2016年11月30日水曜日

2016.11.30 価値はすべてセンチメンタルバリュー

● 普通,ノートなんて何だっていいと思う。ぼくも基本,何だっていいと思っている。さほどにこだわりはないつもりだ。
 だからこそ,価格第一でダイスキンを選びだし,ずっとダイスキンを使っているわけだ。

● たまたま,ダイスキンは使い勝手も良かったし,モレスキンより万年筆との相性が良かった(すべての万年筆インクがOKというわけではなさそうだが)。
 けれども,仮にダイスキンの品質がもっと粗悪なものであったとしても,おそらく使っていたと思う。万年筆がダメならボールペンもあるわけだからね。

● “モレスキン”でググると目も眩むほどのサイトが出てくるが,モレスキンユーザーはこだわり派だろう。何せ,1冊2千円のノートを使っているのだ。
 モレスキンのどこにこだわっているのかは,ぼくにはイマイチ不明なのだが。

● で,考えるわけだ。モノの価値っていうのは,つまるところセンチメンタルバリューでしかないのではないか。
 これが価値だと誰の目にも見える形で屹立している価値っていうのはないのじゃないか。

● モノやサービスを選ぶとき,多くの人はコスパを基準にするだろう。コスパ重視は貧乏人の発想だと揶揄する人もいるけどさ。
 ただ,コスパといっても,どこを重視してコスパを判断するのかは,人によって違うだろう。
 換言すれば,コスパをまったく考えない人はいないのではないか。“コスパ重視は貧乏人の発想だと揶揄する人”も含めて。

● モレスキンユーザーもコスパでモレスキンを選んでいるのだろう。モレスキンユーザーにとって,モレスキンは安いのだ。
 彼らのセンチメンタルバリューをわずか2千円で満たしてくれるのだ。

2016年11月24日木曜日

2016.11.23 うさぎや,ANGERS,LoFt

● JR自治医大駅前の「うさぎや書店」を覗いてみた。正確にいうと,「うさぎや」の文具売場を。

● ぼくはダイスキンをこよなく偏愛しているのだが,ダイスキンの良さは何かといえば,第一には価格だ。安いことだ。第二にはサイズだ。
 で,サイズということになれば,このサイズを普及させたのはモレスキンの功績に帰していいだろうと思う。もちろん,モレスキンの独創ではない。モレスキン以前から存在していたものだろう。
 であっても,普及させたのはモレスキンだとしてもよいのではないか。
 
● モレスキンサイズのノートは,ほかにもたくさんある。ロディアも出しているし,ジークエンス360ノート(Miniサイズ)もそうだし,Lanybookもそうだ。
 で,自治医大駅前の「うさぎや」にはre-Collection謹製の“モレスキン”があった。ラージもあるしポケットもある。ハードカバーもあるし,ソフトカバーもある。

● ポケットのハードカバーは900円(税別)。中紙は104枚とモレスキンの96枚より少し多い。無地,方眼,横罫と,3種の神器が揃っている。厳密にいうと,縦の長さはモレスキンより少し短いようだ。
 ゴムバンドもある。ポケットは付いていないのじゃないかと思うけど,紙質や造りがモレスキンより悪いとは考えにくい。モレスキンをモノサシにすれば,このノートはかなり安いということになる。

● ソフトカバーの方は350円のと650円のとがあって,何が違うのかよくわからなかった。650円の方が,ほんの少し大きいような気はしたけど。
 ダイスキンに飽きたら,このノートを使ってみてもいいかなと思って,ハードとソフトの両方を持ってレジに行ったんだけど,そのとき店員が席をはずしていた。
 電車の時間が迫っていたので,結局,売場に戻して店を出た。ま,こういうこともある。

● 上野駅構内のANGERSを覗いてみた。売場に変化はなし。ここで何か買いたいと思うのだけど,今回も何も買わずに終わった。

● ロフト川崎。ロフトには「ほぼ日手帳」があるのが特徴。贈答用に今年は本体と「ほぼ日の週間手帳」をすでに購入している。自分では使わないので,今回はサッと見た程度。
 ここでも欲しい文具はない。300円システムで充分だ。過不足がないのだ。

2016.11.22 ダイスキンを使い終えた

● ダイスキンを使い終えた。何冊目になるのか。9月28日が初日だから,56日間。だいぶ長く使ったことになる。

● その理由は単純だ。書かない日があったからだ。1週間,書かない日が続いたこともあった。
 書かない日とは書くことがなかった日ではない。ストレスに負けて,書けなくなっていた日だ。

