2023年5月30日火曜日

2023.05.30 ユニボールワンP と Ballsign iD plus を購入

● 最近,話題の三菱鉛筆のユニボールワンP。文具店で実物を見たときには,こういうのが出たのねと思っただけなんだけども,ジワジワと気になりだしてますなぁ。
 パステルカラーからして,女性が買ってくれると見込んでいるんでしょ。てか,文具消費を引っ張るのは女性たちだもんなぁ。

● 一番人気はヨーグルトらしいのだけど,買うとすれば強い色のみかんとぶどうにするかな。でも,ボールペンも一生分を超える在庫を抱えているからなぁ。集める人よりも使う人になりたいもんね。
 とか思いながら,黄金週間明けに宇都宮の某文具店を覗いてみたんですけどね。みかん はどうもなぁとか思って,買いそびれているうちに,サファリのマンゴーを買ってしまったので,ユニボールワンPを買う目は消えた。

● 昨日,銀座の伊東屋に行ったら,ソーダ,コーヒー,もも が品切れになってた。みかん や ぶどう はあまり出ていないようだ。淡い色が売れてるようですなぁ。
 依然として,伊東屋に来てるお客の過半は非日本人。ブランドの高級筆記具も日本で買えば安くつくだろう。売る方も助かる。Win-Win とはこういうことだね。
 オッチャンもいてね。彼らが文具を物色している様子を眺めるのはけっこう面白いんだけど,そうそうジロジロと見るわけにもいかない。

● 今日,再び,伊東屋に。やっぱり買ってしまいましたよ,ユニボールワンP。バナナか はっか かで少し迷った末に はっか にした。現物を見ると,予め決めていた色とは違うものになるのは,ままあることです。
 いやね,こうなるだろうなとは思ってたんですよ。使わなくても買ってしまうだろうな,と。今までも何十回とやってることだもんね。

● ついでに,サクラの Ballsign iD plus のフォレストブラック0.5㎜も。0.4㎜もあったんですが,ガワの色が違うので。黒いのに惹かれました。
 国産のゲルインクは高いレベルで甲乙つけがたい。したがって,デザインとか色とか,ルックスで選ぶことができる。好みに従える。0.4㎜のリフィルを買って入れ替えるかもしれないけど。

● そのフォレストブラック,ショボショボした老眼で見ると,ほとんど黒に近い。黒に若干の緑が混じっているかなという感じ。
 SARASA のグリーンブラックは緑に黒が入っているという感じだけれど。 ぼく一個の好みで言うと,SARASA の方がいいなと思う。

● で,Ballsign に SARASA のリフィルを入れられないかと思うんだけど,これはできないんだよね。ノック式のゲルインクボールペンのリフィルは共通化されていて,三菱鉛筆のユニボールワンでもぺんてるのエナージェルでもゼブラの SARASA でも相互に使えるんだけれども,Ballsign だけはこの限りではない。
 フィリルの軸の太さが Ballsign だけは細いようなんだよね。SARASA のリフィルも軸内にちゃんと収まるんだけど,ノック部分が機能しない。

● その Ballsign を Ballsign,Ballsign iD,Ballsign iD plus と並べてみると,Ballsign iD が最も扱いやすい。plus になると若干重くなる。
 ある程度長く使う場合は,軽さは正義だと思っている。万年筆の場合は,万年筆が自らの重さで勝手に書いてくれるとか言われるけれども,ぼくは万年筆も軽い方がいいと思っている。

2023年5月20日土曜日

2023.05.20 ラミー・サファリのボールペンのリフィル交換

● ラミーサファリのボールペンを購入した。色は2020年限定色のマンゴー。といっても,新品を文具店で購入するというような贅沢ができるはずもなく,ヤフオクで1,100円(+送料210円)。
 これでサファリは万年筆2本とローラーボール2本に加えて,ボールペンも持つことになりましたよ。使っているのは万年筆の1本だけなんだけど(赤の方)。

