編者 泉 恵理子
発行所 日経BP社
発売年月日 2016.04.10
価格(税別) 648円
● 巻頭は「トップランナーに聞く 編集長インタビュー」で,この号では日立製作所相談役(当時)の川村隆さんが登場している。
ノートは今も使い続けています。何でも書いていますね。書くことで,頭が整理される。(p9)
ノートを取り,それを基に内省するのは,大切な作業です。「ラストマン」として意思決定するときに,「情報が100%揃って意思決定する」なんてことはまずありません。(中略)何かの意思決定をする時に,メモに書いて内省したことは必ず役に立ちます。(p9)
● 特集記事にも3人の社長が登場。まずサンディスク社長の小池淳義さん。
昔は電子手帳に凝っていましたし,今もスマートフォンは最新機種を使っています。電子機器の良さはよく知っていますが,書くことが脳を刺激しますし,(中略)考えを深めるツールとしては,ノートは最高の道具ではないでしょうか。私は毎日,A5サイズのノートに1~2ページ,その日の出来事と,それに対して自分が「何を感じ,どう考えたか」を書き出しています。(p30)
● 小池さんのすごいところは,それだけでなく,そこを出発点にして別のノートに整理するなど複数のノートを使い分けていることだ。人生の目標を考えるうえで大切だと思ったことを書き写して,10年単位でものを考えるノートを作るだとか,年単位のライフログノートを作るだとか,年間ゴールというシートを作るだとか,人生のゴールをシンプルな言葉で何項目かにまとめて,自分の目指す生き方がわかるシートを作るだとか。
私家版フランクリンシステムのようなものか。当然,ぼくにはまったくついて行けない。
● ゲオホールディングス社長の遠藤結蔵さんは,ズボンの後ろのポケットにB7サイズのメモ帳を入れている。
スーツやジャケットの胸ポケットは使いません。脱いだらメモ帳を取り出すのが面倒になるので。(中略)メモ帳は休日も必ず持ち歩いています。(p35)
● オタフクホールディングス社長の佐々木茂喜さん。
会議のノートは欠かせません。(中略)出席者の意見から大事なキーワードを抜き出してまとめ,見返して頭の中で関連づけて整理します。(p37)
経営会議で浮き彫りになった重大な課題は,即決即断で答えを出すのが一番いい。私の指示や助言を聞いたメンバーが,具体的なアクションにすぐ移れます。ノートを使う目的はそこで達成されるので,会議が終わってから見返すことはありません。(p37)
「問題解決は内容が整理できれば,9割は片づいたも同然」とよく言われますが,同感です。自分のところに上がってきた報告から,大事なことを見つけて書き留め,最重要ポイントを抽出し,最終的な決断を下す。この過程を,私はノート上でやっている。会議と同時並行で,ノートを使った1人ブレスト会議を,私の頭の中で開いているようなものですね。(p38)
「読み返しやすさ」は譲れません。(中略)右脳にアイデアをひらめかせるために,一目で頭に入るように書く必要がある。走り書きした文字を解読すること自体に頭を使って読ませるノートでは,左脳が働いてアイデアが出にくい。(p38)
● この後に,「目的別「解決ノート」の作り方」という指南の記事があるのだが,こういうものは読むに値しないと勝手に決めている。昔から誰かが言ってきたことの焼き直しだろうし,具体的な指南は自分に合わなければ役に立たないものだから。
で,ほとんどの場合,自分には合わないのだ。
● Evernoteの解説記事もある。2016年はまだそういう時期だったのだなぁ。今,この種の記事を目にすることはない。Evernoteって,今はどうなっているんだろう。
使うべきほどの人はもう使っていて,安定期に入っているんだろうか。それとも,すでに過去のものになったんだろうか。
● これに関するぼくの意見は,デジタルで保存していいのは入力の時点でデジタルだったものに限られるというものだ。
たとえば,アナログで書いたものをスキャンしてクラウドに保存するのは,二度と開けないブラックボックスに放りこむようなものだ。保存したが最後,二度と日の目を見ることはない。
つまり,Evernoteに保存するのはゴミ箱に捨てるのと同じことだ。クラウド連携のノートなんてのは高いばかりで値段に見合った効用はないだろう。メーカーの思惑に付き合うこともあるまい。
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