,ってことになっているのかね。
● 三角鉛筆じたいは昔からあった。ヨット鉛筆のものを,ぼくも持っている。
ただし,今のくもんや学研のものより,少し細めですかね。
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