● 問題はサファリボールペンに予めセットされている純正インク。ジェットストリームやビクーニャを使ってしまった人にとっては耐えられないシロモノでしょ。
 したがって,リフィル換装は当然の前提となる。が,ローラーボールのリフィル交換は比較的容易だけれども,ボールペンの方は少々厄介だと思っていた。

● リフィルコンバーターがあって,4Cタイプは使える(と思う)のだが,リフィルコンバーターを使うのはどうも面白くない。
 しかし,先人がノウハウを披瀝してくれてるので,困ることはない(そのノウハウを披瀝した You Tube 動画は → こちら)。この動画を見たので,サファリのボールペンに出を出してみようと思ったのだ。

● 上の動画は,パイロットのアクロボールのリフィル BRFN-30 に換装するものだ。そっくり真似することにした。まずはそのリフィルを買うところから始めなきゃ。
 ヨドバシが一番安そうなので,昨夜,ヨドバシに注文したら,今日の午後に届いた。速いですな。注文したのは0.5㎜(極細)の青。

● 肝は爪楊枝で高さを補うこと。ラミー純正よりわずかに長めにするのがコツですかね。微調整が必要です。
 はい,できました。これでストレスフリーになりました。

● 強いていうと,0.5㎜ではなく0.7㎜にしとけばよかった。アクロインキは低粘度油性なので,同じ0.5㎜でもゲルインクの0.5㎜に比べると細いんですよね。紙への滲みが少ないから。
 ジェットストリームを初めて使ったときに,このヌルヌルヌラヌラの快感を味わうには最低でも0.7㎜と感じたのを忘れてしまってた。

● しかし,ぼくらの国のインクは大したものですねぇ。昨年10月に外国人旅行者の入国が緩和されて以来,銀座も外国人で溢れるようになった。特に,伊東屋なんかお客の過半は外国人だ。熱心にボールペンやシャープペンを物色している彼らを見ると,日本の文具は世界を牽引しているんだなぁと実感できる。
 残念ながら,高級品については欧州の後塵を拝したままですけどね。大衆品については圧倒的に強いのではないですかね。

● 今さらの感があるんだけれども,サファリのローラーボールにSARASAのリフィルを装着するのは簡単ですからね。ダイソーで6㎜のビーズ玉を買ってきて,1個足してやればOK。それだけです。
 若干,芯の露出が少ないと感じる向きもあるかもしれない。微調整する方法もあるんだと思うけど,ぼくはそれだけですませている。


(追記 2023.06.13)

● サファリのローラーボールでSARASAのリフィルを使う件。申しわけありませんが,訂正です。
 上の方法で使えないわけではないのですが,かなりローラーボール本体に無理をさせる感じになります。胴軸と首軸をキッチリ合わせると悲鳴をあげるような感じになると言いますか。

● 6㎜のビーズ玉を足すと,純正リフルの長さをやや上回ることになってしまうようなんです。
 それゆえ,割り箸(先が尖ってないやつ)を5mmほど切ってやって,それをリフィルに載せた状態で本体に格納した方がいいと思います

2023.05.20 鉛筆はできそこないの筆記具

● 鉛筆は軸の細さが最大の弱点。鉛筆を裸で使って,筆記具としての鉛筆を好きになるなんてあり得ん,と思うほどだ。
 2Bや3Bなどの柔らかい鉛筆を使えば筆圧をかけずとも書ける,というのは理屈としてはそのとおりだけれども,あれだけ細いと自ずと筆圧がかかってしまう。線を引いたりスケッチしたりならともかく,漢字を含む日本語を書くとどうしてもそうなる。鉛筆を持った腕の肘から先が疲れてしまう。
 ゆえに,鉛筆を使って長時間の作業をするのはけっこうな重労働になる。

● これだけ細くては,手の小さい小学生でも鉛筆をもて余すだろう。使わないですむようになれば使わなくなるのは当たり前だ。
 世の中には,鉛筆より使い勝手のいい筆記具が海の水ほどもあるのだから。

● 幼児や児童に対して鉛筆の正しい持ち方を教えなければいけないという声を聞くことがあるが,正しい持ち方を云々する前に,この細さを何とかしろと言いたい。
 子供が勉強嫌いになる理由のひとつは,使いづらい鉛筆を使わせているからではないかと思ったりもする。

