2024年5月31日金曜日

2024.05.31 伊東屋のペンジャケットが3割引きで売られている

● 那覇4日目になる。何か予定があるわけでもないし,行ってみたいところがあるわけでもない。
 この状態がイヤなはずはない。最高だ。この世の天国とはこういうことをいうのだろう。ただし,天国とは飽きるところでもあるのだな。
 ので,また,カルトレリア那覇店に来た。

● 伊東屋のペンジャケットが3割引きで売られている。調整リングは8割引き。
 買っていこうかと思ったが,今となっては要らないモノだ。

● 使う局面がほぼ消滅した。鉛筆だけで済むようになってしまったんだからな。
 ぺんてる の3種の神器を使うことはない。あっても,裸の状態で無問題だしね。

● ひと頃,このペンジャケットがやけに気になっていた。すんでのところで,買うところまで行った。
 「ぺんてるのペンみたいに,赤のジャケットを着こなせるようになりたい」という伊東屋のツイートに いいね を付けたりもしてた。

● 買うなら赤だなと思っていた。調整リングがどこにあるかわからず,店員にもちょっと訊きづらい感じがあって,結果的に買わずにすんだのは,今となってはラッキーだった。

● なぜあんなに気になっていたのか,今となっては不思議だ。
 「事務用筆記具として捉えられがちな水性ペンですが,ジャケットを装着することにより美しいフォルムを実現しました」「軸が太いので握りやすく,また金属軸を採用しているため重量バランスが向上しています。筆圧をかけず,滑らかに筆記することができます」という伊東屋の説明に説得されたのか。

● 実際に手に持ってみると,やや太すぎるように感じたし,重すぎるようにも思った。
 ボールぺんてる もプラマンもサインペンも,そのままで(ジャケットを着せない状態でも)筆圧要らずで滑らかに書けるし。

● ぺんてる の3種の神器は元々そんなに使わなかったのも,思い留まった理由か。シグノにも使えるという情報があったのが,気になった理由だったかもしらない。
 もし,Vコーンにも使えたりしたら,買ってしまっていたかもな。

● ともあれ,今は昔の話だ。今は,ボールぺんてる やプラマンは,こういうジャケットを着せられて嬉しいんだろうか,と思う始末だ。

2024年5月30日木曜日

2024.05.30 義務教育は役に立つ

● ノートに文字を書くのにお金は要らない。ノートと鉛筆が1本あればいいのだから。
 ノートと鉛筆が1本あればいいのなら,ノートと鉛筆1本しか持たない方がスタイルとして美しい。

● ぼくは色々とムダ買いをして台なしにしてしまった。ゴチャゴチャと余計なモノを抱え込んでしまったのは,痛恨の失敗だ。
 しかし,この点において失敗しないですむ人は,おそらくひとりもいないだろう。そう思って自分を慰めている。

● 鉛筆ひとつ取っても,8900や9800の普及品から,Hi-uniやBLACKWINGに至るまで,それぞれのメーカーが懸命な努力を重ねて品質やかきやすさを追求し,それを製品に結実させて今日がある。

● しかし,と思う。身も蓋もない言い方になるが,つまるところ何でもいいのだ。
 何でもいいからたまたま手に取った1本を持てば,それで事は足りるのだ。100%足りる。100%だ。世界は完結するのだ。

● ベストの1本を求めるなど,徒労の2文字で片づけられる愚かな試みだろう。そんなことをしている暇があるのなら,1行でも多く書け。

● さよう然り。手書きを楽しむのにお金は要らない。タダではないが,ほとんとタダに近いコストしかかからない。
 タダでできる遊びは飽きないものだ。しかも,時間をいくらでも使える。
 飽きないというのはそういうことであって,ノーコストで多時間を消費できるとことだ。それを毎日続けられること。

● お金を使ってする遊びは必ず飽きる。美食を毎日続けたら,飽きる前に身体を壊す。寿命を切る結果になる。そういうことはタマにしかできない程度の財力しかないから助かっている。
 納豆ご飯だのラーメンだのカレーライスだの野菜炒め定食だの,毎日でも食べられるものは,総じて安いものだ。

● そのノーコストで毎日続けても飽きない “手書き” という趣味をわがものにできたのは,本当にラッキーだった。
 これさえあれば,貧困も孤独も相対的に小さくできる。退屈を免れることもできる。

● 小学校の「こくご」で字を教えてもらって良かった。義務教育は途方もなく役に立つ。

2024年5月29日水曜日

2024.05.29 ステッドラーの鉛筆を買う

● 右の写真はカルトレリア那覇店で買ったもの。見るだけじゃ申しわけないと思って。那覇に来た記念にってのもありますかね。
 この申しわけない買いで,けっこう要らないものが溜まってませんか,皆さん。
 と言っても,本当に要らなければ買わないはずだから,どこかであってもいいかもと思ってるわけですがね。

● クツワのワンプッシュ補助軸もいつかは買っていたはずのもの。鉛筆を完全にホールドする。
 その仕組みがわからん。ギュウギュウに締めつけなければならないものを,バネの力だけで代替できるはずはなかろうよ。

● STAEDTLERの鉛筆。tradition。Mars Lumograph 以外の鉛筆が置いてあることは稀なので,買ってみた。
 6B〜4Hの12硬度展開のようだが,4Bだけ売り切れていた。国産鉛筆でいうと2Bに当たるだろうから,一番人気でも不思議はない?

● ノリス ジュニア キッズえんぴつ もあった。高いですな。
 軸もJUMBO並みに太い。日本でも公文発の三角太軸は工夫の産物だと思うが,ルックスで劣るというか,鉛筆の高貴さ(?)を纏わないのがちょっと困るんだな。

● 会計のときにレジスターが動かなくなって,けっこう待たされた。
 が,こういうときにジリジリイライラしないのが,沖縄の流儀ですかね。郷に入っては郷に従うべし。


(追記 2024.06.06)

● 先日,traditionを買ったので,NORISも。メルカリで5本400円。
 NORISにも色々あるようだけども,支流に分け入ることはしない。

● けどさ,買った時点で気が済んじゃうんだよねぇ。使うところまでなかなか行かない。どげんすっと?

