● 福田屋インターパーク店の2階に入っている上野文具で1部もらってきた。文具に関する最新情報を入手するための手段,媒体は,このフリーマガジンで充分。書店にいくつかある文具のムックや雑誌の文具特集号を買う必要はない。ぼく程度の文具ファンであれば,という前提があるわけだが。
逆に,巷にあまたあるフリーペーパー,フリーマガジンの類で,全ページに目を通すのは,このBun2しかない。
● 「シンカが止まらない」文具の代表は筆記具。とりわけ,ボールペン。
今回取りあげられているのも,ほとんどがボールペンだ。まず,三菱鉛筆の「ジェットストリーム エッジ3」。低粘度油性のトップランナー。極細0.28mmの3色モデル。
多色ボールペンは便利なものだが,書くときに芯がブレる。便利さと引換になるんだから仕方がないと思っていたし,今も思っているのだが,芯がブレないで安定している快感をあらためて教えてくれたのがゼブラの「ブレン」ということになる。
で,「エッジ3」は「本体軸に対しリフィルが常に真っすぐペン先に向かって出てくることを可能にした」。「芯が若干斜めに繰り出される」のが「多色ペンの宿命」。それはそうだ。それを解消したという。その仕組みも解説されているのだが,ぼくの理解力ではよくわからない。
しかし,「芯を真っすぐ出す」ことで筆記感や操作感が変わるのであるらしい。ボールペンは身近な精密機械なのだな。
● ゼブラの「シャーボNu」。初代のシャーボが出たのは1977年。ぼくが就職した頃は,そのシャーボが高級筆記具の代表だった。
ボールペンとシャープペンが1本に同居している多機能ペンの場合,「シャープ芯が補充しにくい」のがユーザーには不満なところになるのだそうだ。そこを普通のシャープペンと同じように,「シャープ芯を本体の上から入れられるようにした」のがNuの大きな改善点。
なるほどねぇ。勉強になるねぇ。言われて初めて気がつくことってたくさんあるねぇ。
● サクラクレパスの「ボールサインiD」。こちらはゲルインクのボールペン。黒インクを6種類揃えてきた。「黒であることから逸脱しない」で,「自分自身が使いたいと思える色」を求めた。はぁぁぁ。
「価格以上に高見えする」と好評らしいのだが,“高見え” っていう言葉はこういうふうに使われるのか。いや,これも勉強になりました。
● 次はマスキングテープの話。コクヨの「Bobbin」がまず登場。
ぼく自身がマステを使ったことがないので,そう思ってしまうのかもしれないが,コクヨには一流名門高校が校訓として掲げることの多い(と思われる)質実剛健のイメージを持っている。何せ,ぼくが使っているコクヨ製品は,測量野帳であり,Campusノートであり,1.3mmの鉛筆シャープであるのだ。
が,ぼくより若い人たち,特に女性の間では,コクヨのイメージはまた違ったものであるのだろう。
● さて,今回,最も面白かったのが,次のシステム手帳の記事だ。
システム手帳といえば,枻出版社から『システム手帳STYLE』というムックが刊行されている。2016年8月に出た。おそらくその一発で終わるはずだったのではないかと思うのだが,2020年10月までに5冊刊行されている。
最初のやつと5冊目のやつでは,中身がかなり違う。っていうか,ページの色が違う。この間にシステム手帳をとりまく環境が大きく変わっていることの証左だ。
● 大きく変わったのは次の2点において。ひとつは5穴リングのミニ5サイズの小型が普及してきたこと。もうひとつは,パステル系が浸潤してきたことだ。どちらも,システム手帳ユーザーが女性に変わってきていることから来る。
前世紀においては,システム手帳はバリバリ仕事をこなすビジネスマン御用達だった。複数のリフィルを綴ることができるし,資料も挟んで持ち運べる。書斎を持ち歩いているようなもので,どこでも仕事ができる。
そういう売り方をメーカもしていたように思う。最初の『システム手帳STYLE』の表紙に踊っていた「一冊の手帳に,知を集積せよ!」というコピーが指しているのもそういうことだろう。
● 逆に,分厚くなった大型のシステム手帳は重い。バッグに入れるとバッグの形が崩れる。女性のシステム手帳ユーザーはあまり見かけなかった。
