2025年6月14日土曜日

2025.06.14 BLACKWING 界隈の騒動(?)について

● BLACKWING の代理店契約が今月で終了することになり,界隈ではざわついてるようだ。公式オンラインストアが閉店するわけだから,今後はどこで買えばいいのか,と。
 リアル店舗での販売をやめ,エス・アイザックス商会によるオンライン販売に集約した時点で,こうなることを予想していた人は多いだろう。

● ぼく一個の感想を申し述べれば,どこが代理店になっても長続きはしないんじゃないか。
 CCPC は鉛筆を必要としている人たちに高品質の製品を提供して,彼らに貢献するという発想(企業の社会的責任)はあまりないように感じる。儲け第一主義。儲けの一部を目立つ形で寄付すればいいくらいに考えてるんじゃないかね。代理店に対しても金銭に絡む交渉には厳しい態度で臨んでいそうだ。
 もちろん,日本企業だって儲けることが第一義のはずだ。あざとくそれに走っている会社もあるが,そういうところはたいていブラックと呼ばれる。

● 製品に関しては,基本,日本の下請けメーカーに丸投げ。あまり興味はなさそうだ。日本メーカーのいくつかの鉛筆を試して,芯質をチェックするくらいのことはしているだろうが。
 というより,監視だな。自社製販と同じ芯を使っているところはないか,自社以上の芯を使ってあるところはないか。
 が,しょせん,鉛筆については半素人の集まりだ。金銭的な要求は煩いだろうが,下請けメーカーも比較的,御しやすいんじゃないかと想像する。呆れながらも適当にあしらっているだろう。

● 金儲け第一主義の権化はモレスキンだと思っているが,自社生産をしないで,生産は海外に委託するというやり方は BLACKWING と共通している。欧米ではそれがあたりまえなのかもしれない。
 モレスキンはそれで成功しているのだから,金儲け第一主義がダメというわけではないのだろう。ともあれ,その結果,経営陣(ユダヤ系が多いだろう)は高収入を得る。生産に携わらないからこその高収入だ。

● トランプ大統領は生産工場をアメリカ国内に回帰させたいのだろうが,無理な注文だ。アメリカ人の平均所得を従業員に支払いながら,利益を上げていける企業など滅多にない。
 アメリカの高賃金が生産を海外に移らせた第一の理由なのだから,それを国内に戻すのであれば,給与引下げとバーターだ。でなければ,長期にわたるドル安。

● 鉛筆に関していうと,販売元はアメリカ企業でも,ほとんどの鉛筆は中華製ではないか。
 ことは鉛筆に限らない。アメリカ製の軽工業製品など,ほとんどないんじゃないなかね。国内回帰といっても,ネバー・リターン・ポイントを越えてしまっていると見る。

● ぼく一個は CCPC やモレスキン社のような企業の製品には関わらないようにしているが(まったく製品を持っていないというわけではない。BLACKWING は試しに1本だけ買ってみた),関わるか関わらないかは,もちろんそれぞれの自由だ。
 しかし,BLACKWING NATURAL の代用品を探してるんだけど,適当なものがない,といった投稿を SNS で見ると,何だかなぁと思ってしまう。

● 理由は2つある。自分はそれほど BLACKWING にこだわりを持っていること,他社製鉛筆とのわずかな違い(そのほとんどは錯覚だと思うのだが)に敏感だということ,をアピールしたいのだろうが,それがどうにもバカっぽく映るのだ。
 こだわりを持つこと,微細な差異に敏感であることが,そうでないよりも高尚だと思っているやに見える。たいていの場合は逆なんだが。簡単にこだわりを持ってしまうのは,下層の証だと心得るくらいでちょうどいいのだ。

● もしひとつ。他社製鉛筆をいくつも試してみたけれども代用品はないと言うのだが,たぶんそうではない。最初から代用品はないと思い決めているのだ。だから,あっても気づけない。
 本当に代用品はないのか。BLACKWING ってそんなに唯一無二なのか。NATURAL の代用なら北星のクラフツマンHBでよくないか。
 あのない方がましな消しゴムがないうえに,価格は BLACKWING の1/5だぞ。ただし,クラフツマンもなかなか入手が難しくなっているが。

● ウォルトも愛用した鉛筆を絶やさないでほしい,なんて投稿を見ると,なるほど SNS はこういう手合いにも発信手段を与えたのか,SNS はバカ発見器といわれるのはこういうことか,と納得してしまう。
 ウォルト・ディズニーが使った BLACKWING はとっくにこの世にない。彼が MADE IN JAPAN の BLACKWING を使っていたのか。なぜこうもたやすくメーカーに捻られてしまうのか。
 それ以前に,ウォルトが使っていたからといって,それがどうしたというのか。

● こういう投稿をするのは若者たちなのだろう。そうだと思いたい。それなら,自分に照らし合わせても納得できるからだ。
 いい齢をしたオジサンやオバサンがこのレベルだとすると,日本の行く末が心配にならないか。いや,さすがに,ここまでのバカはほんの一部なのだろうけどね。多くの良識派はこんなところには出てこないで,黙々とそれぞれの職責を果たしているんだろうけど。

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