● 本当はね,そういう日にこそ,“書く”ことの効果が発揮されるんだと思うんですよ。書くことによって,ストレスを追いだして,いわば外部に固定してしまう。
 また,そういうときこそ,珠玉(?)のようなメモを書けるに違いない。

● それをみすみす何も書かずにすませてしまうとは。その理由もはっきりしていて,要は打たれ弱いからだよね。ストレス耐性が極度に低いというか。
 “書く”ことに向き合えないんだもんね。“書く”ことに向き合うとは,ストレス源になっている出来事と対峙するということだからね。それを避けてしまうんだよね。

● 逆に,“書く”をどうにか工夫することによって,“書く”ができるようになれば,ストレス源の手なずけ方も巧くなるのかもしれない。
 願わくば,そういう強い(っていうか,それが普通か)人間になりたいものだなぁ。

2016年11月18日金曜日

2016.11.18 耐水性-浸水事故に備えよ?

● ただ今使用中のノート(メモ帳)を水の中に落とす,あるいは雨に濡らす。すると,文字は滲んでしまって,たぶん読めなくなる。
 水性染料インクで書いているからだ。

● それを避けようとすれば,油性ボールペンで書くか,水性でも顔料インクを使うことになる。紙のノートに書いた文字が読めなくなるとすれば,最も可能性が高いのが,水濡れだろう。
 めったに起こらないことだとしても,ここのところは考えておいた方がいいのかもしれない。

● それを避けようとする究極の方法は,デジタル化してネット(クラウド)にあげておくことだ。こうしておけば,床上浸水の被害に遭おうが,大雨で天井が抜けるようなことがあろうが,ノートにお茶をこぼそうが,ビクともするものじゃない。
 かといって,アナログで書いたものをデジタルに変換するのは,現実問題としてやっちゃいられない。では,パソコンやスマホでメモを取るか。あり得ないや,そんなのは。

● 結局,Preppyではなくジェットストリームで書いた方がいいのではないかというあたりになる。耐水性を考えて備えるのであれば,“紙+油性インク”が最善。現実的な方法という枠内で考えればね。
 あとは書き味の問題。ぼく一個はいくら耐水性といっても,染料インクの(つまり,今使っている)万年筆で書いていくのがいいなと思っている。今さら,Preppyは捨てられない。

● というわけで,目下のところは,そういう事故が起きてしまったら仕方がないと思い決めて,水性染料インクのPreppyを使い続けよう。
 Preppyでも顔料インクを使うことはできるはずだけど。プラチナには顔料インクのカートリッジがあったものな。ただ,Preppyで顔料インクというのも大仰のような気がする。

● 正直,あまり考える必要もないような気がする。耐水性のペーパーも出ているけれど,特殊な職業の人でない限り,あまり必要としないだろう。
 トラベラーズノートを文字どおりのトラベラーズノートとして使うなら,水性インクではまずいだろうし,トラベラーズノート本体を防水仕様にしてくれと言いたくなるかもしれない。トラベラーは“特殊な職業”であるかも。

● 測量野帳には耐水ペーパーのものがあるけれど,できたのは最近だ(と思う)。それまでは普通の紙の測量野帳を雨の日にも使っていたのだろう。いや,今だってそうしている人の方が多いと思う。
 そういうふうにやりくりしながら使っていくのが,むしろ本来の使い方ように思う。

2016年11月17日木曜日

2016.11.17 老後の夢-SYSTEMIC

● 300円システムはメモ帳の話だ。他に,手帳がある。手帳はバイブルサイズのBindexを長らく使用中。
 完全引退まであと5年なので,それまでは今の方式をそのまま使っていこうと思っている。

● その5年の間に手持ちのダイスキンを使い切りたい。それ以後はコクヨのSYSTEMIC(A6サイズ)でメモと手帳を運用していくつもり。
 手帳はダイソーのA6マンスリーを,メモ帳はCampus。

● 仕事をしなくなった暁には,手帳はマンスリーでも持てあますだろう。いや,かえって書くことが増えたりするか。
 仕事の用件って,そもそも気が進まないものだから,手帳に書くことじたいも気が進まない。隠居してそうしたものがなくなると,手帳に向かう障壁がなくなるわけだから,かえってたくさん書くようになるかもしれないな。
 って,それじゃ何のための手帳だよ,ってこってすな。