2024年5月28日火曜日

2024.05.28 使わないとわかっているのに買ってしまう

● ゆいレール県庁前駅の隣にあるリウボウ7Fに入っているカルトレリア那覇店には,測量野帳60周年記念のテンプレートが売られている。
 黄色の奥に青もある。2種ともここに来れば定価で買える。

● 青のはメルカリで,黄色のは前にここで買った。けど,一度も使っていない。
 このテンプレートは SKETCH BOOK 用なんですよね。ぼくは LEVEL BOOK しか使っていないし,文字しか書かないのでね。

● テンプレートを必要とするような創造的(?)な使い方ができない。いずれは‥‥と幻想を持ってしまうんだよねぇ。
 事務職がクリエイターの仕事に憧れるようなものですかね。

● 隠れて見えないけれども,同じく60周年記念のブックバンドもある。測量野帳が開かないように留めるためのもの。
 バッグに入れて持ち運ぶときに使うんだろうけどね。ペンを収容できるペンループが付いている。

● 色違いでいくつか持っているが,これも使ったことがない。クリアカバーをかけているからで,カバーの上からバンドをしたんではカバーを傷めてしまいそうでね。
 ペンもペンケースに入れて別に持ち歩くので,野帳と一体化する必要がない。

● 外でサッと野帳を取りだして,パパっと書くという機動的な使い方をすることもない。
 ここでもそうしたクリエイティブっぽい使い方はしないってことね。

● って,使わないのになぜ持っている?
 それを使うのがカッコいいと思っていて,そのカッコいいのを使っている自分というのをイメージしてしまって,このイメージに負けた結果だろうなぁ。
 つまり,かなりカッコ悪いパターンにハマってしまって,それに足元を掬われてコケたってことだよねぇ。

● テンプレートの手前に見えるのは,レイメイ藤井のジョッター。以前は3つあったのだが,今回は2つに減っていた。1つ売れたんだろうか。
 ジョッターもクリエイティブっぽくて憧れる。憧れだけで買ってしまったが(レイメイ藤井のものではない),言うまでもなく使ったことはない。

2024.05.28 齢を取るのは悪くない

● 東京に1泊して梅雨入りしている那覇に来た。観光とか買物とか,そういうことをするつもりはなくて,いつも家でやってることを場所を変えてやるだけね。
 測量野帳に日記的雑記をダラダラと書いて,時間をムダにするという。

● 無為是贅沢。年寄りの特権ね。君たちも早く高齢者になるといいよ。
 ただし,こういう贅沢は短時日で飽きるんだけどね。というか,飽きなきゃ困る。

● 必要なものは野帳トートに詰めてきた。このトートひとつでどこにでも行けるよ。文字どおりの “旅する野帳” ですよ。
 1,730円で買ったこのトート,今のところ,けっこう便利に使えている。

● この齢になると見栄を張る必要もないから,ブランドもののバッグなんざ持つ必要もないんですよ。
 気分的にけっこう身軽になれる。ほんとにね,齢を取るのは悪くないですよ。繰り返して悪いけど,君たちも早く高齢者になるといいよ。

2024年5月27日月曜日

2024.05.27 鉛筆のJIS基準について

● ユニ色の鉛筆を中心に,HBを書き比べてみるというバカを地で行くようなことを始めてみるつもりでいる。本格的にはだいぶ先になるはずだが,ちょっとだけ試行的にやってみた。

 暇だからそこそ,こんなこともできる。


● ちょっと弄ってみて感じたのは,北星が特異だということ。9606もクラフツマンも,他社より濃い。かつ軟らかい。B寄りな感じがする。

 同じHBなら個別メーカーを越えて同じ硬度濃度のはずと漠然と思っていたのだが,JISはそれを担保するものではないのか。


● JISを確認してみようか。「HBの硬度は,0.25~0.42とする」「同一銘柄のしんについては,硬度記号の順に従って,濃さ及び硬さに逆転があってはならない」とある。

 この幅に収まっていれば,銘柄によって中心硬度の硬さを変えても構わないのだな。ましてメーカーが違えばね。が,「0.25~0.42」とは基準なしに等しいのじゃないか。


● HBならこんな硬さと漠然と思うことができていたのは,JISによるものではなく,各メーカーの相互忖度の結果だったか。もっとわかりやすく言うと,三菱の硬度展開を他のメーカーが斟酌して云々,ということか。

 が,北星のような跳ねっ返り(?)も出てくる,と。しかし,北星もJISは遵守しているわけだ。


● で,先代の伊東屋鉛筆を思いだした。uni より Hi-uni に近い。コスパに優れた上質な鉛筆なのだけどね。

 ITOYA とあるだけで,硬度表記もないのだが,硬度表記がないのだから中心硬度(HB)のはずだと推測するのは全く正当だろう。が,これも一般的にはBに属するものだ。HBにしてはだいぶ濃い。


● 伊東屋鉛筆は北星が製造しているようだ。と単純に思ってしまったのだが,伊東屋鉛筆を生産しているのはキャメル鉛筆だとの説がある。

 キャメルはOEMを専らとし,自社製品は出していない(と思う)ので,両者を書き比べてなるほどと納得する術がない。


● というようなことを 𝕏 にポストしたら,北星の社長さんから次のような教示を頂いた。

 JIS制定当時は今より沢山の鉛筆メーカーがいて,様々な規格で鉛筆を作っていたのと,芯の配合はどのメーカーも社外秘の為統一する事は難しかったのです。

 品質を守る為濃さの基準範囲が広いが芯の強度はしっかり定めてそれを守ればOKという各メーカーの特徴を守る物となりました。

● ついつい,JISを消費者保護的な表示制度だと見てしまう。JISはそういうものではない。消費者保護などという言葉ができる前からあるものだ。

 それにしては,逆に,硬度も濃さも揃っているという言い方もできる。ドイツ製の鉛筆は国産より2硬度ほど上の硬度になるが(ドイツ製の2Bは国産のHB),ドイツ製は(当たり前だが)JISの守備範囲の外側にある。

