2016年7月21日木曜日

2016.07.21 文房具から事務用品へ

● 『日本懐かし文房具大全』(辰巳出版)の冒頭に次のような文章がある。
 一般に,文房具などの流行というものは,学校ではじまり,学校で終わるものだった。学年が進むにつれ,使う文房具の数は少なくなり,卒業すると,基本的には実用一辺倒の事務用品を使うことが多くなる。せいぜい携帯用のペンと手帳に個性を発揮するのが関の山となる。(p5)
● ここから推測されるのは,文房具は実用一辺倒のものではないということだ。少なくとも,この本ではそのように文房具を定義しているのだろう。
 文房具とは,本来の用途のほかに,それを使って“遊べる”ものである。その中には“集めたくなる”も含まれる。

● となると,文房具を使う時期は,小学生で終わるのが普通かな。中学生になると,実用性一辺倒のものを揃えるようになる。
 ここでも男子よりは女子の方が,実用一辺倒になる時期は遅いというか,遊びを抱えている時期が長いように思う。熟女と呼ばれる時期になっても,遊びを感じさせる文房具を持っている人もいる。

● 男子はさっさと実用一辺倒に行くんだけど,遊びの代わりにステータスを持ちこむきらいがある。ステータスというと大げさかもしれないけれども,文房具の価値のひとつに“金額”を持ちこむ。女子にとってのアクセサリー的機能を文房具に担わせるといいますか。
 ただ,文房具を遊びの直接の素材にするのは,小学生で終わるでしょ。

● してみると,ぼくら大人は「実用一辺倒の事務用品」しか使わずに,小学校卒業以後の長い余生を送らなければならないのか。
 文房具以外の遊びを次々に見つけていくんだから,何も文房具で遊ばなくてもいいんだけどさ。

● しかぁし,大人ともなれば,「実用一辺倒の事務用品」からでも遊びを引きだせるようでありたいと思いますね。文具マニアとか文具ファンとか呼ばれている人たち(の少なくとも一部)は,それができている人たちなのではないかと思う。
 文具を使ってする「知的生産の技術」にではなく,文具を使うことそれ自体が好きなのだ(と思う)。ということは,文具で遊べているということだよ。

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