2024年8月10日土曜日

2024.08.10 MADE IN JAPAN

● THE JAPANESE CLASSIC 70th ANNIV. トンボ8900 の70周年を記念して,トンボが出した鉛筆に印字されている。
 たしかに8900は戦後日本の鉛筆文化(?)を牽引した。自分が使った鉛筆で最も多いのも8900ではないかと思う。

● が,この限定品の紙スリーブには MADE IN VIETNAM とあってね。時代なんだな。
 当初は8900のような廉価品に限ってベトナム工場に移し,高額品は日本国内の工場に残していたが,現在では MONO100 を含めてすべての鉛筆の生産拠点をベトナムに移している。

● それによって品質が落ちたかというと,特段そういうことはない(と思える)。
 が,製品開発は日本でやるのだろう。生産拠点と遠く離れたところで開発ができるものなのか(できると踏んだから移したんだろうけど)。

● この点について敷衍しておくと,MONO100,MONO,MONO-R はいずれもベトナムに移しているのだが,MONO-J だけは国内に残しているっぽい。
 断言できないのは,現物を確認できていないから。MONO-J は MONO-R と8900の間の価格帯の製品で(三菱で言うと9000番に当たるものかと思う),トンボ鉛筆の中でもマイナーな製品のようで,扱っていない文具店が多い。
 ともあれ,国内の新城工場の生産ラインをすべて廃したわけではない(らしい)。稼働している生産ラインを残している。それはそうだろうと思う。

● というか,鉛筆はすでに完成の域にあって,これ以上どないせい言うんや,というところまで来てしまっているんですかね。
 1958年に uni が,1966年に Hi-uni が出て以降は,業界を画するような新製品は出ていない。もちろん,細かな改良は加えられているのだろうけれども,1966年に頂点を極めてしまった感が現在まで継続している。

● 原材料費などは上昇しているはずだ。円安も効いているだろう(ドル円は140円台まで戻してきたけれども,140円台は充分に円安だ)。
 そのコスト上昇分を製品価格に転嫁できない,メーカーの苦しさを感じとるべきなのかもしれない。鉛筆という製品の置かれた状況は,なかなかに辛いものがあるように見える。

● コストを製品価格に転嫁できない以上,コストの削減に努めるしかない。トンボが選んだのは,生産拠点を全面的にベトナムに移すことだった。
 MADE IN JAPAN を捨てることのデメリットは言われなくてもわかっているが,背に腹は代えられないということか。

● そういう中にあって,BLACKWING は特異だと思う。芯の品質だけを云々するなら,Hi-uni,MONO100,北星クラフツマンは,BLACKWING に並ぶか,あるいはそれを凌ぐと思えるのだが,BLACKWING がまとっているオーラがない。
 デザイン,塗装,あるいは “伝説” が BLACKWING の BLACKWING たる所以だと考える他はない。BLACKWING は日本製だと言われる。鉛筆本体を製造しているのは日本のメーカーであっても,BLACKWING が BLACKWING になるのは,日本の下請けメーカーが無垢の鉛筆をアメリカに送ってからだ


(追記 2024.08.16)

● MONO-J が国産なのかどうか妙に気になったもので,確かめてみようと宇都宮市内の文具店を4つ回ってみた。けど,田舎の文具店は MONO-J を置いていないところが多い。上野文具本店にもなかった。
 仕方がないので,Amazon で注文。昨夜,ポチったら今日届いた。どうしたらそんなことかできるのか知らないが,いつもながら凄いな,Amazon。

● で,結論。ダース箱の裏側には MADE IN VIETNAM とあった。MONO-J もベトナムに移していた。
 トンボ鉛筆はすべてベトナムで生産されていることになる。

● ということは,新城の生産ラインは止めたということか。製品開発を国内でやるつもりなら,そんなことをするはずがない。
 う〜む,何だかよくわからなくなってきた。


(追記 2024.08.20)

● MONO-J を扱ってるところは,ほんと少ない。アトレ川崎の東急ハンズにもなし。ラゾーナ川崎の丸善にもなし。
 伊東屋本店や世界堂に行けばあるんだろうけれども,都市部でもないのが普通のようだ。

● ところが。福田屋に入っている上野文具にありましたよ。本店にはなかったのに,福田屋店にはあった。
 今さらあってもしょうがないんだけどね。国産かベトナム産かを確かめたかっただけだから。

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