● 菅未里『仕事を効率化するビジネス文具』(ポプラ社)を読んだ。著者は「いったん1冊のノートにまとめた情報を,その後専用のノートに書き直す,という方法をとってい」るらしい。
ぼくはといえば,奥野宣之『情報は1冊のノートにまとめさない』の信者だ。なぜかといえば,それが一番楽だからだ。
● しかし,問題はある。時系列で何でも書いていくわけだから,あとから特定のメモを検索するのが難しくなる。そこで奥野さんはパソコンを援用せよという。テキストファイルで索引を作っておくのだ。
たしかに,あとから探すことを考えると,この2つしか対応方法はないだろう。最終的にノートを分けるか,索引だけはデジタル化するか。
● パソコンで索引を作る利点は,否応なく読み返すことになることだ。専用のノートに書き写すのも同じ。
しかし,これをやらなければならないとすると,ぼくのようなズボラな人間は,早晩挫折することになるだろう。
● ぼくはどうしているかというと,1冊のノートに書いて,書きっぱなしにする。索引も目次も作らない。読み返すことよりも,書くことじたいにカタルシス効果があると思っているからで,書いたあとの活用法など考えたこともない。
で,思うのは,書くと忘れないというのはウソだということだ。書いてしまうとじつによく忘れる(ことができる)。それがつまりカタルシス効果でもあるわけだ。
● ただし,そうは言っても,デジタルの助けは借りている。索引を作るのではなくて,公開できるものは公開してしまうというやり方だ。使うのはだからブログとTwitterだ。
ノートに書いたものをそのまま,あるいは多少の肉付けをして,ブログに仕立てて公開する。あるいは,Twitterでツイートしておく。そうしたものは,ノートに斜線を引いて,わかるようにしておく。
● こうしておけば,Googleの検索エンジンで全文検索ができる。TwitterはTwilogを併用するのが必須で,それも自分の全ツイートを検索するのに便利だからだ。
そもそもが,ブログやSNSというのはそういうふうに使うものだろう。ネット上で知らない誰かとコミュニケーションをするために使うのではなく(そんなことをして楽しいかね),メモ代わりに使う。それがSNSの使い方の王道であろうと思う。
● もちろん,ノートに書いたものを全部ネットに上げるわけにはいかない。上げられないものの方がずっと多い。それをどうするかという問題は残る。
ブログを非公開にした上で,全部ブログに上げてしまうという方法はある。が,それでもネットに上げてしまうとなると不安が残る。
● 第一,全部入力し直すのは億劫だ。そこまでやるのなら,手書きをやめたらどうかとなってしまう。たとえばポメラを持ち歩いて,最初からすべてポメラに入力する方が現実的だと誰でも思う。
要するに,検索問題を完全に解決しようとすると,完全デジタル化以外に方法はない。
● かといって,入力をすべてデジタル化するなど,できる相談ではない。紙とペンの手軽さをデジタル機器が代替できるかというと疑問だ。手書き入力ができるガジェットが増えていることも知っているが,制約が多すぎる。
電気がなければいけない。使える筆記具が限られる。パラパラとめくれない。特に“めくれない”というところで,ぼくは使うのを躊躇する。
● そのあたりの狭間でさまようことになるわけだが,基本は,可能ならば時々読み返して,そこから先は(アテにならないのを承知のうえで)脳内記憶に頼るというのが,最も楽な(効率がいいとも言う)やり方だと思う。
手書きしたものを手書きで書き写すとか,テキストファイルで索引を作るとか,そういうことをしなければならないと思うと,書くのをやめてしまう人が多いのではないか。もちろん,できる人はやった方がいいのだろうが。
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