2019年3月27日水曜日

2019.03.27 モレスキンはなぜ売れるのだろう

● “モレスキン”でググると,最高級ノートという言い方に出くわす確率が高い。紙質の悪さを写真で検証(?)している投稿ももちろんあるのだが,それでもモレスキンのたたずまいが良くて,片面使用も我慢できると書いている人もいる。
 人それぞれなのだと思う。みんな違ってみんないい,のではある。

● ぼくはモレスキンの品質ではルックスがいくら良くても相手にしたくない。実用性を満たさない水準なんだから。
 ノートとしては筆記具を選びすぎて使いものにならない。万年筆をはじめ水性インクはたぶん全部ダメだろう。

● しかし,そういうことは散々言われていることだ。モレスキン社も当然知っているだろう。それでもモレスキン社は動いていない。油性ボールペンか鉛筆を使わせればいいと考えているんだろうか。
 利益率は相当に高いはずだ。その利益率を確保したうえで売上げを増やすためか,モレスキンブランドの筆記具まで売るようになった。モレスキンにはモレスキン用のモレスキン印のボールペン。
 紙質の悪さを逆手にとったような,したたかといえばしたたかなやり方だけれども,いい加減,ダメなものはダメだという声が多数派にならないものか。

● モレスキンが売れているのは日本だけではない。どの国にもバカはいると思っているのだが,文具先進国のこの日本でも同様なのが,どうにも解せない。
 高価だ→値段だけのことはあるはずだ→実際にある という,脊髄反射の三段跳びが幅を利かせているとは思いたくない。この日本でノートを使って何ごとかを書いているほどの人が,そこまでバカであるはずがない。

● ぼくはダイスキンでハードカバーノートに入門した人間だが,その後にモレスキンを1冊使ってみて,正直,ウンザリしてしまった
 昨年,500円で売られていたのを1冊買ったのだが,使う気にならずそのまま放置してある。ダイスキンの在庫をすべて使い終えたあとに,やむを得ず使うことになると思う。

● ハードカバーノートがなかった時代にモレスキンが登場したときのインパクトは相当なものだったろうと推測はできる。そのインパクトが今に至るも影響を残しているんだろうか。
 それとも,ぼくが気づけない何らかの魅力がモレスキンにあるのか。というわけで,モレスキンがなぜ売れるのか,ぼくには未だにわからない。

● しかし,モレスキンは世界で売れているのだ。一時的にバッと売れてあとは鳴かず飛ばずというのではない。長い間コンスタントに売れているのだ。
 そうであるからには,それなりの理由があるはずなのだ。一度使って質の悪さに辟易すれば,二度と使わないはず。モレスキンユーザーの多くはリピーターだろう。モレスキンのどこがかくも多くの人にリピートさせるのか。

● モレスキン社にはもちろん,販売店にとっても利幅の大きい美味しい商品だと思う。販売店も拡販の手を尽くしたろうし,今も尽くしていると思うのだが,そんなことはここまで質の悪いノートがこれほどの価格で売れることの説明にはならない。

● 整理しておきたい。ゴッホやピカソがモレスキンを使っていたというのはウソだ。モレスキンがパクッたフランスの小メーカーが作っていたノートを使っていたのだ。ゴッホが生きていた時代にモレスキン社は存在していない。ぼくはモレスキン社のこの販売手法はかなり悪質だと見ている。
 が,一方で,かつてあった小型ノートに着目し,名前まで含めてパクッたのは慧眼だったと評価している。それが現在のモレスキン社の隆盛を作った理由のほぼすべてだと思うからだ。

● イタリアで生産していた頃と比べて,中国で生産するようになってからモレスキンの質が落ちたというのも誤りだ。モレスキンは当初から MADE IN CHINA だからだ。当初は生産地表示をしていなかっただけだ。
 モレスキンの質が落ちているのだとしても,それは生産拠点を変えたからではない。それ以外に理由があるはずだ。

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