● ウィキペディアによれば「1851年,後継者ローター・フォン・ファーバーが鉛筆の長さ・太さ・硬度の基準を作成。(いわゆる六角形デザインの鉛筆)この基準は150年以上経った今でも世界中で使われている」とある。ファーバーカステルが決めた規格が現在に至るもそのまま活きているというわけだろう。
 日本ではJIS規格になっているわけだが,規格が統一されているからと文字どおりに百年一日のごとく,同じものを作り続けてきたわけだ。こんな筆記具は鉛筆だけだろう。

● ボールペンやシャープペンや万年筆は,消費者に受け容れられるよう研究開発を重ねて,多様な製品群が生まれた。軸の太さも様々で,典型的にはパイロットのドクターグリップのような疲れにくい太さを追求したものもある。
 しかるに鉛筆だけは著しく多様性に欠ける。つまり,製品としての熟度が低いまま虚しく年月を重ねた。

● しかるに,言うにことかいて,正しい持ち方を指導する必要があるなどと,製品の熟度の低さを消費者に転嫁しようとはもってのほかではないか。そんな筆記具を使わされる小学生が気の毒だ。
 それでなくても忙しい今どきの小学生に,鉛筆の正しい持ち方の習得などという課業を強いれば,鉛筆嫌いの度が増すだけだ。それはすなわち,勉強嫌いの子供を量産することでもある。彼らには鉛筆しか与えられていないのだから。

● 持ち方を超越するまともな鉛筆を作るのがメーカーの仕事であるはずだが,既存のメーカーにその動きを窺うことはできない。
 くもん が太軸の三角鉛筆を出しているが,こうした新しい試みは くもん のようなところからしか出て来ない。既存の鉛筆メーカーは何をしているのか。

● 実際のところ,(少なくとも国内では)鉛筆の消費量が大きく減少しているので,三菱もトンボも鉛筆の生産など止めてしまいたいというのが本音かもしれない。
 が,JIS規格を言い訳にしないで,もう少し何とかできないものか。当のファーバーカステルはジャンボ鉛筆も出荷しているではないか(あまり売れてはいなさそうだけど)。

● 細ければそれを補う手段はある。
短くなった鉛筆は補助軸がすべてを解決するが,長いのはグリップをかませるのが必須。
 で,右の写真のようになる。右側のぷにゅグリップ(クツワ)よりも左側の硬い方(ソニックのキュポットグリップ)が,使いやすい。
 グリップを付けると筆箱に入れたときの収まりが悪くなるのが難。が,ここは筆記時の快適さを重視する一択で,収まりの悪さには目をつむるしかないなぁ。

● しかし,以上は大人の自由度があってこそ対応できるものだ。子供たちはそうも行かないだろう。
 鉛筆の規格を変えられないと言うなら,このあたりのブリッジを考えるのもメーカーの仕事のうちだと思うのだが。


(追記)

● 鉛筆の太さがマチマチになると,たとえば鉛筆削りはどうするのかといった問題も出る。
 が,複数の太さに対応できるハンドル式の鉛筆削りの開発がそんなに難しいことだろうか。

● あるいは,今の形を変えるなと言う消費者が大半だったりするんだろうか。
 たしかに,高齢者には多いかもしれないけどねぇ。

● 鉛筆の現状が何に由来するのかがどうもわからんのだよねぇ。売行きを考えると,どうにかする必要もないじゃん,今のままでいいじゃん,ってことになっているのかね。

● 三角鉛筆じたいは昔からあった。ヨット鉛筆のものを,ぼくも持っている。
 ただし,今のくもんや学研のものより,少し細めですかね。

2023年5月18日木曜日

2023.05.18 髙橋拓也 『おうちワークの文具術』

書名 おうちワークの文具術
著者 髙橋拓也
発行所 玄光社
発行年月日 2022.07.22
価格(税別) 1,700円

● 副題は「仕事がはかどり暮らしが整う」。リモートワークにどう対処するかを文具に絡めて説いたもの。ページ数でいうと,“説き” が3分の1で,具体的な文具の紹介が3分の2。
 コロナが5類になった現在はコロナ以前の状況に戻っている(それでもノーマスク率が高くなった電車に乗るのが怖いと言う,手がつけられないレベルのバカはいる)。リモートワークはどの程度残っているのだろうか。

