2026年6月23日火曜日

2026.06.23 ユニ色ではない高級鉛筆の書き比べ

● 三菱鉛筆が1958年に出した uni は,軸色にも圧倒的な影響を残した。ユニ色は高級鉛筆の色,を定着させた。
 コーリンもアイボールも自社のフラッグシップにはユニ色を採用。自ら,uni や Hi-uni のエピゴーネンになることを指向した。

● もちろん,それを潔しとしなかったメーカーもある。その代表は業界2位のトンボ。
 トンボにもユニ色の MONO がなかったわけではないのだが,そんなのは瞬間的な現象で,それがトンボの主流になることはなかった。MONO シリーズは光沢のある黒で一貫している。
 ので,今回は,ユニ色以外の高級鉛筆を書き比べてみることにする。

● 次の7本。いずれもHBで,頭は丸められている。
 トンボ MONO100
 トンボ MONO
 トンボ MONO-R
 北星 クラフツマン
 北星 9900(HIT)
 北星 9900(Art Set)
 地球 9300(GOLD&BLACK)

● まずはトンボの MONO シリーズ。MONO-J は外している。いずれも〄がある。前世紀のものだ。
 MONO100 と MONO には〈HOMO-GRAPH〉の文字が小さく印字されている。MONO100 のゴールドラインは金属の輪を嵌め込んだものだが,Rの方は塗装。uni とは違った高級感というか,貴族感というか,どんなもんだい感というか,そういったものが溢れている。
 いや,高貴感は uni 以上かもしれない。黒の効果だ。

● uni の場合,Hi-uni,uni,uni-star の違いはほとんど体感できなかったのだが,MONO はどうだろうか。
 3種とも uni より硬い気がする。不快なものではない。硬いから薄いというのでもない。単純に硬い気がするというだけのことだ。

● この3種の違いは,uni と同様に,ぼくには明瞭には知覚できなかった。特に,MONO100 と MONO の違いはわからない。わかる人にはわかるのだろう。少なくとも,メーカーの開発陣はわかっているはずだ。しかし,ぼくにはわからない。
 MONO-R になると,ちょっと違うかなという感じはする。しかし,予めこれは MONO-R だと知っているために,脳が勝手に動いて違いらしきものを作り出しているだけだろう。目隠しテストをしたら,まずもって区別はつくまい。

● 要するに,ぼくのような感度の鈍い人間は1本77円の MONO-R を使っとけという話になる。そういう人間が MONO100 や MONO を使うのは,分不相応というものだ。それが論理的帰結だ。
 MONOシリーズの3種を使い比べて評価めいたことをしようとしているのだが,評価能力があるのかどうか,われながら疑問だ。むしろ,これらの鉛筆を使うことによって,いい鉛筆とはこういうものだと教えられている側面があって,そちらの方が大きいだろう。

● Hi-uni と MONO100 の違いについては,Google の検索エンジンAIが的確にまとめている。
 Hi-uni は「超微粒子の黒鉛を大小混合することで,ムラなく均一で濃い発色を実現して」おり,「芯にややしっとりとした柔らかさがあり,非常に滑らかに書ける」のに対して,MONO100 は「1立方ミリメートルあたり1億個の超微粒子黒鉛を高密度で圧縮して作られてい」るので「芯がしっかりとしており,カリッとしたシャープなタッチで,濃く美しい線を書くことができ」る。

● AI先生の仰るとおりだ。ということは,芯の製造方法のや違いや,使ってみての感想はネットにたくさん上がっているんだろうか。
 上記のとおり,MONO100 は Hi-uni に比べるとタッチが硬いのだ。Hi-uni は女性的,MONO100 は男性的。どちらが好きかは好みによるが,ぼくは Hi-uni を採る。
 ただし,以上はHBの場合であって,Bや2Bで MONO100 がどんなタッチになるのか,どう化けるのか,ひょっとすると Hi-uni を超える仕上がりになっているかもしれないと期待させる。