● ま,そういうことにはならないだろう。それは手帳ではなく,メモ帳に書いておけばいいものだしね。手帳は見開き1ヵ月のマンスリーで足りる。
 実際のところは,今だってマンスリーでこと足りるんだけど。

● 小さい鞄にSYSTEMICと財布とスマホだけを入れて,いろんなところに出没する老人になるのが,只今現在の夢だ。
 だいそれたことではない。ただ,健康でいなければそれも叶わない。健康のためにわざわざ何かをするというのは,それじたいが不健康だと思えるので,健康のために何かを始めるつもりはない。何もしないでも健康でいたいぞ。

2016.11.16 300円システム礼讃

● Preppyに41本目になるカートリッジを装着した。モノである以上(しかも,いつも持ち歩いて常用しているのだから),いつかは壊れる。
 ただ,ひょっとすると自分が壊れる方が早いかもしれないと思えてきた。

● Preppy,よくもってくれている。200円のチープきわまるペンといえど,これだけ使った万年筆は他にない。どれだけ万年筆運がなかったかってことだなぁ。
 愛着がある。ぜんぜん飽きも来ない。

● ダイスキンもとてもいいノートだとあらためて思っている。ノートとして必要な機能はすべて備えている。固くて厚い表紙に96枚の中紙。
 逆に,要らないものはキチンとない。モレスキンにはあるポケット,型押しのエンブレム。そういうものはない方がいいのだ。
 ダイスキンはあるべきものがあって,ない方がいいものはない。つまり,最高のノートなのだ。

● その最高のノートにPreppyで書く300円システムは,じつに贅沢な組合せではないか。300円なのだから,使いたければ誰でも使えるはずだ。貧富は関係ない。
 つまり,筆記という行為に関しては,完全平等がすでに達成されている(とっくの昔にそうなっているわけだけど)。

● で,筆記さえできれば,勉強は自分でできる。高校や大学に行くかどうかはあまり関係ない(小学校で文字を教えてもらう必要はあるが)。

2016年11月12日土曜日

2016.11.12 ボールペンやローラーボールのリフィルアダプター

● 管未里『文具に恋して。』を読んでいたら,リフィルアダプターという言葉があった。
 読んで字のごとしで,メーカーによって形が違う(したがって互換性がない)ボールペンのリフィルのアダプターだ。形の違いを吸収して,A社のリフィルをB社のボールペンで使うことができるようになる。

● この場合,使いたいボールペンはモンブランであったり,パーカーであったり,ラミーであったり,様々であろうけれども,使いたいリフィルはたぶん,三菱のジェットストリームだけだろう。ほとんどの日本人にとって,そうなのではないか。
 モンブランでジェットストリームのリフィルを使いたい,パーカーでジェットストリームのリフィルを使いたい。そういうことになるだろう。
 ま,中にはフリクションのリフィルをモンブランで使いたいという人もいるかもしれないが。

● で,とっくにそういうことができるようになっていたんですねぇ。まったく知らなかったですよ。
 モンブランやパーカーでジェットストリームを使えるんですねぇ。ということは,そうしている人はたくさんいるでしょうね。

● 急いでネットを経巡って,情報を集めたんだけど,ローラーボール(水性ボールペン)にもリフィルアダプターはあるらしい。
 が,クロスのローラーボールに国産のリフィルを使えるようにするアダプタがあるのかどうかは,わからなかった。

2016年11月10日木曜日

2016.11.10 菅 未里 『文具に恋して。』

書名 文具に恋して。
著者 菅 未里
発行所 洋泉社
発行年月日 2016.10.07
価格(税別) 1,200円

● 著者は「文具ソムリエール」。文具雑誌やムックなどにも頻繁に登場していますね。
 文具ソムリエールとは何かといえば,「私が「あ,いいな」と感じた文房具をご紹介しているだけ,とも言えます。あえて特徴を探すならば,その「いいな」の内容に,機能性よりも見た目や手触り,音などの感性面が目立つことでしょうか」(p2)とのこと。