● 雇用する側される側双方の利害によって,完全にコロナ以前の働き方に戻ることはないと思うが,基本的には会社が方針を決めれば,たとえばリモートワークは認めないと言えば,リモートワークでも充分に仕事ができる社員であっても出社せざるを得ない。
 もっとも,リモートワークで出社する以上の生産性を維持した仕事ができた人は,相当以上に優秀な人だろうから,サッサと辞めて次に進むかもしれないが。

● ただ,リモートワークなら郊外や地方でも仕事ができるわけだから,地方に移って同じ家賃でひと部屋多い家を借りた方が良いと考えてそれを実行してしまった人は,少々後悔しているかもしれない。
 コロナ禍はしょせん一過性のものに過ぎないことはわかりきっていたのだから,首都圏にしばしば緊急事態宣言が出ていたとしても,東京に留まるべきだった。人と同じことをやってはいけないし,ましてマスコミが煽る方向に動いたのでは損をするに決まっている。

● いずれにしても,本書の旬は短かった。大方の人は満員電車のストレスに甘んじてでも,出社する方を選ぶだろうから,本書を必要としない。今後もリモートワークを継続でき,かつそちらを選ぶほどの人なら,本書に頼る必要もあるまい。
 出版後の1年弱で版元が損をしない程度には売れたんだろうか。

● 以下にいくつか転載。
 自分自身もおうちワークを快適にするために試行錯誤する中,日本の文房具のすごさを改めて感じています。(p19)
 「おうちワーク」には楽しいことやうれしいことや,体にとってラクなことがたくさんあります。ただ,それは自分だけではなく,家族にもよかったと思ってもらえることが前提です。(中略)「小さいオフィス」は,オフィス環境を自宅で再現することが目的ではありません。むしろ,オフィスよりもよい環境をつくることができるんだとポジティブに考えましょう。(p41)
 自由な発想をオンタイムでそのまま描き出せるのがアナログのよさ。デジタルツールのフォーマットに思考を落とし込むのではなく,レアなアイデアを100%素の状態で表現できるのは何よりのメリット。(p42)
 アナログのよさがスピードと柔軟性だとすれば,デジタルのよさは情報のマニュアル化と共有化,検索性に優れていること。(中略)検索性については私のように初動がアナログの場合,とりわけ有効です。(中略)「小さいノート」が数冊たまったら,後々活かせそうなことや,記録しておきたいことをアプリ(Notion)に転記しています。(p44)

2023年5月16日火曜日

2023.05.16 野帳行脚

● 銀座伊東屋に来た。「Colors by LAMY safari コラボレーション」の限定商品を見に。コラボ商品の中に測量野帳があるので,それを買うためね。
 サファリの新色が3種だから,表紙の色をそれに合わせて野帳も3種。1冊594円(税込み)。罫線の色はグレー。中紙は通常の野帳より厚い。ラミーのインクでも裏抜けしないようにということでしょうね。

● 爺がこういう色の野帳を使ってもいいのかと思わぬでもない。が,過度な自己規制は有害であろうよ。気になったら買っておきましょ。野帳はいくつあっても必ず使うはずだから。
 サファリは万年筆2本,ローラーボール2本,ボールペン1本を所有(ただし,ボールペンはまだ届いていない)。全色コンプしている人も多数いると思うが,ぼくはこれ以上は持たない方がいいと思っとります。ので,サファリは見送り。

● インクの色がたくさん出回るようになったから,サファリを全色揃えて,軸色に合わせたインクを入れるという人もいるんだろうかな。
 ぼくはインク沼にだけは落ちないようにしたいと思っている。というか,思わなくても落ちる気づかいはないんだけどね。なぜなら,絵や図やチャートを書くことがないからだ。文字しか書かないんだから。
 ので,ブルーブラックのみで足りる。ひょっとすると,あとから読み返すなんてことをするかもしれず(今まではやったことがない),そのときは赤を使うかもしれないが。

