2026年6月3日水曜日

2026.06.03 三菱9800の古今を比べる

● 昭和30年代の鉛筆と今の鉛筆を比べると,今の方がずっといい。同じHBでも昔のは総じて薄い。黒鉛をケチっている感じがする。時代を反映しているんでしょう。
 昔は鉛筆の芯を舐める人がいた。ぼくもそうすることがあった。薄かったからだ。今はそんなことをする人はいなくなったろう。
 つまり,だんだん良くなってきた。が,例外はあるものだ。その例外の最大級のものが三菱9800だと思う。

● 9800って,現在の Matured より 昔の Patented の方が良くないですか。
 uni や Hi-uni を出してから,9800の質を落としたなと感じるのは,ぼくだけじゃないと思うんですよ。

● トンボが HOMO No.4612 を世に出したのは,uni に先立つこと6年の1952年。その間,三菱には対抗軸がなかったわけでしょ。9800を押し立てるより仕方がなかったから,その頃の9800は凄かった。
 というのは,まったく根拠のない素人考えですが,もしトンボが HOMO ブランドを維持したら,日本鉛筆史の風景は今とは違ったものになってましたかねぇHOMOってちょっと早すぎたんですかねぇ。

● そこで,あらためて書き比べてみることにした。上から
 ① 現行品の Matured
 ② 〄付きの Matured
 ③ Patented

● 芯の匂いを嗅いでみると,最も匂い立つのは②。書いてみたところ,自分の好みに叶うのは ③→①→② の順。ただし,③と①の違いは微差以下。
 ②が一番薄い。少ぉしザラつきも感じた。薄いことじたいは別に悪くはないが,ぼくの好みではないということ。わずかのザラつきもむしろ好ましいと感じる人もいるだろうが,これまたぼくの好みではないと言うに過ぎない。

● ①と③は滑らかだ。滑らかさにおいて,わずかに③が勝るかもしれない。いや,ほとんど同じかもしれない。その程度の微差とも言えない違いだ。
 結局,自分の思い込みが裏切られた結果になった。

● となると,自分はなぜ Patented がいいと思い込んだのかが気になる。正直,Patented はもっと良かったはずだと思ってるんですよ。
 個体差もあるかもしれない。なお検証(自分を使った官能検査だからアテにならんのだが)が必要かな。
 いや,先ほどは三菱鉛筆さんに失礼なことを申しあげてしまった。

● 国産鉛筆を代表するトンボ8900と三菱9800を並べてみる。木軸の意匠の変遷は8900の方が頻繁だったようだが,現行品で比較すると,8900の方がシンプルでデコレーションがない分,軽快で都会的な感じがする。
 9800は重厚の気配をまとう。鉛筆が貴重品だった時代もあったのだぞ,と語っているような。


(追記 2026.06.04)

● ある程度使い続けると,Patented の良さがジワジワと染みてくるようになった。滑らかさにおいても,したがって芯先の滑りの良さにおいても,Patented が現行品を上回る。微差とも言えないやずかな違いではない。微差ではあるかもしれないが,違いとしてハッキリ認識できる。
 良かった。以前の自分の印象は間違ってはいなかった。

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