2024年5月26日日曜日

2024.05.26 ユニ色の鉛筆をいくつか

● メルカリの “鉛筆まとめ売り” でユニ色の鉛筆のものがいくつも含む出物があったので,ポチってみた。

● UNION 9500 というのが届いたんだけど。昔,ユニオン鉛筆というメーカーがあって,そのメーカーの製品ということでよろしいか。

● uni-P。頭が丸まっている。当初は両切りだったのが,後に頭を丸めるようになったということでよろしいか。

● 太陽のユニ色の鉛筆。ノベルティなこともあって,鉛筆本体に製品情報は印刷されていない。
 一番下のだけが頭が丸まっている。ELLTEⅡの前身? わからんス。全然,わからんスよ。

● これもわからん。PENCIL FACTORY とのみ記載されている。当然,“TEH PENCIL FACTORY” とは何の関係もないだろう。
 前田鉛筆製造の前田が抜けた? それもないだろう。

● これもわからん。写真に写っている表記の他には,〄が刻印されているだけ。
 G.P.C との刻印もあるのだが,日本鉛筆工業協同組合の現メンバーにはGで始まる会社はない。昔はあったんだろうか。

● これはジャノメとあるんだけど,アイボールの前の名前か,あるいはアイボールに合併されたメーカーか。
 GOLDEN SWORD とは,ダイソーで4本110円で販売されている消しゴム付き鉛筆にも印刷されている。

● 三菱の9901。9800EWの前身という理解でよろしいか。

● MITSUBISHI とのみ記載されている。頭が丸まっているので,9000番ですかね。あるいは,uni-star か。

● ともあれ。使ってみたくなる鉛筆がいくつも届いた。使うのはしばらく先になるんだけども,楽しみなことです。こういう小さな楽しみが生きる甲斐になりますな。
 以上の他に,計30本の鉛筆が送料込みで350円でした。そのすべてを使うことは時間的にもう不可能だけれども,そこは大目に見ることにしたしましょう。


(追記 2024.06.08)

● PENCIL FACTORY のやつは,木軸も塗装もかなり安っぽい。国産という前提で,メーカーはどこなのだろうと考えてしまったが,単純に中国製であるのかもしれない。
 だとすれば,メーカー名の推測がつかなくてあまりまえだったな。

2024.05.26 落合書店宝木本店の文具売場で

● 書店の文具売場ながら,この文具売場は宇都宮市では有数の充実度を誇る。

 教育会館と道路を挟んだ対面にあるので,教師の皆さんが立ち寄ることが多いのか,近くにはマンモス校の作新学院があるので,その生徒さんたちが買ってくれるのか。


● マニアは,その対象が万年筆であれシャープペンであれ,ひとつの文具店で収まるわけがない。東京の伊東屋や世界堂,Amazonやメルカリ,ヤフオク,リサイクルショップと,幅広く渡り歩かなければならない。

 一方で,ぼくのように学童用品のコーナーで足りる人間もいる。普通に文具を使うだけなら,せいぜい少々カッコつけたいという程度なら,大型文具店に行かずとも,ここに来れば用は足りるだろう。


● 論理的(?)に考えて,小学生が使っている文具で足りない大人はいないはずだ。小学生がやっているほどのバリエーションで文具を使う大人は,特殊な職業に従事する人を除いて,いないだろうからだ。

 ペンケースを持ち歩く大人はそれなりの数,いるだろうけれども,そのペンケースは小学生がランドセルに入れて持ち歩いている筆箱に比べれば,だいぶ小さいはずだ。


● そもそも,小学生が使っているほどの文具は必要としない。ほとんどのサラリーマンは分度器やコンパスは必要としないだろう。

 どうでもいい差別化にこだわり,つまらぬ虚栄を張ろうとするから,色々と面倒なことになる。その面倒が愉しいのだと言われれば,それまでのことではあるけれど。


● 問題はどんな文具を使っているかではなく,その文具を使って何をしているかだ。いや,そこまで問われると厳しすぎる。その文具をどれほど使っているかだ。

 高級(高額)文具を持っているだけのバカではどうにもならんではないか。と,鉛筆しか使わなくなったぼくは悪態をついてみる。


● 店内で見たのはその鉛筆。木物語はダース660円。木物語でもかきかた鉛筆になると792円。差額の132円は軸の塗装代か。
 ちなみに,ステッドラーのかきかた鉛筆も792円だが,MADE IN THAILAND。

● トンボは MADE IN VIETNAM なわけで,MADE IN JAPAN にこだわるなら,三菱一択となる。文具店にはこれ以外のメーカーの鉛筆はないもんね。

 いるんだろうかね,MADE IN JAPAN  にこだる人。いや,けっこういるだろうね。

 そうなると,ずっと国内でヤリクリできてきた三菱鉛筆の底力がいよいよ他を圧するようになる。一格違うよってのを見せつけることになるかな,と思ってるんだけどね。


● 中高生が使っているであろうシャープペンをけっこうていねいに見て歩いた。

 万年筆やボールペンはムダに買い漁ってしまったが,シャープペンには手を出していない。今後も手を出すことはないと思うが(コクヨの鉛筆シャープ,プラチナのプレスマン,北星の「大人の鉛筆」はあわせて20本近く持っているが),中高生がどんなのを使っているのか知りたいと思って。


● 実際に使ってみないと,どんなものかはわからないんだけど。

 でも,まぁ,自分に与えるのは鉛筆でいいと思っているので,買うことはないんだよねぇ。店にすれば迷惑な客ですよ。

2024年5月25日土曜日

2024.05.25 三菱鉛筆の uni

● 1958年は日本鉛筆史の画期と言ってよいのだろう。uni の誕生だ。
 発売時の価格が50円。現在の貨幣価値に換算すれば,700円か800円くらいなのだろうが,じつはそれ以上だ。お金そのものの稀少性が当時と今とでは違うだろう。お金をモノやサービスに替えるときの抵抗感とでも言えばいいか。

● 翌年には頭を丸めていない uni-P が出た。価格はuniの半額。
 半額といっても今なら400円程度なのだ。Popularと言われても,これを買えた人はお大尽さんだけだったろう(1975年に後継品 uni star に代わられて廃番になった)。

● 現在,uni の本体価格は100円なのだから,7分の1になっている。uni-P はメルカリでダース500円で出たりする。
 もはや,uni はすっかり大衆化した。稀少ではなくなった。庶民の子弟でも普通に手にできるものになった。三菱鉛筆は頑張った。