● 浜松町のモノレール駅。ホームに並んでいる人は多いが,次に来るのは各停なので,空港まで乗る人は多くはないと思う。スーツケースを引っぱっている人は少ない。
 で,第3ターミナル。平日ゆえかもしれないが,利用者は多くない。特に日本人は少ない。

● ここにはコロナのピークが過ぎた頃に一度遊びに来ている。出店している伊東屋も改造社書店も店は閉めていた。今は開いているが,言っちゃ悪いけど,閑散としている。当分,日本人の利用者は増えないだろうねぇ。
 エアポートガーデンに移動。こちらには日本人が多数いる。エアポートガーデンは第3ターミナルから直結なんだけれども,このショッピングモールと空港は連動していないというか,飛行機に乗る時間までここで過ごしているといった風情はない。

● ま,そんなことはどうでも,このエアポートガーデンにコクヨの直営店 KOKUYO DOORS がある。ここにしかない限定野帳があるというので,それを買おうと思ってやってきた。
 が,どこでも売っている定番はあるんだけど,肝心の限定野帳は見当たらない。品切れになったのかと思いきや,中ではなくて外にあった。レジのほど近く。色違いで3種。1冊550円。

● ロメロ・ブリット氏とのコラボ製品も揃っていた。Campusは浦安の有隣堂で見つけてまとめ買いをした。いくつか品切れのがあったので,しつこく探してやっと揃えたのだが,それを嘲笑うかの如くこの時期になっても揃ってやがる。
 アッタマに来たので,ここでも測量野帳を買っちまった。川崎の丸善で買って,すでに持ってるんだけどさ。これも550円。

● けど,程々にしておかないとね。全部を集めるなんてできない相談だし,ノートは使ってナンボだからね。
 表紙(の色やデザイン)で気分が上がるという人もいるけど,レギュラー製品で気分が下がっているようでは,そもそもどうしようもないわけだしさ。


(追記 2023.05.24)

● メルカリに測量野帳が6冊800円で出たので,ためらわずにポチった。
 限定版の野帳を9冊ほど買ってしまったわけだが,レギュラー野帳でいいわけだよねぇ。

● 上の9冊の他にもミッキーの絵がらのやつとか,コクヨの品川Campus 限定のやつとか,Think of Things 限定のやつとか,伊東屋オリジナルとか,あれやこれや買ってしまってる。100冊はあると思う。
 バカなことをしたものだ。レギュラー野帳をクールに使って行きたいものだよ。

● 限定版の収集に走るのはもちろん悪いことではないのだが,それだとノートを使うというよりノートに使われている感が漂ってしまう。
 純粋にコレクションが目的で,使うのは二の次というなら,それはそれでありなんだけれども。

2023年5月14日日曜日

2022.05.14 松岡厚志 『じわじわくる文具』

書名 じわじわくる文具
著者 松岡厚志
発行所 玄光社
発行年月日 2022.07.13
価格(税別) 1,800円

● 副題は「ぱっと見ではわからない わかると一生使いたくなる」。

● 本というのはどんな分野のものであれ(といっても,教科書や学術書や実務参考書などは別だけれど),一夕の歓を尽くせれば,それで用を果たしたことになると思っている。要するに,読み物として面白ければそれでいい。
 小説はもちろんだけれども,ビジネス書や自己啓発本も何を説いているかよりも,読み物として面白いかどうかの方が重要だ。

● 本書のような文具を話材にした書籍も同じであって,基本的に学び(具体的な知識や気づき)は求めていない。幸か不幸か,そこまでの向上心はない。読み物として面白く読めれば,それで結構。
 で,本書は読み物として面白かった。著者が面白い人だからに違いなのだが,ああ,面白かった,と読み捨てることができる本は貴重だ。二度読むことはない。