● 今すぐにでもそれを確かめることはできるのだが,それはしないでおく。ものには順序というものがあるのであって,その順序を自分で決めてしまっている。
 当面,自分が決めたその順序にしたがって鉛筆を消費していこうと思っている。MONO のBや2Bを使うのはもう少し先になる。

● MONO シリーズの3種の違いを明確に知覚するのは無理なのであるけれども,にもかかわらず好みというのは生まれてくる。この3つの中から1つ選ぶとすれば,100やRのつかないノーマル MONO だ。
 不思議なものだ。どれも同じだと感じるのに,なぜ好みが? たぶん,指は脳が感じていないことを知覚しているのだろう。
 理由はわからない。理由は脳が考えることだからだ。脳はわかっていないのだ。けれども,MONO シリーズの中でのぼくの好みはノーマル MONO だ。

● 次に北星のクラフツマンと9900。9900はすでに生産をやめている HIT と Art Set の2種がある。他に,ダイソーで販売されているのもあるのだが,こちらは4Bと6Bしかないので除外。
 ただし,ダイソーで売られているのに高級鉛筆のわけかないじゃないか,と短絡しない方がいいとは思う。こちらの9900も侮れない品質を持っている。

● 北星の特徴は,他社より濃いめで軟らかいということだ。が,書き終えてから MONO で書いた筆線と見比べてみると,濃さはそんなに違わない。錯視とでも呼べばいいのか。
 が,軟らかさは筆線のように跡に残らない。ライヴ感100パーセントというか。だから安心して言うのだが,北星の芯は軟らかい。ここに挙げた3本はいずれもオリエンタル産業(東海カーボン)製だろうけれど,相当に良質な芯なのだろうとは素人でもわかる。

● では,3つのうちでどれがどうという話になるのだが,トンボの3つよりは明確に違いがあるように思われる。思われるのだが,目隠しして当てられるかというと心許ない。
 滑らかさは クラフツマン−HIT−Art Set の順だが,それはこの3本を交互に使っているからわかる(というか,感じる)ことで,目隠しでおもむろに1本を取り出して書き始めてみても,それが3つのうちのどれなのか,おそらくわかるまい。

● 北星の3本はいずれも他社より軸が細め。9500や9606もそうだから,それも北星の特色と言える。
 が,昔の北星はこうではなかった。こうなったのは比較的最近のことだと思われる。

● HIT はすでに生産されていないのだし,クラフツマンも Art Set も12硬度セットで購入するしか入手の方法はない(Art Set については,サードパーティーが Amazon で硬度別の販売をしているが)。入手に難があるのが残念だ。
 要するに画材として扱われてる。その扱いじたいに反論はないが,一般筆記に使いたいという人にはなかなか厳しい状況だ。事実上,選択肢から外すしかないのが現実かもしれない。

● メーカーはクラフツマンを硬度別でも売りたいはずだ。しかし,クラフツマンを独占的に扱っている Standard Products の方針は違うらしい。
 Standard Products は硬度別の販売を開店時の初回入荷分のみに限定し,それが売れた後の補充はしない。12硬度セットで売りたいようだ。
 Standard Products には Standard Products の考えと都合があるのだろうから,傍からとやかく言うことではないのだが,一般筆記に使う鉛筆としては選びにくいというのが現状だ。

● 地球の GOLD&BLACK。地球鉛筆のフラッグシップはこれだったのだろう。書き心地も良好だ。
 すでに消滅しているメーカーだし,北星の3本(いずれも〄は入っていない)より古いものになるのだと思う。
 ということもあってか,クラフツマンほどの滑らかさはないのだが,ではあっても充分に滑らかだし,芯先から伝わってくるフィードバックもなかなかに快適だ。こういう鉛筆を使って,文句を言ってはいけない。

● 北星の3本も地球の GOLD&BLACK も,先ほどの uni 型か MONO 型かでいえば,明らかに uni 型。国産鉛筆のほとんどは,uni を範にしているように思われる。しっとり感を大事にしているとの印象を受ける。
 カチッとした MONO 型はトンボの独自路線。そのトンボにしても8900は uni 型に属する。

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