● 感性面? たとえば,次のようなことだ。

 そのとき,今まで聞いたことのない音がしたんです。箱の中で鉛筆どうしが当たる音でした。「カラカラ」というほど乾いてはおらず,でも「コンコン」というよりは軽やかな,独特としか言いようのない音です。私はその音にすっかり魅了されました。(p77)
 本来が実用品である文房具を感性で選ぶのは,なんだか変な話です。普通は感性よりも機能性が重視されると思います。 でも,実は感性にはとても大切な意味があります。人と人をつないでくれるからです。(中略)誰でも五感で世界を感じていますから,最初に他者に触れるのは五感のいずれかです。(p81)
 ノートや手帳の紙には繊維が粗いものと細かいものがありますが,私は粗いほうが好きです。それは,鉛筆の黒鉛が繊維の隙間に「入っていく」イメージが浮かぶからです。(中略)繊維が見えるような紙に6Bの鉛筆で字を書くと,ゾクゾクします。(p88)
 削り終えてふと紙の上を見ると,削りかすたちがなんともいえない,美しいカーブを描いていたんです。綺麗に向かれたリンゴの皮を,さらに複雑にしたようなカーブです。削りかすに魅力があるなんて,知りませんでした。(p94)
 実は鉛筆は,さらに別の魅力も秘めていました。それは香りです。(p97)
 文房具の特性のひとつは常に自分の視野に入るということですが,好きな色が見えていたら気分も変わりますよね。色は特に重要な要素です。(p112)

● その文具ソムリエールがお気に入りの文具をいくつか本書でも紹介している。

 私の脚が,ある諸ケースの前で止まります。そこには1本のシャープペンシルが飾られていました。(中略)トンボの「ZOOM707」。異色のデザインでした。私の目はくぎ付けになり,胸は高鳴りました。こんなに素敵なペンが世の中にあったなんて・・・・・・。それが初恋でした。(p17)
 アルバイトをはじめて真っ先に買ったのがモレスキンのノートです。(中略)興味を持ったきっかけは「どうしてこんなに高いんだろう」という驚きでした。(中略)でも同時に,素敵だとも思ったんです。(p23)
 パーカーに「ジョッター」という有名なボールペンがあります。ベーシックな「ジョッター フライター CT」が1620円で売られていますが,パーカーを象徴する矢羽クリップといい,飽きのこないデザインといい,価格以上の満足感を得られます。(p53)
 その日の主役が紙なのか筆記具なのかは,気分によって変わりますよね。筆記具の日なら紙には控え目でいてほしい。 控え目というと,たとえばコクヨの「キャンパスノート」はとっても優秀です。(p87)
 私が大好きなペンのひとつに,ぺんてるの「サインペン」があります。108円で買えるこのペンも,高級ペンに負けない魅力を秘めているんですよ。(中略)安価な文房具のいいところは他にもあって,それはデザインがシンプルなことです。サインペンもそう。凝ったデザインは好き嫌いが分かれますが,シンプルなら万人に好かれます。(p120)
 一般に男性のお客様は直線的,女性は曲線的なものを好まれますが,直線的であるしかないペンに,巧妙に曲線を馴染ませたのがカヴァリエです。(p129)
 ラッションプチは,寺西化学工業製品とは思えないくらい「不親切」なペンです。何が不親切って,ペンのどこにも日本語が見当たらないんですよ。(中略)それが,女子高生を惹きつける可愛いデザインになっているんです。(p153)

● 著者の人となりを示唆するエピソード。

 文房具のおかげでなんとか,思春期を乗り切ることができた(p16)
 大学時代の私の情熱の対象は文房具以外にもありました。ひとつは,『CanCam』『JJ』などの,いわゆる「赤文字系」ファッション誌です。(中略)モデルさんたちが使う文房具が気になったからです。(中略)そのうち,あることに気づきました。私が好きなストーリー仕立ての記事には,しばしば主人公たる女性のペットが登場します。面白いのは,そのペットの名前に「ココア」とか「モカ」とかカフェ関係が多いことです。私はペットの名前を追うことが楽しくなり「ペットの名付けと飼い主の性格特性」というテーマで卒論を書くことにしました。(p26) 

  これが卒論のテーマになるのか。社会学部? 文学部? 目からウロコ。卒論って楽しんじゃっていいものだったんだ。苦しみながら書くのは外道かもしれないね。ぼくは卒論って書いたことはないんだけどね。

