2014年9月4日木曜日

2014.09.04 『文房具スタイル』

発売所 ワールドフォトプレス
発行年月日 2006.12.05
価格(税別) 1,524円

● 525,000円のキーボードが紹介されている。輪島漆塗りのキートップ。もちろん,文字は刻印されていないから,タッチタイプができる人じゃないと使えない。今どきは,たいていの人がタッチタイプはできるんだと思いますけど。
 でも,このキーボード,まだあるんだろうか。

● 「手帳やノートといった文房具は長らく貴族階級のものであり,広く一般に活用されるようになるのは民主化の機運が高まる18世紀以降のヨーロッパでのことだった」(p102)らしい。
 そうだったのか,元々は貴族のものだったのを,ぼくらは使っているのか。って,そりゃそうだよねぇ。それ以前のヨーロッパじゃ,大衆のほとんどは読み書きができなかったろうからね。文字を操れることじたいが,貴族的なるものだった。

● 文具は知の生産のための道具だ。ノートと筆記具は直接そのために使われる。それ以外のすべての文具も,それを後方から支援するためにある。
 文具の魅力ってここに由来するんでしょうね。知の生産のための道具だっていうところ。鉛筆1本にも高貴さのようなものが宿っているかに思われるんだけど,それは知を生むための道具だからなんでしょうね。
 知の中身は問わない。落書きでも雑記でも知の生産(あるいは知の発露)に違いない。読み書きができなければ,落書きもできないわけだ。落書きができるようになる,それだけでも文字を習う価値はあるものだろう。

● 「自分の手で書くのがどんなに楽しいかを知っている人は,素敵な暮らしをしている人だという。でも現実はどっぷりパソコン漬け。自分で書く機会はどんどん減っている。ゆえに,自分で書く楽しさも減っているというわけ」(p107)というのは,業界代表的な言い方だけれども,たしかにそういうことってあるんだよなぁ。
 効率とか生産性とかというのとは無縁の世界で,書くことを楽しむ時間は持っていたいと思いますねぇ。

● 巻末の広告がウィルコムのW-ZERO3。懐かしかった。これ,けっこう欲しかったな。Windows Mobileを搭載したPHP。機能てんこ盛りのシャープ製端末。
 「うれしいのは,パソコンと同じQWERTY配列のスライド式キーボードを搭載していることだ」なんて書いてある。そうだった,そうだった。超小型のパソコンじゃん,しかもテレビも見られるんだ,とか思ってましたね。
 わずか8年前ですよ。今や,このタイプのガジェットは影も形もなくなった。iPhoneとAndroidが席巻し,キーボードが付いているのはひとつもない。BlackBerryも日本からは撤退したし。ユーザーはタッチパネルでの指先入力を選択したということだね。

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