● 60年前はお大尽しか使えなかった uni を使って,60年をワープしてしてみるかい?
 戻りたくもない時代ではあるけどね。つまり,今の方がよっぽどいいんだけどさ。

2024年5月23日木曜日

2024.05.23 三菱鉛筆の9800が良くできていると思った件

● 使いかけの鉛筆を最後まで使い切ろうプロジェクト。とりあえず,Bから使っているわけなのだが。
 写真の鉛筆を使用中なのだが,鉛筆というのはなかなか減らんもんだ。もっと面白いように減ってくれぬか。
 こんなことでは3回生まれ変わっても,手元の鉛筆を使い切ることはできないぞ。神よ,吾に300年の健康寿命を与えよ。

● これらの鉛筆の中では,三菱の 9800EW が良くできている。芯が見事に中心を通っており,芯質もまた見事なまでに均一だ。
 ありていに言えば,製品として優れている。

● この違いを安易に好みの問題に還元すべきではないと思う。最後の最後は好みで決まるものだとしても,好みを持ちだす前に,評価すべきを評価できなくてはならない。


(追記 2024.05.27)

● だいぶ短くなってきた。人生初の鉛筆を使い切る経験が目前になって来たぞ。
 使い切ることで見えてくる鉛筆の良さというのが,どうやらある。使い切ったことがないのに鉛筆を語っちゃいかん,ということか。

● まだ上手く言えないのだけど,消えるということが持つ効果って,けっこう大きいかもしれんのだね。

● やはり,三菱の9800EWが優れていると思った。見事なほどに芯質が均一で,寸分の狂いもなく軸の中心に芯が存在することの安心感。三菱クォリティー。

2024年5月22日水曜日

2024.05.22 ダイソーの補助軸よ,さようなら

● 右の写真はダイソーで買った補助軸。元々は消しゴム付き。その消しゴムを外すと貫通式の補助軸になる。
 が,退役させることにした。グリップ部分が滑りやすい。溝が2本あるのだが,滑り止めの用をなさない。マステを巻いて防御していたが,それにも限界がある。これでダイソー補助軸は全て退役となった。

● その代わりというわけではないのだが,クツワのピンク補助軸(素材はアルミ)を絶賛使用中。メタリックピンク,いいですなぁ。
 文具店で275円で買ったが,色なしのシルバーなら,ヨドバシで2本376円。

● ただし,ポイント補助軸には呼ばれる。真鍮の魅惑というやつか。グリップ部はダイソー補助軸と同じ仕様なんだけど,こちらは滑らない。
 が,締めつけるのが骨だ。そこがプリミティブでいい感じでもあるっちやあるんだけど,呼ばれてもすぐにクツワに戻ってしまう。

● 伊東屋補助軸には呼ばれなくなった。こちらも真鍮製なのだが,ラバー塗装してあるので,真鍮の風合いはとりあえず消えている。
 ま,今はってことでね。明日以降がどうなるかはわからんですよ。

2024年5月21日火曜日

2024.05.21 地元のマックで

● 地元のマックに行った。県下で最も空いているマックなんじゃないかと思うんだけどね。
 後期高齢と思しき御婆様が一人でいてね。テーブルにガラケーとB5サイズのノート。ごく普通のボールペンと何本かのラインマーカー。ノートを開いて一生懸命に何かお書きになっている。

● チラッと覗き見したところ,カラフルなページが見えた。これが女性のノートかと思ったことでした。ぼくの測量野帳とはまるで違う。このお年になっても女性は女性なのだなぁ(と,一括りにしちゃってはいけないんだろうけどね)。
 平日の午後,一人でマックに来て,こういうふうに時間を過ごせるのっていいなぁと思ったことでしたよ。老後はかくあるべし。真似したい。

● ユニのプラケースに鉛筆3本と補助軸,チビた消しゴム。測量野帳を持って,マックに行く。
 コーヒーと軽い食べものを注文して,2時間程度こうして過ごしたい。それはつまり,この世に竜宮城は実在するということですよ。

● あと,思ったのはね。マックってアーバンなんだね。このあたり,立派な農村地帯なんだけども,マックの中はアーバンなんですよ。田舎にいて都会を味わえるスポットなんですよ。
 装ってみたけど,映える背景がないというときは,とりあえずマックに行けば何とかなんじゃね。これが田舎の不文律。

● この老婦人もね,ノートを書くなんて家でいくらでもできるんですよ。でも,装ってみたかったんだよ。装って外に出てみたかった。人目を意識してノートを書いてみたかった。そんな気配も感じたんだよね。
 そういうときは,田舎で唯一のアーバンスポット,マックに行くわけですよ。他にないんだもん。

2024年5月20日月曜日

2024.05.20 測量野帳 with 名探偵コナン

● 名探偵コナンの劇場版最新作『100万ドルの五稜星』が好調のようだ。ぼくは観てないんだけどね。ちょうど2年前に「ハロウィンの花嫁」を川崎の映画館で観た。それっきりになっている。
 が,『100万ドルの五稜星』のシールやステッカーがいくつも出回っているようで。それを測量野帳に貼ってやろうかいと思ったわけなんでした。

● 5月9日。というわけで,まずはこのシールを。左上から時計回りに,コナン,怪盗キッド,
服部平次,遠山和葉。
 このシール,あと6セットあるぞ。

● 5月13日
 調子こいてこんなシールも測量野帳に貼った。雑誌の付録ね。
 コナンの登場人物の中では,ぼくは灰原哀のファンですのじゃ。重いものを背負ってますけんね。それなのに『黒鉄の魚影(サブマリン)』を見ておりませんのじゃ。

● 5月16日
 今度はこれ。サーティワンの景品ですね。絵柄はこれで全部ではもちろんありません。まだまだありまんのや。
 と言って,さすがにコンプリートを目指す境地には到っていない。

● 5月17日
 測量野帳 with 名探偵コナン,絶賛増殖中。このシールはあと2セット,ありもんす。貼るべき野帳は無限にあるもんで,困ることはなかぞ。
 こういうことをしたくなるから,限定絵柄の入ったやつより,安いレギュラー野帳をまとめ買いしておく方が良かよ。

