2025年10月16日木曜日

2025.10.16 手帳を選ぶ女性

● 某文具店の手帳売場。NOLTYの棚の前で熱心に手帳を選んでいる女の人がいてね。齢は50歳に近いかなぁ。スーツ(スカート)を着ていた。制服かもしれない。
 それを見てて妙に感動しちゃってね。まず,ビジネス手帳というのがいい。チャラチャラした手帳じゃなくてね。正統派の感じがする。

● 次に,その熱心さがいい。実際はさ,手帳なんてどれを選んでも大した違いはないじゃん。手帳で自分が変わるなんてことはないわけですよ。
 そんなことは彼女もよくわかっていると思う。それでも熱心に比較して,どれにするか考えている。何かいいなぁと思っちゃってね。

● ぼく自身は手帳選びにそれほど執着したことはない。今は Seria のA5週間バーチカルと決めているから,Seria でそれを買って終わり。
 それ以前は,Bindex のバイブルサイズ能率手帳タイプ(週間レフト)と決めていたから,やはりそれを買って終わりだった。

● 初めて手帳を買ったときも,能率手帳に替えたときも,ほとんと迷わなかったと思う。どんな手帳があるのか細かく調べることもしなかった。
 インターネットなど影も形もない頃だったが,彼女がわっているように,店頭で現物を手に取って比較検討することはできた。

● が,そんなこともしたことがない。乏しい情報で能率手帳にしようと決め,以後はずっと能率手帳を使い続けてきた。
 手帳の種類も今と比べればずっと少なかったからでもあるだろうが,基本,男とはそういうものだ。特段の不都合がなければ変えない。女以上に現状維持を好む生物だ。

● ぼくに関して言うと,そのくせ,雑誌の手帳特集やムックを読むのは好きだった。だから,手帳に関する知識や情報は溜まっていった。
 が,自分の実際にそれらが影響を及ぼすことはなかったと思う。

● 自分の手帳選びは,彼女のように売場で時間をかけてこの1冊を選ぶというプロセスを経ることなく,数十年を経て,現在に至っている。
 手帳売場にいた時間は彼女より長かったかもしれないが,たんに巡行していただけだ。
 だが,手帳に対して熱心な人には好感を抱く。自分の側の人間だ,仲間だ,と思う。彼女にとっては,ぼくは彼女の側の人間ではないと思うけど。

● 世の大半の人は,手帳にそんなにこだわっていない(と思う)。こだわるべきは他にある,どうしてそんな些末なことにかまけているのか,というところだろう。手帳などにこだわっているのは瑣末主義だ。
 そうして,それには一理も二理もある。それに対して,神は細部に宿るものだよと反論するのは,残念ながら,そもそも反論になっていないだろう。

● SNS を見ると,この世は手帳好きで満ちていると錯覚しそうになるが,それは手帳好きの自分がわざわざそういう投稿ばかりを見に行っているからで,リアルは決してそうじゃない。
 しかし,それゆえにこそ,われら瑣末主義者は同類を見つけると嬉しくなる。同病相憐れむの心境に至る。

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