  考え事が多い日は本を持たずにお風呂に入ることもありますが,手ぶらということはありません。お風呂で浮かぶアイデアって多いじゃないですか。シャンプー中は両手が泡だらけだからメモがとれないのでは,と心配なさる方もいらっしゃるかもしれませんが,不思議なことに,何か思いつくのは決まって湯船の中なんです。(p43)

● その他,いくつか転載。

 外国製ボールペンはインクが「硬い」傾向があり,ぎゅっと筆圧をかけて,かつ,それなりの筆記速度で書かなければインクの出がいまいち,ということがたびたび起こります。(p63)
 海外製ボールペンの書き味に違和感を覚える方向けに,サードパーティー製のリフィルアダプタが売られています(実は私も,モンブランの中身をそっとジェットストリームに替えています)。(p64)
 私の見る限り,ペンなら,ご自分用にお買い求めになる価格の上限がだいたい5千円くらいです。つまり5千円以上のペンは,他人から貰わない限り,自分のものになる機会がないんです。(p69)
 もっとも需要があるのは事務用品で,社員に文房具を配らなければいけない会社がまとめ買いをしてくれていたんですね。ところが2008年のリーマンショックにより,社員向けの文房具の需要ががくんと減ったといわれます。コストカットのためです。 会社からの受注が減ると,メーカーは今まで以上に個人にも目を向けるようになります。その結果,どの文房具もデザインを競うようになりました。(p108)
 女性の存在感は,文房具界では大きいんです。(中略)実は,「大口の顧客」には,女子高生もいました。(中略)女子高生ってカラーペンを大量に持っているじゃないですか。彼女たちは文房具界にとっての大切なお客様なのです。(p109)
 私はいつも思うんですが,文房具って趣味としてはコストパフォーマンスが抜群にいいと思うんですよ(万年筆は確かに高価ですが,文房具全体から見ると例外です)。(中略) 3千円でハイエンドに手が届くんです。普通,物の値段は「エントリークラス」「ミドルクラス」「ハイエンド」をいうふうに分かれていますが,ボールペンは二極化しています。ミドルクラスが極端に少ないんです。ハイエンドの価格が,それほど高くないせいでしょうか。(p116)
 筆記具は価格による機能差がないか,非常に小さいという,とても珍しい実用品です。(p125)
 男性のお客様がお買い求めになるペンの色は,だいたいが黒かシルバーに落ち着きます。(p138)
 「イエローベース」と「ブルーベース」という言葉を聞いたことがある女性は多いと思います。(中略)イエローベースの肌の方は,落ち着いた色のペンを選んでみてください。対して,ブルーベースの肌の方には,ビビッドな色が映えます。(p141)
 男性にとって永遠の定番といわれるのが,黒とゴールドの組み合わせです。ベーシックで,どんな場面にも馴染みます。でも私は,若いうちに買わなくてもいいと思うんです。この色は歳を重ねても似合う色ですから。若いうちは青系の色を楽しんでおくのがいいのではないでしょうか。(p146)
 歳を重ねた男性は恰好よさの「加点」を狙うよりも「減点」を減らしていくスタイルのほうがいいと思うんです。(中略)減点,つまりお腹が出ているとかズボンがヨレヨレだとかの「恰好悪い要素」を極力なくすだけです。(p148)
 20代や30代の女性では,白系や,白にゴールドのカラーをお買い求めになる方が多いですね。(p156)
 百貨店のスタッフの間ではよく知られているらしいことなんですが,お子さんがいるような歳の女性への贈り物は「華やかなものを選ぶべし」が大原則です。地味じゃダメなんです。(中略)真っ赤だと幼くなってしまいますから,原色ではなく少し深みのある,たとえばルビーレッドなどはいかがでしょう。(p157)
 ボールペンをご希望の場合,私ならば,この段階で3本のボールペンをお出しします。3本になるのは,あまりたくさん出してもお客様を混乱させるだけだからです。選択肢となる本数は,経験上3本が限界だと感じます。(p164)

● ぼくはダイスキン+Preppyの300円システムでやっているし,これからもそうであり続けるつもりだから,文具ソムリエールのお世話になるような高みに登ることもないと思う。
 だけど,文具好きあるいは文具フリークの話を聞くのは大好きだ。この本も面白く読みました。