● 5月18日
 そろそろ,これくらいで勘弁しといてやるよ。このシールはグリコの “オマケ” でありますな。

● 5月20日
 サーティワンのシール,コンプリートを目指す気はないけれども,2つ追加。
 灰原哀のが手に入って満足。これでやめておきます。

2024.05.20 ダイソー鉛筆のHBとBを買った

● 国内最安値の国産鉛筆を地元のダイソーで購入。2Bは持っているので,HBとBを。
 2Bは充分な書き味でしたよ。それが1本25円で買えてしまえる。

● 悪くいえば,資源の浪費につながっているはずだよ。25円の鉛筆を大事に使えというのは,手をバタバタさせて空を飛んでみろというに等しい。
 きょう日,自販機の缶ジュースが140円するんだよ。

● 他に,同じく4本入りの三角軸国産鉛筆も売られてますけどね。三角軸は工夫だと思うけれども,鉛筆の姿としては六角軸の方が美しいんだな。

● その1本25円のダイソー鉛筆(右)と35円の無印鉛筆をHBで書き比べ。芯はダイソーの方が太め。その分,芯の減りが早いのかと思いきや,そんなこともなし。書き味に違いはあるのだろうが,ぼくには感知できず。
 ダイソーのは軸にジョイント工法を採用しているように見えるのだが,無印のは2枚の板を張り合わせているようだ。それが価格差に影響するのかどうかは,ぼくは知らない。

● ダイソーのは消しゴムまで付けているわけで,メーカーは泣いてるんじゃないか。そこまでやらせなくても。
 ここまでやって,販売価格が1本25円では,メーカーは利益を取れていないだろうよ。

● 消しゴム付き鉛筆というのは,ぼくが子供の頃にもあった。が,当時はその消しゴムを消しゴムと思ってはいけなかった。ヘタに使おうものなら悲惨な結果が招来された。鉛筆の頭に小さな石が載ってるような感じでしたよ。
 それゆえ,消しゴム付き鉛筆への不信感は現在でも健在。消しゴムは消しゴム単体で持て,と刷り込まれちゃってますかねぇ。

● が,今どきのはちゃんと消しゴムなんだな。ダイソーのでもキチンと消えるんですわ。
 以前,先代の伊東屋ペンシルの消しゴムの消え味が素晴らしかったので,今はそうじゃないんだなと新鮮な驚きを覚えたことも記憶している。

● ちなみに,この消しゴム付き鉛筆は,HI-CLASS とあるところから,アイボール鉛筆㈱ではないかと思っている。昔,同名の自社製品を出してたんで。
 その消しゴム付き鉛筆の他に,アイボール製であることを明記して販売してるのが,ダイソーに2種ほどあったと思う。それ以外にアイボールが自社ブランドで出している現行品を,ぼくは見たことがない。基本,OEM生産で鉛筆を世に送っているのだろう。

● ダイソーとアイボールの交渉を妄想してみる。オタクの社名を表に出したものを2つ,ウチの流通に乗せよう,それを◯年間保証しよう,だから,消しゴム付きで4本110円を飲んでくれんかね。
 軸の塗装を廃して,包装の簡略を徹底しても,消しゴムをつけて4本で110円で販売したのでは,アイボールが利益を取れているとは考えられないものな。

2024.05.20 MONO100 も Made in Vietnam だと知った

● トンボ鉛筆の MONO100 が Made in Vietnam だとの記事をネットで見た。8900 がベトナム工場で作られているのは知っていたが,そうか,MONO100 までベトナムに移したのか。
 消しゴムもトンボに限らず,ベトナム製が多いらしい。BLACKWING の消しゴムもベトナム製だが,日本メーカーがベトナムで作ったものですかね。

● 今や日本も低物価の国となり,加えて円安が是正される気配はない。1ドル=200円もあるのじゃないかと思われるほどだ。
 中国や東南アジアが賃金の安い国だったのは,今は昔の話。今では日本国内に戻しても,企業にとっての賃金コストは中国や東南アジアとさしたる違いはあるまい。それでもベトナムなら生産コストを圧縮できるのだろうな。

● それ以上に人手不足の影響だろうか。いくら労働コストが安くても,若者人口の減少で働き手が見つからないなら仕様がない。
 もっと言ってしまうと,トンボの稼ぎ頭はとっくに鉛筆ではなくなっているから,キラー製品の開発と製造は日本に残すけれども,鉛筆はベトナムでいいじゃん,ということなんだろう。間違った判断ではないと思うけど。

2024年5月19日日曜日

2024.05.19 野帳トートを買った

● 以前,いろんな文具柄のトートバッグが発売されたなぁ。もちろん,買わなかった。
 けど,測量野帳のやつなぁ,どうだかな,買えば使うだろうかな。私はヤチョラーです,と宣伝してるようなものだよな。誰も見ないだろうけど。

● 今でも販売されてたんですな。トートバッグとポーチがセットになってる。トンボ8900の図柄のやつは,ポーチだけ持っている(使用中)。メルカリで300円で買ったんだった。
 トートも充分実用に耐えそうだけど,これを提げてる人にはまだ出くわしたことがない。社会人にはあまりいませんか?

● で,結局,ヨドバシでポチりましたよ,測量野帳のトートバッグ。9日にポチって,今日(19日)届いた。
 無在庫販売でありますな。注文が入ってから取次あるいは製造元に発注する。そんなに売れるものではないから,ま,そうなりますかな。

● さっそく,野帳トートを提げて宇都宮に出てきましたよ。感度良好。
 たくさん入るのが吉。丈夫そうでもある。2泊程度の旅行なら,これひとつで充分ですわ。

● 今までの無印のトートバッグに代わって,この野帳トートがぼくの常用バッグになる。
 どこに行くんでも,これで出かけるつもり。銀座もこれで闊歩するけんね。よろしくね。

2024年5月17日金曜日

2024.05.17 物欲を抑える難しさ

● 鉛筆1本を外に持ち出す場合は,エクステリバー+マホウノシース。これをシャツの胸ポケットに挿しておく。
 ミミックでそれをやろうとすると,ショートサイズが必要になるな。というわけで,ミミックをもう1本買う理由ができた。

