蓋の表面が凹んでいるので,中の鉛筆と消しゴムを取り出して使っている最中はペン皿になる。メーカーもペン皿として使ってもらえるように,この形状にしたのだろう。
その代わり,このダース箱ごとカバンに入れて持ち歩くと,簡単に蓋が外れてしまう。輪ゴムでとめる必要あり。自宅の卓上に置きっ放しにして使うものでしょうね。
● ぼくが子供の頃は,旧石器時代の話をして申しわけないのだが,ユニやハイユニのケースを筆箱代わりにするのが憧れだった。しかし,記憶をたぐってもしんなことをしていたクラスメートはいなかったような気がする。
買ってもらえるものじゃなかったからね。第一,田舎のよろず屋ではそんなハイカラなものは売っていなかった。
● ユニやハイユニを手に入れるには町に行かなきゃいけなかった。町に行くと,文房具だけを扱っている専門店があるんだよ。えっ,本当か,すげえなぁ。
そういうものだった。加えて,町に出ても手を出せるようなシロモノではなかったのだ。
● ぼくが長年の夢を実現できたのは,社会人になってからだった。この頃になると,さすがにユニもハイユニも相対的にだいぶ安くなっていて,パンピーでも買えるようになっていた。
問題は,こちらが鉛筆からすっかり離れてしまっていたことで,ハイユニのプラケースを筆箱代わりにはできたけれども,それを鞄に入れて持ち歩くことはなかったと思う。
● 今の小学生はどうなんだろうか。ミッキーやキティちゃんをあしらった筆箱に飽きる4年生くらいになると,ハイユニのプラケースをランドセルにしのばすようになるんだろうか。
何となくだが,そういうことはやっていないような気がする。プラケースは単なる鉛筆のダース箱であって,筆箱の代わりにするなんてことは考えもしないんじゃなかろうか。
● 諸行は無常。ユニもハイユニも,もはや特別なものではなくなっている。
彼らの興味はクルトガダイブや,下手するとモンブランやペリカンに向かうのでは。ませるのが早くなっているような気がするね。
● そうして,人生は楽より苦に満ちているものであることを悟り,もはややり直しはできないと知らされる年齢になってから,彼らの一部は鉛筆に舞い戻るのだろう。
そのときにユニやハイユニがあれば,そのプラケースをそっと筆箱の代わりに使う人も出てくるのだろう。
(追記 2024.08.14)
ペン皿からしてカオスであります。整理整頓の神は,ぼくのところには降臨しない。