● 手帳をやめてスマートフォンのカレンダーアプリを使うなんて,荒唐無稽というか埒もないことだと思っていた。どう考えたって,紙の手帳がいいはずだ。
起動に時間がかからない,バッテリーを要しない,入力が速い,多様な書き方を受け容れる,一覧性が高い。どこをどういじったところで,紙の手帳にアドバンテージがある。
● でも,最近,ちょっと揺れている。
理由のひとつは,スマホをAndroidからiPhoneに替えたこと。せっかく替えたんだから,肌身離さず持ち歩きたいわけですよ。使っている時間を長くしたいわけですよ。
そのためにはiPhoneを手帳にしちゃうのは,効果的な一手ではないかな,と。
● 朝一番にiPhoneに「ボス,今日の予定は・・・・・・です」って教えてもらいたいわけですよ。Siriに話しかけると,女性の声で答えてくれるんだからね。
この程度の仕掛けでも(って,相当たいした仕掛けだよね),何というか,生命を感じるというか,擬人化できるというか。秘書を持ったような気分になるじゃないですか。
● ぼくら,秘書なんて絶対持てませんよね。第一,やってもらう仕事もないし。
それに,生身の秘書を持つことは,こちらの自由をコストとして差しだすことでもあって,相当に気ぶっせいだと思う。奥さんのほかに秘書までいたら,ほとんど自由はなくなる。
その点,スマホの秘書は慎ましいからね。余計な詮索はしないしさ。だから,ひじょうに有能な(こちらに都合のいい)秘書になってくれるはずだ。
● パソコンの普及期にも,パソコンを使うと生産性があがる,秘書を3人付けたようなものだっていうような言われ方をしたけれども,パソコンはその形状からして,どうもそういう気分にはならない。
その点,スマホはいつも持ち歩ける。一緒に過ごす時間が長くなる。しかも,音楽プレーヤーとして使ったり,カメラとして使ったり,ネットを見たり,メールを出したり,ゲームをしたり,とにかくしょっちゅう使っている。その分,思いを込めやすい。
● 理由の2番目は,予定がたくさんはないことだ。手帳術と名のつく書籍や雑誌を見ると,“手帳術=スケジュール管理術”で,多くの予定を効率的にこなすために手帳をどう使えばいいのか,を説いているものがほとんどじゃないか。
が,ぼくは「術」を要するほどの予定は抱えていない。
● であるからして,デジタル化することのデメリットはさほど受けないんじゃないかと思う(メリットの方もさほど享受できないはずだ)。
つまり,紙の手帳だろうがスマホを使おうが,どっちでもいいんじゃないのっていう程度だ。
● 理由の3番目。これが最も大きいかと思うんだけど,手書き欲望は“何でも帳”のダイスキンで満たされていること。
アナログかデジタルかって,手書きが好きかどうかってことでもあって(違うか),ぜんぶデジタルにしちゃうと,紙にペンで書くっていう楽しみが失われる。それがイヤだというなら,アナログで残しておかないと欲求不満になる。
● そちらはノート(メモ帳)で満たされるので,手帳はデジタルでもいいかと思うわけなんでした。
ただし,では今日からさっそくiPhoneでってことにはならない。紙の手帳のメリットがあまりに大きいと思われるので。
しばらくウジウジと揺れていることになると思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