● が,買う理由ができたから買おうと思うに至ったわけではない。先にミミックのショートサイズを買おうと思っていたから,買う理由ができたと喜んでいるわけだ。
 衝動買いを諌める方法として,それが必要な理由をA4の紙1枚に書け,書けないなら買うな,と説く人がいるが,この方法は全く無意味。本当に欲しけりゃ,紙1枚分の理由くらい,脳はいくらでもでっちあげるから。

● 理由があって欲しくなるんじゃない。理由の前に “欲しい” がある。
 異性を好きになるときと同じ。彼にはAといういいところとBといういいところとCといういいところがある,だから私は彼を好きになるべきだ,と考えて彼を好きになる人はいない。

● “好き” が最初。その後になぜ好きになったかを考える。そして,A・B・Cと3つの理由を挙げたとしても,それは脳がでっちあげたものだよね。
 同じA・B・Cを持っている別の人が現れたとしても,その人を好きになるとは限らない。っていうか,まずならないでしょ。そういうもん。

● 物欲を抑える難しさはここにある。理性はしばしば無力だから。

2024.05.17 クツワの補助軸,かなりいい

● 15日に買ったクツワの補助軸,買ってすぐに使用開始。軽くてホールドも問題なし。鉛筆との間に隙間ができない。ガタつかないことが一番なのでね。
 こういうのは学童用品で充分。鉛筆まわりはどうしたって学童用品が多くなりがちだが,クツワのこれはどの年代が使ってもOK。というか,クツワに限りませんかな。

● ぼくは赤とかピンクが好きなので,前から気になってはいたんですよ,この補助軸が。つまり,クツワのピンクの補助軸が。
 といって,自分で自分のことを変態ジジイだとは思ってないぞ。これは好みの問題の範疇ね。

● で,この3日間,こればかり使っている。かなりいいです。
 ポイントの真鍮補助軸にも独特の味があるが,クツワの方がねじピッチが密なのと,チャックの先端までネジが切られているのとで,鉛筆のホールドがしっかりしているんでしょう。かなりの安心感。

2024年5月16日木曜日

2024.05.16 ペン皿の代わりになるもの

● 文具は学童とそっくり同じにしたいという野望を持ってましてね。筆箱も筆箱の中身も。
 大人の風格,大人の落ち着き,大人のエレガンス‥‥‥そんなものはトイレに捨てて,下水に流してしまえばいいんですよ。

● で,ペン皿の話。ペン皿といっても,ぼくの場合は鉛筆皿ってことなんですけどね。
 お菓子の箱をペン皿にしてみたが,深すぎるのが難。けど,これでいいかな,と。

● しかし,こんなのをデスクに置いとくのは邪魔以外の何ものでもないですな。
 菓子箱に代えて,モレスキンのケース(ラージサイズのノートとボールペンが入っていたんだっけな)にしてみた。蓋付きなのとこっちの方がまだ浅いので。

● 同じことだった。こんなデカいのが机の上にあったんじゃ邪魔。 
 ま,普通のペン皿を買えばいいんだけどね。無印の990円のやつで充分だもんね。今どきの学童はもっといいものを使っているかもしれんがね。

● つーか,ペン皿なんて要らないか。机に直置きでいいかもしれんよ。
 あるいは,鉛筆のいわゆる缶ケースをペン皿代わりにすればいいかもしれない。

● あと,昔のMONO鉛筆のダース箱。フタが凹んでいるから,そこに使用中の鉛筆と補助軸,消しゴムを入れておける。
 これは気が利いてるかもしれん。

2024.05.16 小日向 京 『考える鉛筆』

書名 考える鉛筆
著者 小日向 京
発行所 アスペクト
発行年月日 2012.04.06
価格(税別) 1,500円

● 沢野ひとし『ジジイの文房具』が面白かったこと(まだ読み終えていないが)。3月から鉛筆をメインの筆記具にしてみたところ,鉛筆をすっかり気に入っているのに,その理由が自分でも判然としないこと。
 その2つから,小日向京『考える鉛筆』をひっぱり出して再読してみた。

● 以前に読んだときには鉛筆を使っていなかったから,ほぅほぅこんな人がいるのか,と思うにとどまっていたのだが,今回はさすがに自分に引きつけて読むことができた。一気通貫で1冊を読んだのは久しぶりだ。
 ただし,自分がなぜ鉛筆に惹かれるのかはなお分明でない。自分で考えないとダメなんだな。