● 学びは求めていないと言いながら不謹慎だが,以下にいくつか転載。
 どうしてここまで黒が好きになったのか。(中略)黒には高級感があるから? 悪役のような格好良さがあるから? それもゼロではないけれど,一番の理由ははっきりしている。黒は「黒子」になってくれるからだ。(p50)
 仕事が丁寧であることは,相手を思いやることでもある。(p60)
 高い機能を備えながら,同時にデザインを両立させることは,言葉で言うほど簡単なことじゃない。(p72)
 アイデアを求められるときがある。しかし思いつくのは,どれも凡庸なものばかり。なぜなら「かくあるべし」の枠を飛び出ていないから。(p76)
 「昔からそうだった」というのは「自分の頃はそうだった」の言い換えでしかない。(p80)
 商品とは何かの不便や不満を解消し,人の役に立つものであるという浅はかな思い込みを,自爆ボタンは見事に吹き飛ばしてくれた。(p95)
 模倣品や類似品が出回ることは日常茶飯事で,オリジナルを初めて出したメーカーはいつも歯がゆい思いをしている。けれども模倣品は後発の強みを活かして改良していたり,開発費がかからない分,価格も抑えているから,お客さんにとっては都合がいい。(p100)
 うまくいかないものに見切りをつけて決別し,新たな地平を血眼になって探す。それが「捨てる」であり,作品の強度を高める秘訣だからだ。多くのクリエイターがアイデア出しに使い捨てのコピー用紙を重宝するわけは,実はその捨てやすさにある。(p104)
 アイデアは外の空気に触れたり,街の喧騒に身を置くことで生まれやすい(p104)
 私が使う「時代を超えて変わらないもの」のひとつに,ぺんてるのサインペンがある。(中略)絶妙な太さで書かれた文字を見ているうちに,なんだか自信が湧いてくる。(中略)細いペンで頼りない文字を書きながら「自分はダメだ」と落ち込むよりも,太い字で「いいぞ」と思えたほうが調子も出るような気がする。(p116)
 これまで商品の撮影現場で出合ったフォログラファーたちはみな,撮るスピードが早撃ちガンマン並みに速かった。(中略)それが実現できるのは撮りたい画を撮るためにはどうすればいいか,経験で理解しているからだろう。(p128)
 特許を取得したとて,アイデア自体は保護されない。あくまでそれを実現する技術や仕組みが保護されるのであって,アイデアそのものに発案者の名は付かない。(p132)
 紙と人類の付き合いは2千年もの長きに渡る一方で,大量生産され,自宅でも気軽に印刷できるようになったのはここ数十年の話。バッグの中で折ったり曲げたり汚したりして「人類は紙をまだ持ち運び慣れてない」と店主は語る。(p136)
 世の中にはわかる人にはぐっとくる,わからない人にはさっぱりわからない趣味の世界がある。(中略)ただ文字を書くだけなら100円のボールペンでいい。その100倍以上の値段を出して,わざわざたくさんのインクを集めて手書きする面白さに理解が及ばない人もいるだろう。けれども沼を楽しむ人たちの,なんと楽しそうなこと。(p152)
 じわじわくる文具って,なんだろう。(中略)ぱっと見ただけではわからないが,わかると一生使いたくなる文具。この「わからない」と「わかる」の間に時間差があるものを指す。(p172)
 大量消費の時代はとっくに終わり,いいものだけを使い続ける適量消費が作り手,使い手双方にとって健全である(p174)

2023.05.14 日経WOMAN 2022年11月号-もっと使える! 新手帳術

編者 藤川明日香
発行所 日経BP社
発行年月日 2022.10.07
価格(税別) 845円

● 毎年,日経WOMANの11月号は手帳特集。付録に万年筆が付くのも,最近の約束事になったようだ。
 メインは具体的なユーザーの手帳(の中身)を紹介し,こだわりやユニークさをインタビューを交えて紹介するところ。広告連動の具体的な製品のカタログページもあるのだが,メインは具体例の紹介。

