2022年1月19日水曜日

2022.01.19 土橋 正 『文具上手』

書名 文具上手
著者 土橋 正
発行所 東京書籍
発行年月日 2012.08.03
価格(税別) 1,500円

● その道の達人に文具の使い方を取材したもの。一度読んでいるので,今回は再読。と思ったら,二度読んでいたので,今回は3度目だった。

● 以下に転載。
 マイクさんがそうしたポスタルコのプロダクトを作る上でこだわっているのが「なぜか好き」という感覚。(p10)
 「Design」という言葉の頭文字「De」には「切る」や「判断する」といった意味がある。「Decide」「Decision」など「De」がつく言葉は,そういう意味を持っているものも多いのではないかとマイクさんは考えている。たくさん集めた情報から,そのプロダクトに合致したものだけを選び出し,それ以外は切っていく。たくさんの可能性がないと,縮めるときにうまくいかず,ありきたりのアイデアになってしまう。そのため前工程の広げる時にタップリと膨らませておくことが大切だという。(p12)
 たとえば,4種類のペン,そして4種類の紙があれば最大で16通りの書き味ができる。(中略)この違う書き味という状況をマイクさんはある意味無理やりつくり出している。(中略)こうすることで「癖が溶ける」ようになるという。(p15)
 お気に入りのペンを極力使わないとは言え,マイクさんがペンを選ぶ上で大切にしていることがある。それは(中略)表情豊かな線が描けるものであること。そのため鉛筆の種類がとりわけ多い。一方,紙についてはそこらへんにある,それこそコピー用紙や裏紙,またはチラシの裏面といったものをこだわりなく使っている。(p16)
 以前はポスタルコのノートブックを使っていたが,ノートブックだと,どうしてもずっと同じ紙になってしまうので,最近では「スナップパッド」の出番の方が増えている。(p16)
 「スナップパッド」は,A5サイズ,以前使っていたノートもA6と比較的小さめだ。これは(中略)持ち運びやすさを考えてのことだ。机という日常空間ではなかなかいいアイデアが浮かばない。特に気に入っているのが電車の中。決して大きくはないその紙面に小さな文字,そして絵を描き込んでいる。(p16)
 文具は見えないものを見えるようにしてくれるものだと思います。たとえば時間は目に見えません。その時間を見えるようにしてくれるのが手帳です。(p22)
 ある程度頭の中でイメージが出来ている時は,それを形にしていくのにこのスケッチブックが最適だという。この段階でいきなりパソコンを使ってしまうと,「考える」というよりも「作業」に集中してしまう。(p50)
 一文字一文字とても丁寧に書かれているので,てっきりタップリと時間をかけて書いているのかと思っていたが,そうではなかった。(中略)川口さんは書く内容がある程度決まったら,なるべくペンを止めずに一気に書いてしまう。(p51)
 電子手帳のPalmからペンと紙に持ちかえた時だ。(中略)Palmの時よりも記憶にしっかりと残るようになった。フリーハンドで書いているという点は同じなのに,どうして記憶の残り方が違うのだろうかと,杉原さんはそのことが不思議だったという。(p62)
 仕事をするのにたくさんの道具はいらない,最低限である方がいいということ。なぜなら,少ない方が文具をコントロール下にしっかりとおけるということがあるからだ。たくさんありすぎるとその主従関係がついつい逆転してしまう。(p65)
 平澤さんは,そもそも黒インクがあまり好きではなく,絵を描く時は色のついたインクを手にすることが多い。色がある方が紙の上に書いたものが定着する。(p72)
 初期のスケッチは必ず手描きと決めているわけではない。(中略)では,どんな場面で平澤さんはペンと紙を手にするのか。それは,いいデザインがどうしても思い浮かばず「もがく」時だという。(p75)
 パソコンはすでにでき上がりつつあるイメージをおりキレイにまとめるもの。それに対して,ペンと紙は全くゼロから考えてイメージを作っていくツール。(p81)
 このスリップオンのケースに入れたロディア,そしてペンは,オンオフに限らず常に持ち歩いている。オンの時はワイシャツの胸ポケット。オフの時は(中略)す損の右前ポケットという具合に定位置が決まっている。(p87)
 日野さんのタスク術は,このロディアで全てのタスクを受け止めることから始まる。仕事やプライベートも含め,思いついたことは,1案件1ページごとにどんどん書き込まれる。それは徹底されていて,たとえば新聞を読んでいて気になる記事があったとする。そうしたら,ロディアに「○○新聞○○記事を後でクリップする」ということまで書きとめる。ついつい頭の中で覚えておこうとしてしまいがちなことまで全て書き込んでしまう。そこには一切の例外もない。(p87)
 普段なにげなく使っているペンだが,実は私たちが思っている以上に,その時に手にするペンに影響を受けている(中略)どんなアウトプットをするのかということを意識した上で,私自身も改めて自分のペン選びを見直してみたいと思った。(p123)
 本部長という立場なので対外的に,比較的ポジションの高い方々とお会いすることも多い。手帳はそうした方々とのミーティングでも出すことがあり,相応しい見栄えという点でも気を使っている。(中略)最先端の輸入雑貨を扱う「PLAZA」の役職者として,それに相応しいものという目でも実はこの手帳は選ばれていたのだ。(p129)
 こだわらないというのは文具に対して消極的な向き合い方というイメージがありました。しかし,必ずしもそうでもないことが今回よくわかりました。そこには「こだわらないというこだわり」があったのです。(p178)

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