コロナ禍中に伊東屋が儲けを度外視して(伊東屋の申し出に応じた店も相応の負担はしたのだろうが),銀座各店のモティーフを表紙に刷り込んで作製・販売したもの。たしかユニクロも入っていたのではなかったか。
● 当時,銀座は(銀座だけではなかったわけだが)未曾有の苦境に喘いでいた。
夜の銀座は完全消滅。看板は消さなかった。看板のネオンはずっと灯っていた。文字どおり銀座の “灯” は消えなかったのだけれども,営業している店はなかったと思う。
並木通りに客待ちのタクシーは1台もなかったし,花売娘(実際には,花売婆)も1人もいなくなった。
昼間も閑散。何とか盛り上げようとして企画したものだろう。
● ぼくはあまり気にせず出かけていた。「災難にあう時節には災難にあうがよく候 死ぬる時節には死ぬがよく候 是はこれ災難をのがるる妙法にて候」という良寛の言葉をしばしば思いだしていた。
が,そうは言っても,2度目のワクチン接種を終えたときにはホッとしたことも憶えている。
● 今考えても,それで正解だったと思う。世間と一緒に萎縮して消費を控えることをしなかったことを,だ。
今では想像できないほどに現金の使いでがあるときに,思いきって使っておいて良かった。何より自分のために。
● 銀座のビジネスホテルに4千円で泊まったことがある。今泊まれば2万円する。
あの頃は,地方に泊まるより銀座の方が安いという逆転現象が起きた。
● コロナ収束後の変化が大きすぎて,当時の記憶も容赦なく過去の彼方に消えつつあるが,ほんの数年前のことなのだ。
この野帳,他にも何冊か買った。妙な言い方になるが,良い記念になった。
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