● 当然,登場するのは女性のビジネスウーマンだ。昔はそういうのを読むのが好きだった。合格体験記を読むのが好きな受験生のごとくだった。
 が,長じてからは良くも悪くも自分は自分,人は人,と割り切るようになり,参考にしようという姿勢は消えた。とはいえ,ほほう,こういう人もいるのかと刺激を受けることはある。

● 今では隠居の身になった。対世間・対社会で自分も当事者であるという意識じたいが消えてしまった。
 が,隠居はしても世間とはつながっていた方がいい。いや,隠居だからこそ,世間とのつながりを断ってはいけないと思う。

● では,世間とつながるとはどういうことか。隣近所との付き合いを大事にするとか,自治会活動に積極的に参加するとか,そういうことではない。そんなものはどうでもいいと思っている。じつはコロナ禍に入った2年目に自治会を退会した。自治会の行事がすべて中止になったが,それで困ったことは何もなかったからだ。
 また,インターネットのSNSで何かを発信することでもない。そういうことをやってもいいと思うが(自分もやっている),必須ではない。

● 世間とつながるとは暦につながっていることだと,ぼくは思う。今日は何月何日なのか,何曜日なのか。そこがハッキリと意識できているなら,それは世間とつながっているということで,それ以上のつながりは不要だと思っている。
 で,そのつながりを維持するには手帳を使うのが一番だ。それだけでいいので,隠居の身としてはこの雑誌で紹介されているような緻密だったり独創的だったりする使い方をする必要はない。必要はなくても,こうして読んでいるわけだけどね。

● パイロットの社員も登場。パイロット社内でも「業務のデジタル化が進み,手書きの機会が激減している」らしい。(p25)。
 いや,当然そうでしょうよ。パイロットだろうと三菱鉛筆だろうとコクヨだろうと,仕事はパソコンでやるようになってるでしょう。

● 以下にいくつか転載。
 言葉が好き,日本語が好き。常にいい言葉を探して,見つけたら鮮度のいいうちに書き留めています(高尾美穂 p17)
 したいことをただ書くのではなく,どう変えたら世の中がよくなるかという提案に膨らませるのが,アイデア実現のコツです(高尾美穂 p19)
 “かわいい手帳術” も提案しているが,視聴者からの人気が高いのはシンプルな手帳術のほうだとか。(p27)
 キーボード入力やフリック入力より時間がかかりますが,それこそが手書きの利点。手を動かしながら,時間をかけて書くことで脳に “考える余裕” が生まれ,思考の整理や創作,記憶の定着に役立ちます(酒井邦嘉 p28)
 自己と深く対話できるのが手書きのよさ(古川武士 p28)

2023年5月7日日曜日

2023.05.07 ラミーサファリの2本目を買っちまった

● といっても,キッカケはヤフオクでいたずら入札をしたこと。お,安いじゃん,と思ってさ。
 でも,すでに持っているので,ぜひとも欲しいということはない。全色揃えようと思うようなアホでもないしね。
 魔がさしたんでしょうなぁ。誰かさんが高値更新してくれると思ってたら,落札してしまった。

● どんだけ暇なんだよってことね。小人閑居して不善をなす,とはこういうことだ。
 過去にも何度かこういうことをやっていて,いらないパソコンを買うハメになって,頭を抱えたことがある。

● 出品者がショップさんで,支払いがコンビニ払い。死ぬほど面倒くさい。わざわざそのためだけにコンビニに行かなくちゃいけないというのはね。
 支払いはついでの用事にしたいものだ。

● 買ったのはバイオレットのEF(極細)ニブ。新品未使用で送料込み1,950円。海外の万年筆のEFは,国産だとF(細字)にあたるだろう。
 漢字を書くには,海外産はEFじゃないと使いものにならない。というわけでもないけれども,ぼくは小さい字を書くので,やはりEF。

● 今,使っているサファリもEFだ。赤のEF。こちらはメルカリで購入。(メルカリ価格の)お値段以上であることは,日々実感している。
 万年筆はPreppy(&Plaisir)で充分と思ってたんだけども,どうやらサファリがメインになる方向。

