● 右は3月10日の下野新聞。上野文具の経営者が代替わりしたらしい。
● この記事で若社長が語っているように,文具人気はしばらく続いているようだ。この時期,書店に行くと文具ムックや雑誌の文具特集がけっこう目に付く。日本文具大賞なんてのもあるらしい。
盛りあがっているのか盛りあげようと一生懸命なのかはわからないけれど,文具はブームがずっと持続している(ような気がする)。
● ひとつには,文具なら少ないお金で高級品が買えるということもあるだろうし,文具はそれを使って何かを生みだすためのものだからだろう。文具の先にあるものが肥沃なのだと思う。
さらに言えば,“書く”とか“描く”はそもそもが楽しいものだからだ。授業のノートを録るなど学校での勉強につながるイメージが強いし,社会人になってからも会議だとか打合せのメモを取るという,いうなら義務につながるものと捉えがちだけれども,そのくびきから離れて,自由にノートやペンを使うキッカケに恵まれれば,“書く”や“描く”は楽しいものだ。
● ぼくもそうしたムック類をけっこう読んできた。が,もういいかなと思っている。買って読むことはないと思う。
自分にとって文具は実用品であって,趣味ではないようなのだな。ノートの使用量は平均よりだだいぶ多いと思うんだけど,実用品としか捉えていないから,ダイスキンやCampusで充分だ。そこから先に興味や関心が広がらない。
● で,文具店だ。生徒や学生が顧客のメインなのは昔も今も変わらないのかもしれないが,そうだとすると,絶対数が大きく落ちこんでいるんだから,文具店がやっていけるわけがない。現在も残っている文具店は大人を捕まえることができているはずだ。
が,来店しているお客さんを見ていると,40代どまりという印象を受ける。文具を買う,文具に関心がある,というのは比較的若い層に多いらしい。
50代,60代を見かけるのは比較的稀だ。伊東屋でもそうだし,上野のANGERSでもそうだし,ましてLoFtではいっそうそうだ。
● となると,文具がブームだと言ってみても,文具店は安閑とはしていられない。そんなことは言われなくてもわかっているはずだが。
Amazonとも競合する。書店の場合は,ズラッと現物が並んでいるリアル書店が根こそぎ,Amazonに蹴散らされることは考えられない。書店は書店であるというだけで,知やアミューズメントの集積地であるからだ。書店には世界のすべてがあるといっても過言ではない。
が,文具店はどうか。とてもそうはいえない。ということは,価格でも品揃えでも,Amazonは超えることのできない巨大な壁になる。
● 加えて,デザインショップというのか,セレクトショップというのか,店側が並べる商品と並べ方によって,自らの世界観を表現するというか,ライフスタイルの提案をディスプレイするというのも,そろそろ飽きられているのではないかと思う。
なぜなら,ぼく自身がそういう店に飽きてきているからだ。自分がそうなんだから,他の人もそうなのではないかと思うのだ。
● というわけで,文具店が生き残っていくのは大変だと思う。多くは定価販売なのだから,現時点でも最強の武器は品揃えということになっているのだろう。いよいよ,Amazonが立ちはだかる。
もうひとつ,価格面では百円ショップが脅威だ。百円ショップで売られている文具も,昔は知らず今は,実用性は満たすからだ。
特に,クリエイティブ系の人たちが多く使っていると思われる情報カードやメモパッドは,文具店で売られているメーカー品と比べても,ほとんど遜色ないところまで来ているように思える。そういうものを多用する人は,百均製品に流れて当然だ。
● 上野文具はどうするつもりなんだろう。上の記事の中で,いろいろやってみたが勝率は3割だったとあるけれども,その“いろいろ”を具体的に聞いてみたいものだ。
3割もあたるというのは,相当なものだと思うからだ。
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