2016年11月9日水曜日

2016.11.09 測量野帳スタイルブック

編者 清水茂樹
発行所 枻出版社
発行年月日 2016.11.10
価格(税別) 1,200円

● コクヨの測量野帳。その測量野帳について,これほど詳しい解説がなされるのは初めてではないか。
 「もともとは測量の現場で使うために開発された業務用ノート」だけれども,サイズや堅牢さ,価格の安さが受けて,一般用途にも使われるようになった。
 LEVEL BOOK,TRANSIT BOOK,SKETCH BOOKの3種がある。一般用途に向いているのは,3㎜方眼のSKETCH BOOKだろう。

● 実際のユーザー(ヤチョラーというんだね)がたくさん登場する。いろんな使い方がされている。しかし,その「いろんな」は,たとえば『ほぼ日手帳公式ガイドブック』に出てくるものと,あまり変わらない。
 何を使うかの違いであって,どう使うかは共通している。多いのは絵を描くのと,何かを貼るというやつ。

● メーカーが想定しない使い方をしているユーザーはかっこよく見える。たとえば,TRANSIT BOOKを横に使って,スケジュール帳にしているという人が紹介されている(p26)。立派な創造だろう。TRANSIT BOOKをこんなふうに使っているのかと,新鮮な印象を受ける。
 もっと些細なことだけれど,LEVEL BOOKを普通の横罫ノートとして使っている人もいる。縦線に影響を受けない。たったそれだけのことだって,独創的な使い方だ。

● 測量野帳は素晴らしい国産のプロダクトだと思うんだけど,トラベラーズノートも素晴らしい。ダイスキンも素晴らしい。ぼくが知らないだけで,他にも素晴らしいノートはあるだろう。
 トラベラーズノートと測量野帳は用途においても競合しそうな気がする。旅の記録を残すのにも,測量野帳は便利に使えそうだ。どちらも事務系よりもクリエイティブ系のユーザーが多いのじゃないだろうか。
 ハトメパンチを使ってゴムバンドを取り付ける方法も紹介されている。ゴムバンドを取り付ければ,部厚くなっても大丈夫だ。

● 測量野帳はぼくも4冊ほど買って持っている。買った先はコンビニのファミリーマート。
 つまり,無印良品版の測量野帳だ(間違いなく,コクヨのOEM商品)。表紙は緑ではなく黒。無印の商品名は「手のひらサイズポケットノート」。税込みで180円。が,まだ手つかずで未使用のまま。

● 使ってもいないのに,このように決めつけるのはいかがなものかと,われながら思うんだけど,自分にとっての使い勝手からすると,ダイスキンを超えるものはないと思っている。
 まず,無地や方眼より横罫がいい。表紙が厚いから,立って書くのも楽(ここは測量野帳も同じ)。
 価格がきわだって安い(測量野帳もかなりリーズナブルな価格だけれども)。したがって,惜しみなく使える。

● さらに,Preppyとの相性が抜群。もちろん,Preppyはトラベラーズノートにも測量野帳にも問題なく使えるはずだけれども,相性という点では,たぶんダイスキンの紙が一番かな,と。
 あと,中紙。測量野帳の40枚に対して,ダイスキンは96枚。

● というわけで,ぼくはこの先もダイスキンを使っていくつもり。半端ない量の在庫も抱えているしね。

2016年11月5日土曜日

2016.11.05 日経WOMAN 2016年11月号-なりたい私に近づく! 最高の手帳

編者 安原ゆかり
発行所 日経BP社
発行年月日 2016.10.07
価格(税別) 602円

● 日経WOMANの11月号は,毎年,手帳の特集。しかし,読む側のこちらに変化がある。どういう変化かというと,手帳「術」にあまり興味がなくなったという変化だ。
 なぜ興味がなくなったかというと,そろそろ定年を迎える年齢になったからだ。

● 手帳というと,何だかんだ言って,仕事の生産性を上げるのが目的。約束や締切りを忘れないように書いておくというのが,手帳の使い方の第一歩だと思う。それも仕事の効率を落とさないための備忘録だ。
 で,仕事の生産性を上げるということへの興味が薄れてきたというわけだ。

● この雑誌でも仕事への備えとして手帳を工夫して使っている人たち(雑誌の性格上,すべて女性)が登場する。凄いなぁと,ぼくは素直に感嘆する。
 それそのものが,もうぼくにはできないだろう。

● 巻頭のインタビューは石原さとみ。彼女の手帳術を訊いているわけではないが,ノートを使っているという話が出てくる。普通の大学ノートらしい。