けれども,この期に及んでなお,使ったことのない鉛筆があると欲しくなる。
ないなら買って使ってみたくなる。使ってみて何がどうなるわけでもない。3分も使えば気がすむだろう。入手した瞬間に気がすんでしまう可能性もある。
● こういうとき,どうするか。そういうときは在庫の保管車(?)を見ることにしている。買ってはいかんと即座に結論が出る。
鉛筆は使うものであって,語るものではないのだ。“語る” にはカタルシスがあるので,ついそちらに行きたくなるのだが。
● 考えてみるがいい。この世に存在した鉛筆で,現在入手可能なものをすべて使うなんてことはおよそ非現実的だ。
それは世界には40億人の女性がいるのだから,その全員と付き合って,その中から結婚相手を探そうとするようなものだ。進捗率0.00000001%の状態で自分の寿命が尽きているだろう。
鉛筆の場合はそこまでではないだろうけれども,もっと時間を大事にしろと言われて然るべきだ。
● この単純な理屈が,しかし,通用しないのが好き者の世界なのだな。そういうアホなことをやってようと本気で思ってしまったりする。軽い狂気だな。
欲望を野放図に解放してしまうのだ。鉛筆は安いからなおさらだ。
● しかし,そうした欲望を抑えたあとの清々しさ,快感もある。それを自分に教えこまないといかんよね。
でも,できるかな。何となく,何となくだけれども,自信がないんだよね。
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