そのあたりが変わってきたということでしょう。その変化はメーカーが意図して作ったものではない。どうしてかはわからないが,外部環境が変わった。メーカーはそれに乗っただけだ。
株式投資の世界に,相場は作るものではない,乗るものだ,という格言(?)があるが,それは実業の世界においても同じだろう。
● さて,Bun2に戻るのだが,レイメイ藤井の社員が色々と語っている。(ミニ5サイズは)一人で3,4冊持っている人もいるらしい。レイメイ藤井には「docona」という女性に向けたシリーズがあって,デコレーション需要に応え,クラフト系好きを捕えているということらしい。
伊東屋では昨年11月に「システム手帳サロン」を開催。そのときの様子が語られる。「ステーホームの時間が長くなったからか,持ち運びを目的としないリング径の大きいものもよく動いた」という。
来場者は30代,40代の女性が圧倒的に目立ったとのこと。ミニ5がなぜ人気なのかといえば,「小さいものはかわいい! からです」と。まぁねぇ,そう言われれば,それ以上は突っこめないなぁ。
● 複数のサイズや色違いで揃える人が多いという話がここでも出てくる。スケジュール管理のための手帳としてだけでなく,ノートやメモ帳としても使っているからってことだとしても,この感覚は昭和原人のぼくにはわからないんだな。1冊に複数のリフィルを綴じておけばいいだけじゃん,と思ってしまう。いや,1冊にしとかないと,システム手帳の良さが消えちゃうじゃん。
それだと重くなるからイヤだと言うんだったら,使用済みのものはこまめに保存用バインダーに移して,持ち歩く分はできるだけスリムに保つようにすればどうだろう。
● ナガサワ文具センターにも取材をしている。「ミニ5のユーザーは,20~40歳ぐらいの女性層が圧倒的に多」く,その理由は「書くときもコンパクトで手のひらに収まることなどが理由かと思います」と言っているのだけど,本当なんだろうかなぁ。
システム手帳なんだから金属製(or樹脂)のリングがあるよね。コンパクトでリングがあるとなると,実質的な記載可能スペースはほんとに小さくなっちゃわない? 手のひらに収まるサイズだったら,システム手帳じゃなくて,ロディアのようなメモパッドか角型の付箋を使った方がよくない? そうした方が書くときの不快感が減少すると思うんだよなぁ。
● 「収納ポケットを使うことでお財布や定期入れとしても機能し,システム手帳という枠を超えたアクセサリーとしても成長していると感じます」とも言ってるんだけど,これもわからないなぁ。セールストークというか,立場上こう言わなければならないのかもしれない。
にしても,だよ。しっかりと収納しようと思ったら,バイブスサイズの大きさがないとダメだよね。ぼくもシステム手帳をチケットや図書館の利用者カードを収納しておくのに使っているけれども,チケットを折らずに収納しておくにはバイブルサイズ以上じゃないと無理だ。それより小さいと折らなければ入らない。チケットを折るのってヤじゃない?
というわけで,システム手帳はバイブルサイズのスリムがベスト。ぼく的にはそういう結論。が,それって時代についていけてない昭和原人の古臭いスタイルなんだろうか。
● 文具を話題だけをトークするラジオ番組ができたんですな。群馬のFM-OZEで「ブンボーグ大作戦」が放送されている。パーソナリティは他故壁氏さんとふじいなおみさん。番組のアイコンは2人とも若くかわいい方向にデフォルメしすぎているけどね。
これ,radikoじゃ聞けなくなっているんだよね。プレミアム会員にならないと。あと,こういうのってリアルタイムで聞くしかないのかね。
● ともかく。今回もBun2でこれだけ楽しむことができた。無料で。
最後に,『システム手帳STYLE』の5冊の表紙を飾っているコピーを載せておこう。
Vol.1 一冊の手帳に,知を集積せよ!
Vol.2 手帳という快楽
Vol.3 一冊あれば楽しみ無限大
Vol.4 大切なものをHAPPYに集めよう
Vol.5 カスタマイズが楽しい 趣味と実用の手帳
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