● 以下に転載。
 ものごとを思考するときにはあえて鉛筆を選びたい。なぜなら鉛筆は,思考の流れをさまたげない筆記具であるのと同時に,次の思考の流れを湧きだしてくれる筆記具であるから。(p10)
 鉛筆は(中略)紙面に対して「横の流れ」ですべらせていくものだ。一方,紙面にたいして「縦に押さえつける負荷」をかけ,紙に描線を彫りこんでいく筆感の筆記具がある。ボールペンや,一部のシャープペンシルなどがそれだ。縦の負荷をかけながら書くと,手が押しこむ力を加えようとするあまりに,そちらに気をとられてしまう。(中略)ものごとを考えるときには,筆圧のほぼかからない状態で,頭の中に浮遊する言葉をつかまえることに集中したい。(p11)
 鉛筆は,書きすすめていくうちに芯の尖り具合や丸まり具合が変化し,芯が短くなっては削り,削っていくうちに軸が短くなり,その姿を刻々と変えていく。その変化が自分の心情の変化とシンクロしていく呼吸感がある。(p11)
 鉛筆の削りかすからは心地良い香りを鼻に感じる。そして削り上げた鉛筆の削り口を眺めると,新たな思考に向かおうという心意気が湧いてくるのだ。(12)
 鉛筆は筆記具のひとつなのではなくて「鉛筆」なのだ。(p12)
 軸の形や色,太さ,芯の濃さやなめらかさ,削り口の形,あらゆる方法で自分流にカスタマイズできるのが,鉛筆の絶大な魅力だ。(p12)
 鉛筆と過ごす時間のなかでもとびきりに楽しいのは,鉛筆を削るひとときだと思う。(p14)
 刃にあたった削りたての木軸と黒鉛芯の削りかすが奏でる香りの競演は,もはやアロマテラピーの一種といってもいいほど。この香りを感じたいから鉛筆を削りたくなる,といっても過言ではない。(p18)
 (DUX・インクボトルシャープナーは)一度使うと手放せなくなる削り器だ。透明なガラスボトルに削りかすが見えるのもきれいで,「ガラス越しにものを見る美しさ」を実感する。(p28)
 鉛筆の木軸をナイフにあてたら,刃ではなく鉛筆のほうを動かして削る。(p43)
 自分の筆記具の握りかたはひとつしかないと思いこんではいないだろうか。長年文字を書くうちに,筆記具の握りかたには癖ができてくる。(中略)そうした「手癖」はあくまでも自分の筆記具の握りかたの基本型として,それはそれで継承していけばいい。(p53)
 鉛筆を何本か持ち歩くのなら,一本一本にキャップを使わずまとめて布でくるんでしまうのが手っ取り早い。そんな布にぴったりなのが日本手拭いだ。(p77)
 わたしたちが道具を使う目的は「それを後生大事に綺麗に使うこと」なのだろうか。(p92)
 なめらかだから「いい」鉛筆とは限らない。ときには粒子の粗い芯に思考を刺激されることもある。また,その鉛筆を使う紙によっても違う。(p104)
 丸軸鉛筆の機能は,落としても芯が折れにくいことにあるのだという。よって芯のやわらかい色鉛筆に多用されており,色鉛筆のほとんどが丸軸の形状をしているのはそういう理由だ。(p111)
 丸軸の良いところは何よりも「握っていて軸の角に手が影響されない」という点にあるだろう。(p111)
 装飾軸のなかでも鉛筆としての存在感を一段と際立たせているのが,(中略)ファーバーカステルの伯爵パーフェクトペンシル用の「No.5」という鉛筆だ。(中略)使いこめば使いこむほど木軸が手の脂を含んで光沢をたたえてゆく様が見事で,一度使うと手放せなくなる。(p123)
 手にするたびに見惚れてしまうのが三菱鉛筆ハイユニの塗装だ。一般に鉛筆の塗装は何度も重ね塗りをしているそうだが,ハイユニのラッカー仕上げの美しさは他の追随を許さないほど。ユニと見くらべても軸表面の滑らかさが格段に違う。(p125)
 (補助軸は)実に魅惑的な小道具で,日々鉛筆を使いつづけた最期に与えられる褒美のようなものだ。(中略)補助軸に魅せられてしまった者は,新品の鉛筆をほどよいところで半分に折ってしまうのも一案なのではないだろうか。(p128)
 鉛筆の唯一の弱点は軸が細すぎることだと思っている。補助軸は,長さを加えるだけでなく,太さを付加する鉛筆の補装具でもある。補助軸に挿して使う方が,鉛筆は書きやすい。
 しかし。その細さが鉛筆のフォルムの美しさを作っているのでもあって,補助軸はその美しさも隠してしまう。せめて貫通式の保持軸を使うのは控えて,鉛筆が長いうちはクツワのぴゅにゅグリップのような握り部の太さを加えるような補装具を使うといったあたりが落とし所か。
 昨今の消しゴム付き鉛筆の消しゴムはすごい。本当に消えるのだ。(p132)
 わたしは鉛筆で書くときにほとんど消しゴムを使わないようにしている。鉛筆から消しゴムに持ちかえた隙に,思考がどこかへ逃げてしまうように感じるからだ。しかし(消しゴム付き鉛筆の)消しゴムならばスピーディーに動作できて,逃げようとしても追いつけるなと思う。(p132)
 この天冠部の一番の利点は「ちょっと疲れたときのツボおしに使える」ということだ。(p135)
 これ(原稿用紙)がすさまじくいい。大人になったいまとなっては,文字数にも文章内容にも縛られることなく,自由にこの紙を鉛筆で楽しみたい。(p145)
 鉛筆で気持ちいいのは,東京・神楽坂下の山田紙店の原稿用紙。(中略)二〇〇字詰めで一〇〇枚二六〇円。あまりの安さに恐縮してしまう。(中略)オーソドックっすなルビ罫付きの原稿用紙なら,コクヨのA4サイズ四〇〇字詰め原稿用紙「タテ書き ケー70」五〇枚入りが鉛筆向き。(中略)この紙に書いた鉛筆文字にも,山田紙店のものと甲乙つけがたいほどに魅入られてしまう。(p146)
 とくに芯が丸まりきって,そろそろ削らないと芯が見えなくなってくるんじゃないかというくらいの鉛筆で,付箋に慌てて走り書きをするときの爽快感といったらない。(p147)
 機能と品質というのは優良なものだけが「いいもの」とは限らないことをmeadの5×3カードは教えてくれる。(p151)
 鉛筆がある,紙も見つけた,世界はもうわたしのものだ,ぐらいの勢いでいこうではないか。(中略)ものに恵まれることは経済的には幸せではあるけれど,思考的な幸せとは必ずしもいえない。「それしかない」という状態は,少なくとも思考に工夫を生みだす。(p183)
 鉛筆には正しい握りからというのは本来存在しないはず。(中略)なぜなら鉛筆は芯先のあらゆるところからでも書くことのできる,変貌する筆記具だから。(p185)
 「綺麗に記録したい」という徹底的な願望は,手書き文字を記すことに緊張が伴い,ともすると綺麗な線と文字で記すことじたいが目的となってしまう。そこに自由な思考はあるか。(中略)思考する文字はきたなくても良い。間違っていても良い。文字の形など整っていなくても良い。自分のなかの混沌とした乱雑な部分を認めてやろう。(p187)

2024年5月15日水曜日

2024.05.15 落書きへの憧れ

● 宇都宮駅ビルの無印でノート(A6スリム)2冊,携帯用の鉛筆削り2個,B5のらくがき帳,を買ってみた。どれもすぐに必要というものではない。
 というか,どれもなけりゃないでいい。なくても困らないものだ。

● 特に,らくがき帳は余計。いや,余計と言ってはいけない。落書きはかなり高度な知的営みで,ぼくの手には余るということだ。
 落書きのどこが高度かというと,目的に先導されないことだ。何かの目的があって,そのために書くのではない。たとえば,勉強用のノートを書いているのと同じではない。