● これでサファリは万年筆とローラーボールをそれぞれ2本ずつ所有することになった。万年筆はけっこうな頻度で使っているが,ローラーボールの出番はない。
 所有は最小限でいい。その最小限を使い倒すというのが理想なんだけど・・・・・・。

● ところで,今さらかもしれないのだが,中華製サファリがメルカリなどに出回っている件。これって,ラミーがサファリの値付けを盛りすぎているのも一因だよねぇ。軸とキャップは樹脂,ニブはステンレスなのになんで4,500円もするんだよ,っていうやつ(とはいえ,Amazon だと3,000円を切る価格で買えたりする)。
 一方で,4,500円程度の万年筆にも偽物が出回るのかという感慨(?)にも浸りたくなる。元は取れるのかね。って,取れるから出回っているんだろうけどさ。

● 知らずに買ってしまった人は,偽物かどうかなんて確かめないで,本物だと信じて使い続けるのが吉。おそらくだけど,使い勝手や書き味は本物とほとんど違わないんじゃないかと思う。
 その昔,日本経済が世界に冠たる存在感を放っていた頃,香港でブランドものを買うと国内の数分の1ですむよと,ペニンシュラのアーケードに並んでいたショップで買った人は,だいたいは偽物を掴まされていたわけだよね。けれども,本物とほぼ違わないし,さすがにブランドものは違うなぁ,いい買物をしたなぁ,と悦に入ってかどうかは知らないけれど,使い続けたわけですよ。それでいいんだと思いますよ。

● 高額な製品をヤフオクやメルカリのようなネットフリマで買うのは避けた方がいいというのは,利用者のリテラシーに含まれるものだのだろうけど,その高額のラインが4,500円まで降りてきてしまったのかと思うと,なんだかモヤモヤっとしてくるよねぇ。
 ともあれ ぼくが買ったのもひょっとすると偽物かもしれない。と思うと,届くのが楽しみだ。


(追記 2023.05.19)

● この投稿をしてから,You Tube を立ちあげるとこの動画が表示されるようになった。
 6年前の動画だ。本物か偽物かをどこで見分けるかの参考になる。

● 現在,メルカリで出回っている偽物もどうやら同種のものっぽい。
 この動画でも言われているのだが,書き味は偽物もけっこういいようだ。偽物もその程度の努力はしているわけだ
 書き味や使い勝手だけで真贋を判別できる人はまずいないと考えていいのではないか。

● メルカリに出ている偽物の多くは2本で3,800円で売られている。
 意外に高くはないのかもしれないよ

2023年5月3日水曜日

2023.05.03 パーフェクトペンシルのUFOを

● 今度はパーフェクトペンシルのUFOに手を出した。パーフェクトペンシルを使うなら,一番安いKIDSか一番高い伯爵で,中間に手を出すなんて貧乏臭くていけねぇやと思ってましたよ。
 それなのに,9000も買ったし,今回のUFOで中間が揃うことになった。伯爵以外は手元に集まった。

● ちなみに,今回はヤフオクで入手した。5,340円(+送料210円)。貧乏臭くていけないも何もないものだが,UFOはすでに廃番になったようで,Amazonでヨドバシでも “取扱いなし” になっている。
 楽天には14,638円のボッタクリ価格で出しているショップがあるようだけど。

● 次に買うとすれば,伯爵のマグナム。別に大した額じゃない。楽天だと4万円を切る価格で買えるぞ。
 ぼくは10代から長く喫煙者であり続けて,今はやめてるんだけど,1日1箱吸ったら煙草代は年間20万円になるでしょ。それに比べたらパーフェクトペンシルなんて安いもんだよ。
 逆に言うと,喫煙者はそれだけでとんでもない贅沢をしていることになる。ぼくはその贅沢をやめたんだから,鉛筆に4万円なんてのはチャラ過ぎて話にならない程度の贅沢でしかない,一度も使わないとしても。という言い訳はどうですかね。

● まぁ,しかし,言うも愚かながら,これまで購入したパーフェクトペンシルを使ったことは一度もない。鉛筆を使う局面を作れないでいる。これが課題。