● 目的を持たない “書く” はそれだけで高度な文化といった印象になる。普段は鉛筆で日記的雑記を書き散らしている。それも目的があってのことではないけれども,落書きはそれとも違う。落書きは純度の高い “書く” だと思う。
 勉強のためにノートを作っているのは,事務職の仕事だ。落書きはクリエイターの準備体操のようなものだ。イメージはそんな感じね。

● ちなみに,ぼくは子供の頃もあまり落書きはしなかった。大人になってからも落書きの習慣がある人には,秘かに劣等感を抱いている。
 せめて,落書きをするジジイになりたいものだ。と思って,無印の落書き帳を買ってきたのだが,落書きをしたいから落書き帳を買ってきた,というところですでに,クリエイターからは遠い気がするね。

2024.05.15 宇都宮市の書店の文具売場

● 宇都宮市の某書店の文具売場。学童文具と事務用品の売場を覗いてきた。
 ここでは鉛筆はトンボのみの取扱い。かきかた鉛筆は三菱もあったけど。

● 覗いてばかりでは申し訳ないので,クツワの補助軸(アルミ製)を買った。が,それだけ持ってレジに行くわけにもいかない。
 学童文具のコーナーではないところから,ライフの灯台ノートというのも買ってみた。この判型で中紙20枚で440円は高いじゃないか,と貧乏人は思ってしまうんだけど,スケッチブックとしても使えそうな紙ではある。

● 宇都宮市内の某々書店の文具売場。ここでは鉛筆は三菱のユニだけ。ハイユニもユニスターもなし。9800もかきかた鉛筆もなし。
 ただし,消しゴム付き鉛筆と赤鉛筆,赤青鉛筆はトンボ。ユニはいくつかの硬度が並んでいるが,消しゴム付きはHBとBだけ。

● 客層を考えると頷けるところ。中高生は客として想定されていない。学童文具のコーナーはそもそもない。
 それ以前に,某書店ほどには文具に力を入れていないというか,売場面積を取っていない。基本,うちは本屋ですよ,と。文具を買うためにここに来る人はあまりいなさそうだ。駆込み需要が主ですかねぇ。

● ところが,マークシート用の鉛筆は三菱,トンボともにあり。中高生も客層として想定されているんでした。
 そうですわね,書店ですからね,高校生を弾くことはないですわね。

2024年5月14日火曜日

2024.05.14 道具に淫するな

● 測量野帳に文字を書きつけながら思った。こうしてノートに鉛筆で文字を書きつけることができるのは幸せなことだ。ぼくが一番好きなことでもある。
 そのために Amazon Prime Video を観れていないとか,読書をしなくなったとか,色々と活動レベルが低下したところはあるのだけれども,それは自分が一番好きなことを優先してやってるからなのだな。

● その一番好きなことをするのに必要なのはノートと鉛筆だけ。お安いものだ。
 その道具を吟味しようともしていない。書けりゃ何だっていいじゃん,と思っているところがある。

● 書くのは道具じゃない。道具を使って,ぼくが書くのだ。何を書くか(書けるか)は道具の性能や価格で決まるのではない。書き手のスペックによって決まる。
 自分のスペックをそのままにしておいて,道具だけ吟味しても(あるいは過度に凝ってみても),砂漠にバケツ一杯の水を撒くようなものだ。やりたければやればいいと思うが,報われることは決してない。

2024年5月5日日曜日

2024.05.05 鉛筆はいいのだが,なぜいいと思うのかがわからない

● 3月から鉛筆で書くようになって,自分でも意外なほど鉛筆がシックリ来ている。文字を書くための道具として鉛筆は欠けるところがないのみならず,むしろ最適という気がしている。
 しかも,普及品でいい。使っているのは使いかけのまま長く放置していたBの鉛筆。三菱の9800EWとトンボのippo!,木物語。
 ippo! は小学生用のかきかた鉛筆だし,9800EWも三菱の中では最も安い普及品だが,それで全く不満はない。早く Hi-uni を常用したいなどとは思っていない。

● 鉛筆の何がそう思わせるのかは,依然として言語化できない。黒鉛が削られて紙に載っていく感触なのか。重さを感じさせない筆線の黒の度合いなのか。芯と軸の堅固な一体性がもたらすブレのなさなのか。
 他にも具体的な事象は色々とあるが,それらを総合しても,それだけでは何かが足りない。その何かが重要なのだと思える。

● 独特の筆記音も耳に心地よさを伝える。しかし,そういう具象をいくつ挙げても,全体は部分の総和以上なのだという “複雑系の科学” を思い出すことになる。

2024年5月1日水曜日

2024.05.01 福田屋で文具店めぐり

● 福田屋宇都宮店3Fの上野文具。もう欲しい文具はない。必要なものは揃っている。3回生まれ変わっても足りるくらいにある。要不要で言えば,そういうことになる。
 かつ,要不要の観点からは学童用品売場で完結する。学童用品売場にないようなものを必要とするのは,特殊な職業(たとえば書道家,画家)に携わっているぼく一部の人に限られるのではないか。
 ここでは,鉛筆は Hi-uni まで学童用品売場にあるので,なおさらそうだ。

● と言いながら,2Fの LoFt に来たら金鳥コーナーがありましてね。こんな測量野帳があったので,速攻で購入。495円。
 カウネットで10冊買えば,SKETCH BOOK なら1冊158円ですむ。10日で1冊使うんだからカウネットで買えばいい。にもかかわらず,表紙の絵柄が珍しいという理由で495円も出すんだねぇ。

● 発売元は㈱ロフトとなっているが,LoFt しか絡んでいなければもっと高くなる。当然,金鳥が販促費を入れている。測量野帳はこういう使われ方をされるノートのナンバーワンですな。
 で,ぼくのようなバカが,ホクホクして買うわけですよ。

● LoFt でこれも購入。プラチナのプレスマン。赤と緑の2本。220円。
 黒を3本持っている。10数年前に買って,まだ一度も使っていない。ということは,今後も使わない公算が高い。なぜ使わないかもハッキリしている。グリップがやや細すぎるのだ。鉛筆なら太さを付加する手段があるが,これはちょっと難しい。

● けど,赤と緑を見たら手元に置いておきたくなっちまったんだから,仕方がないのだ。仕方なくないんだけど,仕方がないのだ。
 あと,uni と uni star のHBをバラ買い。これは使う。しばらく後になるが,間違いなく使う。